2009 衆院選特集 〜ひと目でわかる候補者選び〜  

 
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鳩山政権の政権構想

5原則
原則1  官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。
原則2  政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。
原則3  各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。
原則4  タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ。
原則5  中央集権から、地域主権へ。

5策
第1策 政府に大臣、副大臣、政務官(以上、政務三役)、大臣補佐官などの国会議員約100人を配置し、政務三役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する。
第2策 各大臣は、各省の長としての役割と同時に、内閣の一員としての役割を重視する。「閣僚委員会」の活用により、閣僚を先頭に政治家自ら困難な課題を調整する。事務次官会議は廃止し、意思決定は政治家が行う。
第3策 官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する。
第4策 事務次官・局長などの幹部人事は、政治主導の下で業績の評価に基づく新たな幹部人事制度を確立する。政府の幹部職員の行動規範を定める。
第5策 天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。国民的な観点から、行政全般を見直す「行政刷新会議」を設置し、全ての予算や制度の精査を行い、無駄や不正を排除する。官・民、中央・地方の役割分担の見直し、整理を行う。国家行政組織法を改正し、省庁編成を機動的に行える体制を構築する。

    【1 ムダづかい】

  1. 現在の政策・支出をすべて見直す
    【政策目的】
    ○自民党長期政権の下で温存された族議員、霞が関の既得権益を一掃する。
    ○政策コスト、調達コストを引き下げる。
    【具体策】
    ○「行政刷新会議(仮称)」で政府の全ての政策・支出を、現場調査、外部意見を踏まえて、検証する。
    ○実施方法・調達方法を見直し、政策コスト、調達コストを引き下げる。
    ○不要不急の事業、効果の乏しい事業は、政治の責任で凍結・廃止する。
  2. 特別会計、独立行政法人、公益法人をゼロベースで見直す
    【政策目的】
    ○財政を透明にして、国民の政治に対する信頼を高め
    ○税金のムダづかいを根絶する。
    【具体策】
    ○特別会計をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止する。
    ○独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。
    ○実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す。
  3. 国が行う契約を適正化する
    【政策目的】
    ○政策コスト、調達コストの引き下げで税金のムダづかいを根絶する。
    ○政府調達をオープンにして、多くの国民が参加できるようにする。
    【具体策】
    ○公務員OBを官製談合防止法の適用対象にする。
    ○随意契約、指名競争入札を実施する場合には、徹底的な情報公開を義務付ける。
    ○契約の事後的検証と是正措置を担う「政府調達監視等委員会」を設置する。
  4. 公務員制度の抜本改革の実施
    【政策目的】
    ○公務員に対する信頼を回復する。
    ○行政コストを適正化する。
    ○労働者としての公務員の権利を認め、優秀な人材を確保する。
    【具体策】
    ○ 2008 年に成立した「国家公務員制度改革基本法」に基づき、内閣の一元管理による新たな幹部職制度や能力・実績に応じた処遇などを着実に実施する。
    ○定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。
    ○地方分権推進に伴う地方移管、国家公務員の手当・退職金などの水準、定員の見直しなどにより、国家公務員の総人件費を2割削減する。
    ○公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉によって給与を決定する仕組みを作る。
  5. 政と官の関係を抜本的に見直す
    【政策目的】
    ○政治主導を確立することで、真の民主主義を回復する。
    【具体策】
    ○与党議員が100 人以上、大臣・副大臣・政務官等として政府の中に入り、中央省庁の政策立案・決定を実質的に担う。
    ○政治家と官僚の接触に係わる情報公開などで透明性を確保する。
  6. 企業団体献金、世襲を禁止する
    【政策目的】
    ○政治不信を解消する。
    ○多様な人材が政治家になれる環境を整備する。
    【具体策】
    ○政治資金規正法を改正し、その3年後から企業団体の献金及びパーティー券購入を禁止する。
    ○当面の措置として、国や自治体と1件1億円以上の契約関係にある企業等の政治献金・パーティー券購入を禁止する。
    ○個人献金を普及促進するための税制改革を実施する。
    ○現職の国会議員の配偶者及び三親等以内の親族が、同一選挙区から連続して立候補することは、民主党のルールとして認めない。
    ○政治資金を取り扱う団体を親族に引き継ぐことは、法律で禁止する。
    ○誹謗中傷の抑制策、「なりすまし」への罰則などを講じつつ、インターネット選挙活動を解禁する。
  7. 国会議員の定数削減する
    【政策目的】
    ○行財政改革を進めるとともに、政権交代が実現しやすい選挙制度とする。
    【具体策】
    ○衆議院の比例定数を80 削減する。参議院については選挙制度の抜本的改革の中で、衆議院に準じて削減する。
  8. 税金の使い途をすべて明らかにする
    【政策目的】
    ○税金の使い途をすべて明らかにして、国民のチェックを受ける。
    ○決算を予算に反映させ、政策評価を徹底する。
    【具体策】
    ○予算編成過程を原則公開するとともに、執行を厳格に管理する。
    ○決算に関する情報公開を徹底するとともに、提出時期を前倒しすることで予算との連動性を高める。
    ○一般会計・特別会計について、企業会計に準じた財務書類の作成、国会提出を法定化する。
  9. 公平で、簡素な税制をつくる
    【政策目的】
    ○税制の既得権益を一掃する。
    ○租税特別措置の効果を検証し、税制の透明性、信頼性を高める。
    【具体策】
    ○租税特別措置の適用対象を明確にし、その効果を検証できる仕組みをつくる。
    ○効果の不明なもの、役割を終えた租税特別措置は廃止し、真に必要なものは「特別措置」から「恒久措置」へ切り替える。

    【2 子育て・教育】

  10. 出産の経済的負担を軽減する
    【政策目的】
    ○ほぼ自己負担なしに出産できるようにする。
    【具体策】
    ○現在の出産一時金(2009 年10 月から42 万円)を見直し、国からの助成を加え、出産時に55 万円までの助成をおこなう。
    ○不妊治療に関する情報提供、相談体制を強化するとともに、適応症と効果が明らかな治療には医療保険の適用を検討し、支援を拡充する。
    【所要額】
    2000 億円程度
  11. 年額31万2000円の「子ども手当」を創設する
    【政策目的】
    ○次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する。
    ○子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる。
    【具体策】
    ○中学卒業までの子ども1人当たり年31 万2000 円( 月額2 万6000 円)
     の「子ども手当」を創設する(平成22 年度は半額)。
    ○相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える。
    【所要額】
    5.3 兆円程度
  12. 公立高校を実質無償化し、私立高校生の学費負担を軽減する
    【政策目的】
    ○家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生・大学生が安心して勉学に打ち込める社会をつくる。
    【具体策】
    ○公立高校生のいる世帯に対し、授業料相当額を助成し、実質的に授業料を無料とする。
    ○私立高校生のいる世帯に対し、年額12 万円(低所得世帯は24 万円)の助成を行う。
    ○大学などの学生に、希望者全員が受けられる奨学金制度を創設する。
    【所要額】
    9000 億円程度
  13. 生活保護の母子加算を復活し、父子家庭にも児童扶養手当を支給する
    【政策目的】
    ○ひとり親家庭の自立を支援する。
    【具体策】
    ○ 2009 年度に廃止された生活保護の母子加算を復活する。
    ○母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する。
    ○5年以上の受給者等を対象に行っている児童扶養手当の減額制度を廃止する。
    ○在宅就労の促進、保育所の優先入所、離婚時の養育費支払の履行確保などの総合的な支援策を講じる。
    【所要額】
    500 億円程度
  14. 保育所の待機児童を解消する
    【政策目的】
    ○縦割り行政になっている子どもに関する施策を一本化し、質の高い保育の環境を整備する。
    【具体策】
    ○小・中学校の余裕教室・廃校を利用した認可保育所分園を増設する。
    ○「保育ママ」の増員、認可保育所の増設を進める。
    ○「子ども家庭省(仮称)」の設置を検討する。
  15. 全ての人に質の高い教育を提供する
    【政策目的】
    ○学校の教育環境を整備し、教員の質と数を充実させる。
    【具体策】
    ○全ての人にとって適切かつ最善な教育が保障されるよう学校教育環境を整備し、教育格差を是正する。
    ○教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す。教員の養成課程は6 年制(修士)とし、養成と研修の充実を図る。
    ○教員が子どもと向き合う時間を確保するため、教員を増員し、教育に集中できる環境をつくる。
    ○公立小中学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する「学校理事会」が運営することにより、保護者と学校と地域の信頼関係を深める。
    ○現在の教育委員会制度を抜本的に見直し、教育行政全体を厳格に監視する「教育監査委員会」を設置する。
    ○生活相談、進路相談を行うスクールカウンセラーを全小中学校に配置する。
    ○国際社会の中で、多様な価値観を持つ人々と協力、協働できる、創造性豊かな人材を輩出するためのコミュニケーション教育拠点を充実する。
    【所要額】
    600 億円程度

    【3 年金・医療】

  16. 年金記録被害者への迅速な補償のため、一定の基準の下で、「一括補償」を実施する
    【政策目的】
    ○年金記録問題の被害者の補償を一刻も早く進める。
    ○年金記録問題の再発を防ぐ。
    ○公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。
    【具体策】
    ○「消えた年金」「消された年金」問題への対応を「国家プロジェクト」と位置づけ、2年間、集中的に取り組む。
    ○年金記録が誤っている可能性の高い受給者等を対象に、記録訂正手続きを簡略化する。
    ○コンピューター上の年金記録と紙台帳の記録の全件照合を速やかに開始する。
    ○年金記録を訂正した人が、本来の年金受給額を回復するまでの期間を大幅に短縮する。
    ○全ての加入者に「年金通帳」を交付し、いつでも自分の年金記録(報酬月額を含む)を確認できるようにする。
    【所要額】
    2000 億円程度
  17. 年金保険料の流用を禁止する
    【政策目的】
    ○公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。
    ○保険料流用を禁止することで、年金給付の水準を少しでも高める。
    【具体策】
    ○年金保険料は年金給付だけに充当することを法律で定める。
    【所要額】
    2000 億円程度
  18. 一元化で公平な年金制度へ
    【政策目的】
    ○公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。
    ○雇用の流動化など時代にあった年金制度、透明で分かりやすい年金制度をつくる。
    ○月額7万円以上の年金を受給できる年金制度をつくり、高齢期の生活の安定、現役時代の安心感を高める。
    【具体策】
    ○以下を骨格とする年金制度創設のための法律を平成25年までに成立させる。
    <年金制度の骨格>
    ○全ての人が同じ年金制度に加入し、職業を移動しても面倒な手続きが不要となるように、年金制度を例外なく一元化する。
    ○全ての人が「所得が同じなら、同じ保険料」を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算する「所得比例年金」を創設する。
    ○消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。「所得比例年金」を一定額以上受給できる人には、「最低保障年金」を減額する。
  19. 年金受給者の税負担を軽減する
    【政策目的】
    ○年金受給者の負担を軽減し、高齢者の生活の安定を図る。
    【具体策】
    ○公的年金控除の最低補償額を140 万円に戻す。
    ○老年者控除50 万円を復活する。
    【所要額】
    2400 億円程度
  20. 歳入庁を創設する
    【政策目的】
    ○年金保険料のムダづかい体質を一掃する。
    ○年金保険料の未納を減らす。
    【具体策】
    ○社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する。
    ○所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する。
  21. 後期高齢者医療制度を廃止し、国民皆保険を守る
    【政策目的】
    ○年齢で差別する制度を廃止して、医療制度に対する国民の信頼を高める。
    ○医療保険制度の一元的運用を通じて、国民皆保険制度を守る。
    【具体策】
    ○後期高齢者医療制度・関連法は廃止する。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
    ○被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図る。
    【所要額】
    8500 億円程度
  22. 医療崩壊を食い止め、国民に質の高い医療サービスを提供する
    【政策目的】
    ○医療従事者等を増員し、質を高めることで、国民に質の高い医療サービスを安定的に提供する。
    ○特に救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建し、国民の不安を軽減する。
    【具体策】
    ○自公政権が続けてきた社会保障費2200 億円の削減方針は撤回する。医師・看護師・その他の医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する。
    ○OECD平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする。
    ○国立大学付属病院などを再建するため、病院運営交付金を従来水準へ回復する。
    ○救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建するため、地域医療計画を抜本的に見直し、支援を行う。
    ○妊婦、患者、医療者がともに安心して出産、治療に臨めるように、無過失補償制度を全分野に広げ、公的制度として設立する。
    【所要額】
    9000 億円程度
  23. 新型インフルエンザ等への万全の対応、がん・肝炎対策の拡充
    【政策目的】
    ○新型インフルエンザによる被害を最小限にとどめる。
    ○がん、肝炎など特に患者の負担が重い疾病等について、支援策を拡充する。
    【具体策】
    ○新型インフルエンザに関し、危機管理・情報共有体制を再構築する。ガイドライン・関連法制を全面的に見直すとともに、診療・相談・治療体制の拡充を図る。ワクチン接種体制を整備する。
    ○乳がんや子宮頸がんの予防・検診を受けやすい体制の整備などにより、がん検診受診率を引き上げる。子宮頸がんに関するワクチンの任意接種を促進する。化学療法専門医・放射線治療専門医・病理医などを養成する。
    ○高額療養費制度に関し、治療が長期にわたる患者の負担軽減を図る。
    ○肝炎患者が受けるインターフェロン治療の自己負担額の上限を月額1万円にする。治療のために休業・休職する患者の生活の安定や、インターフェロン以外の治療に対する支援に取り組む。
    【所要額】
    3000 億円程度
  24. 被爆者を援護する
    【政策目的】
    ○被爆者を早急に救済する。
    【具体策】
    ○高齢化している被爆者を早急に救済するため、被爆実態を反映した新しい原爆症認定制度を創設する。
    ○被爆二世、在外被爆者を含め、被爆者の健康管理を拡充する。
  25. 介護労働者の賃金を月額4 万円引き上げる
    【政策目的】
    ○全国どこでも、介護の必要な高齢者に良質な介護サービスを提供する。
    ○療養病床、グループホーム等の確保により、介護サービスの量の不足を軽減する。
    【具体策】
    ○認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる。
    ○当面、療養病床削減計画を凍結し、必要な病床数を確保する。
    【所要額】
    8000 億円程度
  26. 「障害者自立支援法」を廃止して、障がい者福祉制度を抜本的に見直す
    【政策目的】
    ○障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会をつくる。
    【具体策】
    ○「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、サービスの利用者負担を応能負担とする障がい者総合福祉法(仮称)を制定する。
    ○わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、「国連障害者権利条約」の批准に必要な国内法の整備を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置する。
    【所要額】
    400 億円程度

    【4 地域 主権】

  27. 霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する
    【政策目的】
    ○明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、「地域主権国家」へと転換する。
    ○中央政府は国レベルの仕事に専念し、国と地方自治体の関係を、上下・主従の関係から対等・協力の関係へ改める。地方政府が地域の実情にあった行政サービスを提供できるようにする。
    ○地域の産業を再生し、雇用を拡大することによって地域を活性化する。
    【具体策】
    ○新たに設立する「行政刷新会議(仮称)」で全ての事務事業を整理し、基礎的自治体が対応可能な事務事業の権限と財源を大幅に移譲する。
    ○国と地方の協議の場を法律に基づいて設置する。
    ○国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
    ○「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する。
  28. 国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する
    【政策目的】
    ○国と地方の二重行政は排し、地方にできることは地方に委ねる。
    ○地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする。
    【具体策】
    ○国の出先機関を原則廃止する。
    ○道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度を廃止し、地方の約1兆円の負担をなくす。それに伴う地方交付税の減額は行わない。
  29. 目的を失った自動車関連諸税の暫定税率は廃止する
    【政策目的】
    ○課税の根拠を失った暫定税率を廃止して、税制に対する国民の信頼を回復する。
    ○ 2.5 兆円の減税を実施し、国民生活を守る。特に、移動を車に依存することの多い地方の国民負担を軽減する。
    【具体策】
    ○ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率は廃止して、2.5 兆円の減税を実施する。
    ○将来的には、ガソリン税、軽油引取税は「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化、自動車重量税は自動車税と一本化、自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止する。
    【所要額】
    2.5 兆円程度
  30. 高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る
    【政策目的】
    ○流通コストの引き下げを通じて、生活コストを引き下げる。
    ○産地から消費地へ商品を運びやすいようにして、地域経済を活性化する。
    ○高速道路の出入り口を増設し、今ある社会資本を有効に使って、渋滞などの経済的損失を軽減する。
    【具体策】
    ○割引率の順次拡大などの社会実験を実施し、その影響を確認しながら、高速道路を無料化していく。
    【所要額】
    1.3 兆円程度
  31. 戸別所得補償制度で農山漁村を再生する
    【政策目的】
    ○農山漁村を6次産業化(生産・加工・流通までを一体的に担う)し、活性化する。
    ○主要穀物等では完全自給をめざす。
    ○小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する。
    ○国土保全、水源かん養、水質浄化、温暖化ガス吸収など多面的な機能を有する農山漁村を再生する。
    【具体策】
    ○農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販売農家に実施する。
    ○所得補償制度では規模、品質、環境保全、主食用米からの転作等に応じた加算を行う。
    ○畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。
    ○間伐等の森林整備を実施するために必要な費用を森林所有者に交付する「森林管理・環境保全直接支払制度」を導入する。
    【所要額】
    1.4 兆円程度
  32. 食の安全・安心を確保する
    【政策目的】
    ○国民が安全な食料を、安心して食べられる仕組みをつくる。
    ○食品安全行政を総点検する。
    【具体策】
    ○食品の生産、加工、流通の過程を事後的に容易に検証できる「食品トレーサビリティシステム」を確立する。
    ○原料原産地等の表示の義務付け対象を加工食品等に拡大する。
    ○主な対日食料輸出国に「国際食品調査官( 仮称)」を配置して、輸入検疫体制を強化する。
    ○BSE対策としての全頭検査に対する国庫補助を復活し、また輸入牛肉の条件違反があった場合には、輸入の全面禁止等直ちに対応する。
    ○食品安全庁を設置し、厚生労働省と農林水産省に分かれている食品リスク管理機能を一元化する。併せて食品安全委員会の機能を強化する。
    【所要額】
    3500 億円程度
  33. 郵政事業を抜本的に見直す
    【政策目的】
    ○現在の郵政事業には、国民生活の利便性が低下していること、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があること、事業を担う4社の将来的な経営の見通しが不透明であることなど、深刻な問題が山積している。郵政事業における国民の権利を保障するため、また、国民生活を確保し、地域社会を活性化することを目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。
    【具体策】
    ○「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結するための法律(郵政株式売却凍結法)を可及的速やかに成立させる。
    ○郵政各社のサービスと経営の実態を精査し、国民不在の「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。
    ○その際、郵便局における郵政三事業の一体的サービス提供を保障するとともに、株式保有を含む郵政会社のあり方を検討し、郵政事業の利便性と公益性を高める改革を行う。
  34. 市民が公益を担う社会を実現する
    【政策目的】
    ○市民が公益を担う社会を実現する。
    ○特定非営利活動法人をはじめとする非営利セクター(NPO セクター)の活動を支援する。
    【具体策】
    ○認定NPO 法人制度を見直し、寄付税制を拡充するとともに、認定手続きの簡素化・審査期間の短縮などを行う。
    ○国際協力においてNGOの果たす積極的な役割を評価し、連携を強化する。
    【所要額】
    100 億円程度

    【5 雇用・経済】

  35. 中小企業向けの減税を実施する
    【政策目的】
    ○中小企業やその経営者を支援することで、経済の基盤を強化する。
    【具体策】
    ○中小企業向けの法人税率を現在の18%から11%に引き下げる。
    ○いわゆる「1人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する。
    【所要額】
    2500 億円程度
  36. 中小企業憲章の制定など、中小企業を総合的に支援する
    【政策目的】
    ○わが国経済の基盤である中小企業の活性化を図るため、政府全体で中小企業対策に全力で取り組む。
    【具体策】
    ○「次世代の人材育成」「公正な市場環境整備」「中小企業金融の円滑化」などを内容とする「中小企業憲章」を制定する。
    ○最低賃金引き上げを円滑に実施するため、中小企業への支援を行う。
    ○「中小企業いじめ防止法」を制定し、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止する。
    ○貸し渋り・貸しはがし対策を講じるとともに、使い勝手の良い「特別信用保証」を復活させる。
    ○政府系金融機関の中小企業に対する融資について、個人保証を撤廃する。
    ○自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度について、廃止を含め、あり方を検討する。
    ○金融機関に対して地域への寄与度や中小企業に対する融資状況などの公開を義務付ける「地域金融円滑化法」を制定する。
    ○公正取引委員会の機能強化・体制充実により公正な市場環境を整備する。
    ○中小企業の技術開発を促進する制度の導入など総合的な起業支援策を講じることによって、「100 万社起業」を目指す。
  37. 月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します
    【政策目的】
    ○雇用保険と生活保護の間に「第2 のセーフティネット」を創設する。
    ○期間中に手当を支給することで、職業訓練を受けやすくする。
    【具体策】
    ○失業給付の切れた人、雇用保険の対象外である非正規労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じて「能力開発手当」を支給する。
    【所要額】
    5000 億円程度
  38. 雇用保険を全ての労働者に適用する
    【政策目的】
    ○セーフティネットを強化して、国民の安心感を高める。
    ○雇用保険の財政基盤を強化するとともに、雇用形態の多様化に対応する。
    【具体策】
    ○全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。
    ○雇用保険における国庫負担を、法律の本則である1/4 に戻す。
    ○失業後1年の間は、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入できるようにする。
    【所要額】
    3000 億円程度
  39. 製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
    【政策目的】
    ○雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る。
    ○日本の労働力の質を高め、技術や技能の継承を容易にすることで、将来の国力を維持する。
    【具体策】
    ○原則として製造現場への派遣を禁止する(新たな専門職制度を設ける)。
    ○専門業務以外の派遣労働者は常用雇用として、派遣労働者の雇用の安定を図る。
    ○2ヵ月以下の雇用契約については、労働者派遣を禁止する。「日雇い派遣」「スポット派遣」も原則禁止とする。
    ○派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇原則を確立する。
    ○期間制限を超えて派遣労働者を受け入れている場合などに、派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」を創設する。
  40. 最低賃金を引き上げる
    【政策目的】
    ○まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。
    【具体策】
    ○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。
    ○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
    ○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800 円を想定) する。
    ○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000 円を目指す。
    ○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
    【所要額】
    2200 億円程度
  41. ワークライフバランスと均等待遇を実現する
    【政策目的】
    ○全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて、やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる「ワークライフバランス」の実現を目指す。
    【具体策】
    ○性別、正規・非正規にかかわらず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する。
    ○過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくす取り組みを強化する。
  42. 地球温暖化対策を強力に推進する
    【政策目的】
    ○国際社会と協調して地球温暖化に歯止めをかけ、次世代に良好な環境を引き継ぐ。
    ○CO2等排出量について、2020 年までに25%減(1990 年比)、2050 年までに60%超減(同前)を目標とする。
    【具体策】
    ○「ポスト京都」の温暖化ガス抑制の国際的枠組みに米国・中国・インドなど主要排出国の参加を促し、主導的な環境外交を展開する。
    ○キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。
    ○地球温暖化対策税の導入を検討する。その際、地方財政に配慮しつつ、特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行う。
    ○家電製品等の供給・販売に際して、CO2排出に関する情報を通知するなど「CO2の見える化」を推進する。
  43. 全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入する
    【政策目的】
    ○国民生活に根ざした温暖化対策を推進することにより、国民の温暖化に対する意識を高める。
    ○エネルギー分野での新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出する。
    【具体策】
    ○全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度を早期に導入するとともに、効率的な電力網(スマートグリッド)の技術開発・普及を促進する。
    ○住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する。
  44. 環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する
    【政策目的】
    ○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。
    【具体策】
    ○リフォームを最重点に位置づけ、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。
    ○建築基準法などの関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する。
    ○正しく鑑定できる人(ホームインスペクター)の育成、施工現場記録の取引時の添付を推進する。
    ○多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設する。
    ○定期借家制度の普及を推進する。ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する。土地の価値のみでなされているリバースモーゲージ(住宅担保貸付)を利用しやすくする。
    ○木材住宅産業を「地域資源活用型産業」の柱とし、推進する。伝統工法を継承する技術者、健全な地場の建設・建築産業を育成する。
  45. 環境分野などの技術革新で世界をリードする
    【政策目的】
    ○1次エネルギーの総供給量に占める再生可能エネルギーの割合を、2020 年までに10%程度の水準まで引き上げる。
    ○環境技術の研究開発・実用化を進めることで、わが国の国際競争力を維持・向上させる。
    【具体策】
    ○世界をリードする燃料電池、超伝導、バイオマスなどの環境技術の研究開発・実用化を進める。
    ○新エネルギー・省エネルギー技術を活用し、イノベーション等による新産業を育成する。
    ○国立大学法人など公的研究開発法人制度の改善、研究者奨励金制度の創設などにより、大学や研究機関の教育力・研究力を世界トップレベルまで引き上げる。
  46. エネルギーの安定供給体制を確立する
    【政策目的】
    ○国民生活の安定、経済の安定成長のため、エネルギー安定供給体制を確立する。
    【具体策】
    ○エネルギーの安定確保、新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に一元的に取り組む。
    ○レアメタル(希少金属)などの安定確保に向けた体制を確立し、再利用システムの構築や資源国との外交を進める。
    ○安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について着実に取り組む。

    【6 消費者・人権】

  47. 消費者の権利を守り、安全を確保する
    【政策目的】
    ○日常生活にあるリスクから国民を守る。
    ○消費者の立場に立った行政を確立する。
    【具体策】
    ○消費者に危害を及ぼすおそれのある製品・物品等に関する情報の公開を企業に義務づける「危険情報公表法」を制定する。
    ○消費者行政を強化するため、地方消費生活相談員及び国民生活センターの相談員の待遇を抜本的に改善する。
    ○消費生活相談の過半を占める財産被害の救済と消費者団体訴訟制度を実効あるものとするため、悪徳業者が違法に集めた財産をはく奪する制度を創設する。
    【所要額】
    400 億円程度
  48. 災害や犯罪から国民を守る
    【政策目的】
    ○災害や犯罪から国民を守る。
    【具体策】
    ○大規模災害時等の被災者の迅速救済・被害拡大防止・都市機能維持のために、危機管理庁(仮称)を設置するなど危機管理体制を強化する。
    ○日常生活に密着した「地域・刑事・生活安全」にかかる警察機能を拡充する。
    【所要額】
    500 億円程度
  49. 取り調べの可視化で 冤罪を防止する
    【政策目的】
    ○自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
    ○自白強要による冤罪を防止する。
    【具体策】
    ○ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する。
    【所要額】
    90 億円程度
  50. 人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する
    【政策目的】
    ○人権が尊重される社会をめざし、人権侵害からの迅速かつ実効性ある救済を図る。
    【具体策】
    ○内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。
    ○個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。

    【7 外交】

  51. 緊密で対等な日米関係を築く
    ○日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。
    ○米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。
    ○日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
  52. 東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する
    ○中国、韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力を挙げる。
    ○通商、金融、エネルギー、環境、災害救援、感染症対策等の分野において、アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立する。
    ○アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との投資・労働や知的財産など広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の交渉を積極的に推進する。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。
  53. 北朝鮮の核保有を認めない
    ○北朝鮮が繰り返す核実験とミサイル発射は、わが国および国際の平和と安定に対する明白な脅威であり、断じて容認できない。
    ○核・化学・生物兵器やミサイルの開発・保有・配備を放棄させるため、米韓中ロなどの国際社会と協力しながら、貨物検査の実施を含め断固とした措置をとる。
    ○拉致問題はわが国に対する主権侵害かつ重大な人権侵害であり、国の責任において解決に全力を尽くす。
  54. 世界の平和と繁栄を実現する
    ○国連を重視した世界平和の構築を目指し、国連改革を主導するなど、重要な役割を果たす。
    ○わが国の主体的判断と民主的統制の下、国連の平和維持活動(PKO)等に参加して平和の構築に向けた役割を果たす。
    ○海上輸送の安全確保と国際貢献のため、適正な手続きで海賊対処のための活動を実施する。
    ○紛争解決制度の充実等や農業を含む政策の根本的見直しにより、世界貿易機関(WTO)交渉妥結に向けて指導力を発揮するなど、貿易・投資の自由化を推進する。
  55. 核兵器廃絶の先頭に立ち、テロの脅威を除去する
    ○北東アジア地域の非核化をめざす。
    ○包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効やカットオフ条約(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の早期実現に取り組む。
    ○ 2010 年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議において主導的な役割を果たす。
    ○ テロとその温床を除去するため、NGO とも連携しつつ、経済的支援、統治機構の強化、人道復興支援活動等の実施を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に役割を果たす。

 
 
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