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自民党の公約(要約はこちら)
日本を守るための約束。
身近な生活に関わる政策から、国のしくみを変える改革まで。 この国を改め、伸ばしていくための具体策と実行力が、自民党にはあります。
安心
1 安心な国民生活の構築
国民の安心・安全のための社会保障制度の確立
年金、医療、介護等について、少子高齢化が進展する中にあっても暮らしの安心を支えるセーフティネットとしての機能を果たし、将来にわたって国民にとって安心、信頼できるものとなるよう、社会保障制度の一体的見直しを進める。社会保障番号・カードを平成23年度中を目途に導入し、年金をはじめとする社会保障サービスの信頼性と透明性を向上させる。また、社会保障制度を真の国民の立場に立って検討する場として「社会保障制度改革国民会議(仮称)」の設置に向けた法整備を進める。
税制抜本改革
消費税を含む税制の抜本的改革について、平成21年度税制改正法附則による道筋に沿って、平成23年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施する。これにより、堅固で持続可能な「中福祉・中負担」の社会保障制度を構築する。
医療基盤整備・医療体制の安心確保
必要な時に救急医療や産科医療を受けられる体制をつくり、救急医療や産科・小児科・へき地医療の担い手である勤務医を確保する。今年度は医学部定員を約700人増員したが、今後も医療確保のために、医師数を増やすとともに、これまでにない思い切った補正予算を通じ、地域医療の再生や災害に強い病院づくりを進める。医学教育の充実と勤務環境の改善や救急医療体制の整備等、地域医療の砦たる大学病院の医療体制を整備し、医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度とする。社会保険病院・厚生年金病院については、地域医療の確保の観点から必要な病院機能を維持するよう対応する。診療報酬は、救急や産科をはじめとする地域医療を確保するため、来年度プラス改定を行う。
高齢者医療制度等の見直し
現在の高齢者医療制度は、市町村国保に比べて75%の世帯で保険料が軽減され、保険料格差も2倍に縮小されているが、全ての世代の納得と共感がより得られるよう、高齢者の方々の心情に配慮し、75歳を過ぎたサラリーマンの方は、引き続き支える側として、現役の制度に加入し続けられるようにするなど、年齢のみによる区分を見直す。また、高齢者の保険料負担が過大にならないよう、公費負担の拡大に取り組むなど、現行の枠組みを維持しながらよりよい制度への抜本的な改善・見直しを行う。所得の低い方については、保険料の9割軽減措置を継続するとともに、外来の患者負担の月額上限を半減する。なお、高額療養費制度の見直しについては平成21年末までに結論を出し、実行する。
年金記録問題への徹底対応
基礎年金番号に未統合の5,000万件の記録の解明・統合に努めつつ、インターネットなどの利用により残された記録の内容をプライバシーに配慮し、国民に開示する。全ての受給者・加入者について、コンピュータ記録と約8億5千万件の紙記録との突合せを計画的に進める。社会保険庁の様々な問題を一掃するため、平成22年1月に日本年金機構を設立する。日本年金機構においては、業務の適正かつ効率的な実施を徹底しつつ、年金記録問題への対処と迅速な救済を行う。年金記録問題については、来年末を目途に解決させる。
将来とも安定した年金制度の構築
年金制度を将来にわたって国民の老後の生活を支える柱となるよう、安定させ、充実させる。その上で3年以内に無年金・低年金対策のための具体的な措置を講じる。また、非正規で働く方への年金保障に向けた見直し、在職老齢年金の見直し等を行う。なお、被用者年金制度の一元化については、早期に実現する。年金制度については政争の具とすることなく、超党派による協議機関を早期に立ち上げる等、党派を超えて議論を行い、財源問題も含めた社会保障制度の一体的な見直しを行う。
健康で安心できる国民生活の確保 ■ 健康づくり
新健康フロンティア戦略を踏まえ、「健康日本21」を着実に推進し、「メタボリックシンドローム克服」など、健康寿命を延ばし、生涯現役で充実した人生を送るための施策を進め、「健康国家」の創設に向けた挑戦を続ける。また、次期国会において「口腔保健法案」の早期成立を図り、生涯を通じた8020運動を推進する。
■ 新型インフルエンザなどへの対応強化
今回発生した新型インフルエンザについて、引き続き迅速かつ適切な情報提供を行いつつ、秋冬に向けて国内で患者数の大幅な増加が起こりうるとの観点から、
・院内感染対策の徹底等による、罹患すると重症化するおそれのある基礎疾患を有する方や医療従事者等の感染防止対策の強化
・重症患者に対する適切な医療提供体制の確保 ・感染拡大及びウイルスの性状変化を早期に探知するサーベイランスの実施
・新型インフルエンザワクチンの速やかな製造と公的助成による接種体制の整備など、第二波に備え、公費助成を含めた体制整備に万全を期す。
■
難病対策、肝炎対策、がん対策の充実
難病の方々の医療費負担を軽減するため、助成の対象(現在45疾患)に緊要性の高い疾患(11疾患その他)を追加するなどの難病患者の医療費助成、難病の診断・治療方法の研究開発を進めるための難病研究拡充等、難病対策を充実させる。国内最大の感染症である肝炎について、肝炎の早期発見・早期治療・治療水準を向上させるため、「肝炎対策基本法」を制定し、B型・C型肝炎への医療費助成の拡大・充実を含めた総合的な肝炎対策に取り組む。わが国の死因の第一位となっている「がん」についても、検診、予防ワクチン、放射線療法や化学療法、緩和ケア等のがん医療の充実や均てん化を行うとともに、患者の立場に立ったがん対策を充実させる。
■ 医薬品・医療機器の安全・安心
有効で安全・安心な医薬品・医療機器を国民に迅速に提供し、さらには世界に向けて提供していくため、承認審査体制の充実と迅速化を図り、市販後安全対策を充実・強化する。がん・小児等の未承認薬の開発を推進するとともに、未承認薬の特別審査ルートを創設し、審査期間を12か月から6か月に短縮する。また、細胞培養法の開発により生産期間を大幅に短縮するなど、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の強化や総合的なワクチン政策を進める。
■ 地域社会における生活支援・支え合いの構築、食の安全性の確保、生活衛生サービスの安全・安心
地域における様々な生活課題に対応するため、市町村による全戸訪問調査や要援護者マップづくり等を支援し、高齢者などへの虐待や孤立死の防止、災害時の要援護者対策等を推進する。また、ひきこもり状態にある方や家族の身近なところで相談に応じ、支援できるような専門の相談窓口体制を整備する。検疫所における人員の大幅拡充や高度な検査機器整備をはじめとする輸入食品の安全対策強化など、食の安全性の確保に向けた取組みを進める。生活衛生サービスの安全・安心を確保する。
障害者施策の充実
障害者自立支援法を抜本的に見直して、利用者負担の応能負担への見直し、障害者がそれぞれの暮らしに相応しい支援を受けるための相談支援体制の強化、放課後に利用できるデイサービスの充実などの障害児支援の強化等を行う。利用者負担については大幅な軽減の継続に加え、障害者や障害のある子供を抱える家庭に配慮し、さらなる改善を目指す。また、平成21年4月に報酬の5.1%引き上げを行ったところであり、障害福祉サービスの質の向上、良質な人材の確保と事業者の経営基盤を安定させる。さらに、都道府県に設置されている障害者自立支援対策臨時特例基金に積み増しを行い(約1,500億円)、福祉・介護人材の処遇改善等を実現する。先の国会で廃案になった障害者自立支援法改正案を次期国会で成立させる。
原爆被害者対策 人類唯一の被爆国であることを踏まえ、被爆者の方々への支援策の推進に努める。
犯罪被害者等施策のより一層の充実
「犯罪被害者等基本計画」により、犯罪被害者のための施策が着実に実施されているが、平成22年末には計画期間5年を経過し、基本計画改訂が予定されている。犯罪被害者等基本法は、わが党主導により成立したものであり、充実して行く諸施策の中で、これまで立ち遅れが目立つ犯罪被害者団体・被害者支援団体への財政支援・人材育成など、平成22年末までに、犯罪被害者のための施策の見直しを進める。
消費者行政の推進
消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向け、消費者行政の司令塔として強力な権限を持つ消費者庁を平成21年9月中に発足させる。また、国民の誰もがアクセスしやすい一元的な消費者相談窓口の構築のため、都道府県に造成される基金を活用し、地方の消費者生活相談体制を強化するなど、地方消費者行政を抜本的に強化する。次期国会に消費者教育推進法(仮称)を提出し、成立させる。
社会防災対策の推進
地球温暖化により懸念される集中豪雨の増加などの自然環境の変化も考慮しつつ、大規模な地震や水害・土砂災害等に備え、その予防を含む防災・減災対策を戦略的・重点的に進める。その際、学校や住宅等の耐震化の一層の加速、公共施設の震災対策の実施、災害時要援護者の避難支援、また、市町村消防の広域化の推進や緊急消防援助隊の充実強化により災害応急体制を整備する等ハード・ソフト両面を連携させる。
世界一安心・安全な国づくり
治安再生に向けた強固な基盤を構築し、サイバー犯罪をはじめ、さらなる犯罪の減少と国民の不安感の払しょくを図り、国民が安全で安心して生活できる良好な治安を実現する。飲酒運転など悲惨な交通事故の根絶を目指し、高齢者の交通事故防止対策、交通安全施策等の整備などの総合的な交通安全対策を進める。「自殺総合対策大綱」等に基づき、社会的要因も踏まえた自殺対策を総合的・効果的に行う。
2 少子高齢化社会への対応
子育て支援の充実
少子化の流れを食い止めるため、国の責任のもと、児童福祉の原則を踏まえ、保育の質の確保と充実に努め、新待機児童ゼロ作戦等による保育サービスの集中整備や地方における定員割れ対策を行う。また、ひとり親家庭等に対する支援の拡充、児童手当など、子育て支援のためのサービスと経済的支援をバランスよく進める。子育て等に配慮した低所得者支援策(給付付き税額控除等)を行う。さらに、全国あまねく切れ目なく子育て支援が受けられる制度の構築を進めるほか、父親の育児参加の促進など、働きながら子育てができる環境の整備を進める。
安心して教育が受けられる社会の実現
全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障するため、3〜5歳児に対する幼稚園・保育所等を通じた幼児教育費の負担を段階的に軽減し、3年目から無償化する。高等学校や大学についても、教育費についての負担感が増している家庭が増えてきている現状に鑑み、就学援助制度の創設や新たな給付型奨学金の創設、低所得者の授業料無償化等を行う。教育の公私間格差を解消する。
安心して働ける環境の整備
仕事と子育てが両立できる環境を整備するため、子育て期の短時間勤務の義務化や、長時間労働の抑制、年次有給休暇の計画付与など働き方の改革を進めることにより、働く人の仕事と生活の調和の実現を目指す。また、放課後児童クラブのより一層の量的・質的向上だけでなく、待機児童が多い地域における自治体の取組みについても支援する。
介護サービスの改善と職員の処遇改善
地域の介護ニーズに応え、今後3年間で、特養、老健及びグループホームの約16万人分の整備を目標に取り組む。介護に携わる人材が意欲とやりがいをもってサービスを提供できるよう、介護報酬の3%アップ改定に加え、介護職員の処遇改善に努める事業主に対して職員の給料一人当たり月平均1万5千円の引上げに相当する金額を助成し、専門性と職務の重要性に応じた賃金体系の普及・定着を目指す。また、現任介護職員の研修やキャリアアップの支援、介護労働者の職場環境の改善を進める。なお、平成24年度の介護報酬改定時においては、介護保険料の上昇を抑制しつつ、介護報酬を引き上げる。療養病床再編成については、適切に措置する。
3 雇用対策
雇用の維持・創出
雇用調整助成金制度により、失業者を出さないよう、休業・教育訓練・出向により雇用を維持するとともに、解雇を行わない場合の助成率上乗せ、残業削減により解雇しない事業主への助成等を通じ「日本型ワークシェアリング」を強力に進める。また、ふるさと雇用再生特別交付金(2,500億円)及び緊急雇用創出事業(4,500億円)により、地域の仕事を創るほか、医療、介護、保育、環境等の成長分野における雇用を創出する。
職業訓練、職業紹介等の雇用のセーフティネットの構築
国民の安心・安全を確保するため、ハローワークが中心となって、失業者の再就職の実現に全力を尽くす。また、3年間で100万人の職業訓練を実施するとともに、失業給付を受けられない方への新たなセーフティネットを構築し、職業訓練期間中の生活支援、失業し、住居のない方への住宅と生活の支援、長期間失業している方などへのきめ細かな就職・生活支援など、訓練、再就職、生活、住宅への総合的な支援に取り組む。
若者・女性・障害者の就業実現
今後の人口減少社会において、若者・女性・障害者の方々がその能力を十分に発揮し、安心して働き、安定した生活ができる社会を実現する。 ■
若者が技能・技術や実践的知識を身につける職業教育の強化、年長フリーター等(25歳〜39歳)を重点とした正規雇用化支援。 ■
女性への就労支援、特に子育て中の母親への支援として、再就職に積極的に取り組む企業に対する支援制度の創設やマザーズハローワーク事業の拡充等を実施するとともに、資格取得についても支援。
■ 雇用・福祉・教育等の連携による地域の障害者の就労支援を強化。
「70歳はつらつ現役プラン」の実施
少子高齢化社会を克服するためには、高齢者の方々が健康でいることと同時に、社会における「人材」として活躍してもらう必要がある。そのため、65歳までの雇用の着実な実現や定年延長等に加え、「70歳はつらつ現役プラン」として、50歳代からの定年後のキャリア形成についてカウンセリング等の支援と教育訓練を行い、「第2の新卒者」としての準備を進める。また、専門的な知識や経験を技術・知識等の分野ごとに登録する「シニア・エキスパート・データベース」を構築し、官民の職業紹介所で提供する。高齢者の方々の起業や就職についても後押しする。一方で、職域の拡大や処遇の改善に取り組む事業主に対する支援(上限500万円)とともに、65歳以上の方を継続して雇い入れる事業主に対する助成も行う。働く意欲のある高齢者の方々が生涯現役として働きやすい環境を整え、「70歳現役社会
― 生涯現役社会」を実現する。
非正規労働者への就労支援体制の整備
非正規労働者の待遇改善や総合的な就労・生活支援などにより、安心・納得して働ける環境を整備する。このため、非正規労働者の就労・生活支援を行うワンストップサービスの全国展開を目指すとともに、パートや有期契約労働者の正社員転換、均衡処遇の取組みを支援するほか、日雇派遣の原則禁止、常用化の促進など、派遣労働者の待遇改善を行うべく、労働者派遣法の改正を行う。
4 教育・文化
次代の日本を担う子供達への教育 ■ 世界最高水準の義務教育の実現
新しい教育基本法にのっとり、世界最高水準の義務教育を実現するため、OECD諸国並みの公財政教育支出の確保を目指す。新学習指導要領を確実に実施し、世界トップレベルの基礎学力の定着、道徳教育の充実や体力の向上、食育を通じ、「生きる基本」を身に付ける。さらに、特別支援教育、自然体験学習、環境教育、キャリア教育、日本語教育、理数教育、英語教育、読書活動などを進める。
■ 信頼される公教育
教員免許更新制の着実な実施などにより質の高い教員を確保するとともに、教員の政治的中立を徹底し、教育現場の正常化を行う。全国学力テストについては、今後も継続して実施。教員が子供と向き合う環境を作るため、4年以内に少人数学級を実現する。全中学校区で「学校支援地域本部」を、全小学校区で「放課後子どもプラン」を実施するなど、地域社会に開かれた学校づくりを行う。スクール・ニューディール政策を着実に実現し、阪神・淡路大震災並みの災害にも耐えられる学校施設とする。PTA及び青少年教育団体の共済制度の確立を支援する。
■ 歴史・文化伝統を重んじる教育の実践
日本人が培ってきた文化伝統は、国家の礎としてその振興と発展を図っていくべきものであり、国民の財産である文化財の保護をはじめ、地域の伝統文化の継承と発展、伝統文化を尊重する豊かな人間性と正しい倫理観を涵養する教育を実践する。
国家戦略としてのスポーツ・文化芸術の振興
「スポーツ基本法」を制定し、スポーツ庁を創設する。トップレベル競技者の育成・強化や地域スポーツを振興する。2016年東京オリンピック・パラリンピックを国を挙げて招致する。アニメなど日本ブランドとしてのメディア芸術の振興や人材育成、製作者の待遇を改善するとともに、デジタルアーカイブ化を通じた日本文化の戦略的発信、地域における文化芸術、音楽活動等の振興・継承など、国民が文化芸術に触れる機会を充実する。
活力
5 経済成長政策
経済成長政策
低炭素革命で世界をリードするとともに、安心・元気な健康長寿社会を目指して、引き続き大胆かつ集中的な経済対策を講じ、景気の確実な底入れ・反転により、平成22年度後半には年率2%の経済成長を実現する。その後、平成23年度から内需と外需にけん引された持続的かつ安定的な成長経路へ復帰させ、今後3年間で40〜60兆円の需要を創出し、概ね200万人の雇用を確保する。
■ 今後3年間は地域活性化に資する支援を継続して行い、将来の経済成長の芽となる内需拡大の基盤づくりを重点的に整える。 ■
基礎から応用に至る研究開発の強化、ものづくり技術の開発や支援策の継続・拡充、リスクマネーの供給による環境技術の強化、イノベーションの推進によるサービス部門の一層の生産性向上等を通じて、産業の高付加価値化を実現する。
■ BRICs・アジア諸国など各国市場の取り込みを行うための投資環境の 整備や経済協力政策を進める。 ■
経済成長による新規需要に加え、女性や高齢者の労働参加により、10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界トップクラスに引き上げることを目指す。
環境にやさしい経済社会システムの構築
環境にやさしく無限に利用が可能な太陽光発電について、その普及を抜本的に拡大し、導入量を2020年(平成32年)に20倍、2030年(平成42年)には40倍にすることを目標として、太陽光発電世界一の座を獲得する。電気自動車やハイブリッド自動車など環境にやさしい次世代自動車について、自動車グリーン税制に加え、新たに導入された補助制度により買い換えを進め、1年間で100万台程度の需要を増やす。また、エコポイントの活用により、グリーン家電の普及を促進し、地球温暖化対策、経済の活性化や地上デジタル放送対応テレビの普及の同時実現を目指す。
日本の国際競争力の強化 ■ 国際競争力のある高等教育の展開
国立大学運営費交付金や私学助成の充実等により、高等教育の財政基盤を強化する。特に地方大学を重点的に支援する。「留学生30万人計画」を進め、国際化拠点大学30大学を重点的に支援する。
■ 国際的に活躍できる人材の育成や環境整備
世界最先端の研究成果を創出し、ノーベル賞級の研究者を育成するための世界トップレベルの研究拠点を約30ヵ所整備する。若手研究者育成に重点を置いた科学研究費補助金など競争的資金を拡充する。この他、基金の創設による研究費の単年度制約からの脱却や女性や外国人研究者など多様な人材が活躍できる環境の整備、競争的な環境を作り上げるための各大学の改革の支援等、最先端の研究分野などで国際的に活躍できる人材の育成や環境整備を行う。
■ 科学技術創造立国の実現
ips細胞や太陽電池をはじめとする生命科学・エネルギー技術など、世界をリードするわが国の革新的研究・技術開発を戦略的に行い、「第三期科学技術基本計画」による研究開発投資25兆円の達成を目指すとともに、次期基本計画における投資目標を設定し、拡充する。また、最先端研究開発支援プログラムの実施や「研究開発力強化法」「宇宙基本計画」「海洋基本計画」等に基づく投資を充実する。科学技術の成果を国民に還元し、地域発の豊かな社会を実現していくため、47都道府県に産学官連携拠点を整備する。
■ 規制改革 消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を見直し、発展的経済
活動を側面支援する。また、新たな立法時における規制の新設についても、国民の安全安心を確保するとともに、自由で活力ある経済活動を阻害しないようにする観点から、引き続き十分な事前審査を行う。
地上デジタル放送の推進・情報通信網の整備による地域間格差の解消
全国どこでも医療や教育などのサービスを受けることができるネットワーク基盤を整備するため、平成22年度末までにブロードバンド・ゼロ地域の解消を実現するとともに、携帯電話不感エリアの解消のため、特に条件的に厳しい地域の整備を行う。さらに、テレビ放送について、過疎地域・山間部の整備や都市の難視聴対策、経済的弱者への支援等を強化し、2011年(平成23年)にデジタルへの完全移行を実現する。それにより余裕が生まれる電波を、防災や交通安全対策や新規事業など、生活に密着した分野へ活用し、情報通信技術の恩恵が実感できる豊かな生活を実現する。
IT利活用社会の実現
世界トップのブロードバンド環境とIT技術のフル活用、国民視点に立った電子政府(e-Gov)の推進により、行政・医療・産業・福祉・教育・司法・交通・テレワーク等、生活に密着した分野を情報通信ネットワークで接続し、平成27年までに国民生活の利便性向上、行政事務の簡素効率化・標準化・見える化を実現する。また、デジタル技術の活用による新規性・先進性の高い事業の創出、雇用確保、生産性向上により、経済を活性化させる。
中小企業対策・建設業の健全な育成 ■ 小規模企業共済
小規模事業の経営者の将来不安を取り除くため、小規模企業共済の加入対象者を「配偶者」「後継者」等、これまで加入できなかった「共同経営者」にまで拡大し、廃業や引退時における生活資金、事業再建資金のさらなる充実につなげる。
■ 商工会議所・商工会の機能強化 中小企業全体を支援する観点から、商工会議所、商工会の組織機能強化のため、早急に抜本的な対策を講じる。
■ 連帯保証人制度 自殺の大きな要因となっている中小企業金融における連帯保証人制度について、そのあり方を見直す。 ■ 地元中小企業受注機会拡大
地域活性化と地元中小企業の再生のため、中小企業者向け官公需契約目標額を、昨年度契約実績から1兆円以上増額した約5兆1,993億円とするとともに、官公需総額に占める割合を過去最高の52.4%とし、地元中小企業と地域を活性化させる。
■ 不当廉売対策 中小小売(酒・電器・ガソリンスタンド等)の経営を守るため、不当廉売に対しては断固対処するためのガイドラインの見直しを行う。
■ 地域を支える建設業の健全な育成
公共工事の品質を確保し、地域の雇用と経済を支える中小・中堅建設業などを発展させるため、中小企業向けの分離・分割発注の推進、最低制限価格等の引上げ等によるダンピング対策の徹底、地域性を重視した入札参加資格の設定などを行う。
金融対策
中小・小規模企業や中堅・大企業の資金繰り支援等に万全を期するため、信用保証協会の緊急信用保証、その対象業種の拡大や無担保・無保証枠8,000万円の拡大・別枠化等、日本政策金融公庫によるセーフティネット貸付や危機対応業務の実施、住宅・土地金融の円滑化、銀行等保有株式取得機構の活用等の施策を強力に実施することにより、貸し渋り・貸しはがしを防ぎ、金融システムを安定化させる。
6 地域活性化・地方分権
地域活性化 ■ 地域社会の活性化
農商工連携・産学官連携を推進し、競争力のある魅力あふれる地域を形成していくため、雇用の確保・人口定住を図る。
■ 商店街活性化
空き店舗の活用や駐車場整備等、商店街再生に向けた意欲的な取組みに対する支援を行い、駅前や中心市街地等の賑わいを取り戻す。
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より充実した「新過疎法」の制定
過疎地域の個性や資源を活かし、集落の維持と活性化を図るため、ハード面の支援に加え、地域医療の充実や産業の振興等ソフト面も含めた総合的支援が不可欠との観点から、より充実した新たな過疎対策法を議員立法として平成21年度中に成立させる。
地方分権のさらなる推進
国は国が本来果たすべき役割を担い、住民に身近な行政は地方に委ねるべく、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直し、都道府県から市町村への権限移譲、国の出先機関の廃止・縮小や法令等による義務付け・枠付けの見直し(4076条項及び116事務権限等)、地方税財源の充実確保のための補助金・交付税・税源配分の見直しなどの「新地方分権一括法案」を平成21年度中に国会へ提出し、成立を期す。直轄事業の維持管理費負担金は平成22年度から廃止するとともに、直轄事業を基礎的・広域的な事業に限定し、直轄事業負担金制度を抜本的に見直す。また、地方分権をさらに進めるため、国と地方の協調に向けた徹底的な議論が行えるよう、国と地方の代表者が協議する機関の設置を法制化する。
道州制の導入
国際化、少子化、成熟化の中で、日本再生のため国のあり方を根本的に見直す。国際社会に発信できる個性豊かで活力ある圏域を創出するため、都道府県を越えた広域的なエリアで地域戦略を担う道州を創出し、多極型の国土を形成していく。このため、新しい国のかたちである道州制の導入に向け、内閣に「検討機関」を設置するとともに、道州制基本法を早期に制定し、基本法制定後6〜8年を目途に導入する。また、この間、先行モデルの北海道特区などを一層進める。
地方財政の抜本的な建て直し
地方自治体が住民生活に不可欠な行政サービスを安定的に提供できるよう、地方税の充実、地方交付税の増額など地方が自由に使える財源を充実確保する。また、地方自治体が特色ある政策を速やかに実施できるよう本年の「経済危機対策臨時交付金」や地方交付税における特別枠(地域雇用創出推進費)のような予算措置を引き続き実現する。「中期プログラム」に基づき税制の抜本的改革に取り組む際には、地方消費税の充実や地方交付税の法定率の見直し等により、地方財政の建て直しに取り組む。その際、地方交付税が地方の固有財源であることを明確にする。
真に必要なインフラの整備
「命の道」や生活道路・通学路の安全対策など、地域生活に不可欠な道路等については、B/C(費用便益比)にとらわれることなく、積極的に整備を進める。また、「生活の足」となる地域公共交通の確保と利便性を向上させるとともに、駅や道路、建物などのバリアフリー化を進める。特に、過疎、離島、半島等の条件不利地の生活を守る。
「すまう人」視点での住宅対策
最大600万円の住宅ローン控除など過去最大の住宅取得支援を継続・強化し、ライフステージに応じた持ち家の取得、リフォーム、住み替えを支援する。特に子育て世帯や高齢者等が安心して生活できるよう、子育て支援施設やケア施設の併設された住宅等、良質な賃貸住宅を供給する。また、「ストック型社会」の実現のため、2世帯・3世帯住宅や200年住宅の推進など住宅の長寿命化を進めるとともに、既存住宅・リフォーム市場を整備する。
観光立国の実現
ビジット・ジャパン・キャンペーンの高度化や、入国審査の円滑化等により「観光立国」を実現し、2020年(平成32年)までに訪日外国人を2,000万人にする。また、無電柱化の集中実施や景観に配慮したまちづくりなどによる魅力ある観光地の整備、料金施策やスマートIC等の高速道路の利便性向上、休暇の取得・分散化、観光産業の育成等により、観光を通じた地域活性化を進める。
必要な社会資本の前倒しによる「未来への投資」の実施
現在の経済危機を乗り切るため、この3年間は積極的な財政出動を行い、日本経済と地域経済を立て直すとともに、将来のために必要な成長基盤や安全・安心基盤である社会資本の前倒し整備を進める。また、地方負担の大幅な軽減・その継続とともに、世界・アジアの中で、将来にわたってわが国が発展するため、空港・港湾や高速道路等の基幹ネットワークを整備する。整備新幹線は、既着工区間について早期完成させるだけでなく、新規着工区間については昨年の「整備新幹線に係る政府・与党ワーキンググループにおける合意事項」のとおり平成21年中の認可・着工を目指す。超電導リニア(超電導磁気浮上式鉄道)やフリーゲージトレイン(軌間可変電車)についても、その実現を目指す。また、わが国の優れた交通システムや水ビジネス等を海外に輸出し、世界に貢献する。PFI法を改正し、地域の活性化等を行う。
地域で活動する団体やNPO法人の育成・支援
誰もが参加しやすい社会活動・NPO法人等ボランティア組織の育成・支援を行う。弱体化した地域の絆を再生するため、「コミュニティ活動基本法」を速やかに制定し、町内会や自治会、消防団などの地域に根ざした活動を行う団体を支援する。
郵政民営化 郵政民営化について、四分社化を踏まえた三事業一体的なサービスを確保するための施策について検討する。
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農林水産政策
国内農林業の所得の増大 ■ 国内農業生産を強化し、農家所得を増大させる
食料自給率50%を目指し、考えられる全ての対策を講じ、努力する農家の経営を支え、所得最大化を実現するとともに、農山漁村を活性化するための政策を着実に実施する。これらの施策は、全ての意欲ある農家を支援対象とし、面積・年齢要件は撤廃する。平成21年度は補正予算も含めて十分な予算を確保した。今後も、永続的に毎年必要な予算を確保し、内容を充実させる。
■ 国民の貴重な財産である農地をフル活用
自給率を向上させるため、耕作放棄地や不作付け地を解消し、二毛作ができる地域では二毛作を進めるために思い切った支援を行う。自分の農地を荒らしたくないという人が安心して貸すための支援及び、農地を増やして経営を拡大したい人への支援を充実する。相続税対策にも取り組む。雇用を増やし、農業の生産力増強に資するよう、地域の希望に沿った農村公共事業を充実させる。
■ 国民の求める農産物を安定供給
水田では、必要量に合った主食用米を作るとともに、麦や大豆といった国内で不足している作物の生産を振興する。さらに、米粉や飼料用米等「水田としての利用」をしながら生産調整にもなる取組みで十分な所得をあげられるよう重点的な支援を拡大する。米の生産調整は、不公平感などの改善を図りつつ、豊作などによる価格下落があっても経営に影響させないようにする措置を充実する。
■ 野菜・果樹・畑作農業を振興
野菜・果樹・畑作農業の経営を安定・発展させるための支援を充実する。自然が相手であることに十分配慮し、価格の変動対策、新しく植えた品種で所得を得られるまでの経営対策を行うとともに、機械などのリースによる導入支援、借入金対策や新たな事業展開を支える融資、燃油や肥料の高騰対策も継続する。
■ 畜産・酪農業を振興
畜産・酪農業の経営を安定・発展させるための支援を充実する。生き物相手の産業であることに十分配慮し、子牛の資質向上対策や肥育経営対策を行うとともに、機械などのリースによる導入支援、借入金対策や新たな事業展開を支える融資、燃油や肥料の高騰対策も継続する。
■ 食品の高付加価値化、流通の高度化
都市農業の振興、地産地消、都市での農畜産物直売、産直、農商工連携、食育などを強力に進めるとともに、学校給食での地場農畜産物の利用を拡大させる。さらに、世界の市場に日本の農産物輸出を進めるよう支援する。
■ 農山漁村の保全と発展可能性の実現
洪水防止機能や景観、文化創造を含めた農山漁村の多面的機能を維持していくため、国としての支援を充実する。中山間直接支払制度、農地・水・環境対策については、新たな観点も入れて充実・強化する。鳥獣害対策を進めるとともに、バイオ燃料、太陽光発電、水路を活用した水力発電、木質バイオマスを支援する。花粉症緩和米をはじめとした国民の健康増進に貢献する新たな食品の実用化など将来を見通した開発支援を進める。
森林対策の拡充
地球温暖化を防止し、豊かな自然環境を提供するわが国の森林について国有林も民有林も間伐などの森林の整備や治山事業を行う。貴重な森林を維持している森林所有者の負担のない事業を拡大する。また、公共施設・住宅から紙・割りばしまで国産材の利用率50%を目指す。緑の雇用を推進するとともに、木材価格の安定化のための制度を導入する。海外において違法に伐採された木材が流通しないよう違法伐採対策にも取り組む。
持続可能な力強い水産業の確立
漁業・養殖業の収益性向上や燃油・資材価格の変動にも対応しうる安定した経営の確立、新規就業の促進により水産業の体質を強化する。流通経路の確保・魚食文化の復活・地産地消の取組み支援を行い、国産水産物を安定的に供給する。漁場の生産力向上に資する事業を重点的に実施するとともに、大型クラゲなどによる漁業被害対策等を通じて水産資源の管理・回復を進める。また、生産基盤である漁港整備や防災力強化、生活環境の向上による安全で活力ある漁村づくりを推進するとともに、藻場・干潟などの保全活動の促進等により水産業・漁村の有する多面的機能を発揮させるほか、離島漁業再生の取組みを行う。
責任
8 財政再建
財政健全化
財政の持続可能性を確保するため、歳出・歳入改革、経済成長への取組みを通じて、国・地方の債務残高対GDP比を2010年代半ばにかけて安定化させ、20年代初めには安定的に引き下げる。このため、今後10年以内に国・地方のプライマリーバランス黒字化の確実な達成を目指す。まずは景気を回復させ、5年を待たずに国・地方のプライマリーバランス赤字(景気対策によるものを除く)の対GDP比の半減を目指す。
無駄遣いの撲滅
平成21年度予算編成では徹底した支出の見直しを行い、広報経費・委託調査費・タクシー代や公益法人への支出について約3〜4割削減したほか、政策の棚卸しにより一般会計約▲5,500億円、特別会計約▲3,300億円を見直した。既存の全ての予算について徹底して見直し、無駄の撲滅を徹底する。その取組みについては、外部の有識者がチェックする。独立行政法人や公益法人への支出を引き続き厳しく抑制する。また、独立行政法人において、政府出資による資産の国庫納付に伴う減資を認め、不要財産の国庫納付や処分が可能となる立法措置を講ずる。なお、補助金等により造成された基金については、透明性を確保し、その使途を決められた政策目的に限定するなど、適切に執行する。
9 外交・安全保障
日米安保体制の強化と在日米軍再編の着実な推進
日米同盟は、わが国外交の基軸である。わが国の安全及びアジア・太平洋地域、世界の平和と安定のために、日米安保体制のより一層の信頼性の向上を図り、日米同盟関係を強化する。また、米国との戦略的な協議や計画検討作業、共同演習・訓練の強化等を積極的に行い、テロ対策における協力、弾道ミサイル防衛の推進等を引き続き努力していく。さらに、在日米軍再編を着実に実施し、抑止力を維持すると同時に、沖縄をはじめとする地元の負担を軽減する。
防衛政策の強化と防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の策定
正確かつ総合的な情勢判断に基づき、時代の変化に迅速かつ的確に対応した防衛政策を整備・強化するとともに、基地周辺対策を充実させる。また、そのための裏付けとなる予算・人員を確保し、自衛官の処遇等を改善するとともに自衛官が敬意と感謝の念を持たれるよう努める。なお、本年末の防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画は、国防部会・防衛政策検討小委員会の「提言・新防衛計画の大綱について」を踏まえて策定する。
安全保障体制の基盤強化
北朝鮮のミサイルや核の脅威から日本を守るためには、たゆまぬ安全保障体制の強化が必要である。特に、北朝鮮の弾道ミサイルから日本国民の安全を守るため、同盟国である米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護などが可能となるよう、必要な安全保障上の手当てを行う。
■ 新たな脅威や多様な緊急事態への対処能力の強化
弾道ミサイル防衛システムの配備を進め、大規模なテロ・ゲリラへの対策、NBC(核、生物・化学)兵器、新型インフルエンザ対策、サイバー攻撃対策等を強化する。
■ 国の安全保障のための防衛産業・技術基盤の維持・強化
国の防衛政策上の観点から国内の防衛産業の技術基盤を維持・強化し、技術開発と共同研究の抜本的な改革を進め、わが国の技術レベルの向上に努める。
テロとの闘い・国際社会の平和と安定のための貢献
インド洋における補給支援活動は、アフガン復興支援とともに、国際社会が一致して取り組む「テロとの闘い」の車の両輪であり、これを継続する。アフガニスタン及びイラクの復興支援、パキスタン支援国会合の着実なフォローアップ、アデン湾沿岸諸国・アフリカ諸国等への平和構築・海賊対策分野の支援などを着実に実施していく。
自衛隊の国際平和協力活動等の推進
自衛隊の国際平和協力活動の推進のため、補給支援特措法やイラク人道復興支援特措法といった特措法ではなく、自衛隊の海外派遣が迅速に対応可能となるような国際平和協力に関する一般法(国際協力基本法)の制定を目指す。国連のPKO、インド洋での補給支援活動、ソマリア沖・アデン湾での海賊対策等、自衛隊の海外派遣は、今後とも国際協調と国益を考えて実施する。
北朝鮮への断固とした対応
北朝鮮問題は、拉致・核・ミサイル問題の包括的解決が基本であり、「拉致問題の進展がなければ、北朝鮮への経済支援は行わない」ことを前提に、外国政府及び国連や国際開発金融機関等の国際機関に対し、積極的な働きかけを行う。国家の威信をかけ拉致被害者全員の帰国を実現する。北朝鮮が核開発及び弾道ミサイル関連活動を完全に断念するよう、わが国は輸出禁止などの対北朝鮮措置を継続するとともに、安保理決議に基づいた行動を米国や韓国、関係各国と一致して取り組む。先の国会で廃案となった貨物検査特措法案につき、安保理決議1874等を踏まえ、次期国会で成立させる。
積極的な外交展開 わが国の総合的な外交力を一層強化するとともに、中国、韓国など近隣諸国
との関係を増進し、アジア・太平洋地域の安定と繁栄を共に築いていく。また、ODAの積極的な活用を図り、官民連携の強化やわが国企業の海外進出を後押しする。さらに、日本の優れた法制度や保健医療システム等の対外発信を高めるとともに、戦略的な日本語普及、知的交流、科学技術外交を進め、日本のソフトパワーを強化する。
経済・金融危機への対応、多角的自由貿易体制の確立
世界的な経済・金融危機の克服に向け、国際的なリーダーシップを発揮する。WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行う。農業交渉等については、各国の持つ多様な農業との共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指す。
国家の情報機能及び官邸の司令塔機能の強化
外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能を強化するため、「国家安全保障会議」を内閣に設置する。国家の情報収集・分析能力の強化を図り、的確な情報を活用して国民の安全を守る。また、秘密保全の強化策に取り組む。
10 資源・エネルギー
資源獲得・新たなエネルギーシステムの構築
安定的な資源・エネルギーを確保するため、主要な資源供給国との関係を深め、「資源外交」を強化するとともに、国内における水力、風力、太陽光等「再生可能エネルギー」の開発・利用や、原子力エネルギーの利用を強化(発電比率:25.6%→40%
発電所の設備利用率:58%〈現行〉→84%〈平成10年水準〉)する。
領土問題の解決
わが国固有の領土であるにもかかわらず現在、不法に占拠されたままである北方領土と竹島の問題の平和的解決に向けて、今後とも、強い意志をもって粘り強い交渉を行う。また尖閣諸島には、領土問題は存在しないものの東シナ海問題が存在するため、今後とも毅然とした姿勢で対処し、東シナ海を「真の友好の海」とすることに努める。
水の安全保障
世界的な人口増加や気候変動により大きな影響が懸念される日本と世界の水問題に対し、食料、エネルギーの安全保障の観点も含め、政産学官が連携して取り組み、次世代に豊かな社会を引き継ぐ。また、安全・安心な上・下水道を維持・管理し、資源の循環・再利用も含めた水循環プロセスが安定的かつ健全に行われる社会を構築するとともに、利害関係者が連携する流域単位の総合水資源管理体制を整える。また、膜技術、漏水対策や再生水利用技術など日本の優れた水関連技術と知見で「世界の水危機」解決に貢献し、国際社会から尊敬される日本を目指す。
11 環境・地球温暖化
低炭素社会づくりの推進による地球温暖化防止
地球温暖化問題の解決策として、国民全員参加による社会変革を進め、環境と経済がともに向上する「低炭素社会づくり」を推進する。そのため、太陽光発電の買取制度などを通じた再生可能エネルギーの需給拡大、省エネ住宅・エコカー減税をはじめとした税制全体の一層のグリーン化の推進、カーボンオフセットの本格展開などを進める「低炭素社会づくり推進基本法」を制定する。また、全ての主要排出国の参加による衡平で実効的なポスト京都の国際枠組作りを主導し、国際合意により世界全体の温室効果ガス排出を2050年(平成62年)に半減させることを目指す。交渉にあたっては、わが国の2020年(平成32年)の温室効果ガスの削減量の目標を2005年(平成17年)比15%削減とする。省エネルギー・省資源などの優位性を持つわが国の技術を活かし、国際協力を行う。
美しい自然と生物多様性の保全
来年10月の名古屋市における生物多様性条約第10回会議の開催に向け、国民とともにわが国の自然を保全するための施策を強化する。また、アジアを中心に、生態系保全や持続可能な取組みを展開する。外来生物対策とともに絶滅危惧種の保護を進め、生態系の維持回復に努める。国立公園をはじめ「里地・里山」「里海」の美しい森や水辺を守る。また、日本人の自然観やこころを世界に発信し、世界の環境取組みに貢献する。
3Rを通じた持続可能な資源循環
「もったいない」の精神を活かし、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の「3R」の取組みを徹底し、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から環境にやさしい循環型社会への移行をより一層進める。また、エコタウン、レアメタル資源回収等を通じた地域活性化を進め、さらに非食品セルロースや廃棄物利用によるバイオエタノールの開発を促進する。
12 行政改革・政治改革
行政改革の推進 ■ 独立行政法人改革
一昨年決定した「独立行政法人整理合理化計画」において検討事項になっている「万博機構」「都市再生機構(UR)」「住宅金融支援機構」のあり方についても早急に結論を出す。
■ 公益法人の新制度への移行
昨年12月よりスタートした新たな公益法人制度については、移行期間の5年間でスムースに移行できるよう引き続ききめ細かな対応を行う。また、公益法人への委託等は廃止することとし、その中で必要不可欠な業務についてのみ、低コスト、高水準を追求しつつ、国または独立行政法人において行うこととする。
■ 中央省庁改革
平成13年に断行した省庁再編時において求められた機能や効果が十分に発揮されているかを検証し、さらなる効率的な行政組織を求めていく。その際、従来の一点突破的、臨時的な「点」の改革から、行政サービス全体・不断の「面」の改革へと転換し、(1)民間を元気にする規制改革、(2)地方を元気にする地方分権、(3)政府を効率化・最適化する行政改革を、総合的・機動的に推進するため、現在多くの組織に分かれている行政改革機能を総理の下に集約する。
公務員制度改革 ■ 信賞必罰の人事評価で不正や“サボリ”は許さない!
●能力・実績主義による人事評価を厳格に人事に反映させ、昇任・昇給、降任・降給を厳格に実施するほか、連続3年間「不良」の評価の場合には分限免職処分とするなど信賞必罰を徹底する。さらに、人事評価の厳正、公正性の担保のために評価者の責任や処分について明確にする。
●ヤミ専従や違法な政治活動等の不正を行った公務員及びその上司はもとより、見逃していたその周辺に対しても法律に基づいて厳然たる処分を断行する。そのために、公務員の不正や不作為を監視し、懲戒処分や告発を機動的に発動できる制度を新設する。
■ 「天下り」根絶宣言
●公務に専念できるように定年まで勤務できる制度を整備する。さらに、使用者責務として雇用と年金の連携を図るため、定年延長について検討する。その間、65歳までの再任用を可能とし、60歳定年まで勤務可能な仕組みの完成にともなって、官民人材交流センターの再就職支援機能は廃止する。
●やる気と活気に満ちた組織を構築するために、ポストごとの役職定年制を導入する。また、人件費を抑制するため、給与体系全体を抜本的に見直す。特に、幹部公務員の給与を本俸と役職手当に区分することで、役職定年後の異動や降任・降給をスムースにさせる。
■ 国家公務員制度改革の推進
「国家公務員制度改革基本法」に沿って、内閣人事局のもとに国家公務員の幹部職員の一元管理、幹部候補育成課程に関する基準の設定などのほか、給与法改正、定年まで働ける環境整備、労働基本権のあり方等についても検討を進め、改革を推進する。また、国家として戦略的に推進すべき基本施策・重要政策の企画立案について総理を補佐する国家戦略スタッフ等の発足を現実のものとし、議院内閣制下での政治主導を一層強化する。さらに、国家公務員の一括採用のほか、退職手当を含む給与体系のあり方、官民交流の促進方策についても検討を進める。また、「地方公務員法」の改正についても、早期に措置する。
■ 総人件費改革
平成17年にわが党で決定した10年で国家公務員を20%、81,000人純減する計画(実施済み:約36,000人)については、政府における22年度までに5.7%、約19,000人の純減計画(実施済み:約10,000人)とあわせて、着実に実施する。
政治資金の透明性の確保
幅広く国民の支援を求めるため、税制上の優遇措置など、個人献金がしやすい仕組みを構築する。政治資金の透明性を一層確保するため、脱法行為の防止策を含め、政治資金制度のあり方について、1年以内に結論を得る。また、政党の機関紙誌の購読料・広告料収入の透明化や労働組合の政治活動における政治資金収支の透明化を図る。
議員定数の削減と真の政党政治の確立
議員定数については、次回の総選挙から衆院議員総定数の1割以上を削減する。10年後には衆参両院議員総定数の3割以上の削減を目指す。今日、政党は、議会制民主政治の健全な発展、国民の政治的意思形成等にとって必要不可欠な存在であり、わが党も、平成17年11月公表の「新憲法草案」において、政党を憲法に位置づけることを明記している。このため、政党法の制定や小選挙区対応型組織への改編など、真正面から政党のあるべき姿について議論を進める。
党内の候補者基準を含む党改革 ■ 「世襲候補」の制限等
党所属の現職国会議員が引退するなどの選挙区において、その配偶者及び3親等内の親族が同一選挙区内で立候補する場合は、次回の総選挙から公認または推薦しない。また、引退するなどの現職議員の後継者については、資金管理団体等への政治資金の継承を禁止する。候補者選定にあたり、公募制を充実させるとともに、国会活動・日常の政治活動等を評価する制度を導入するなど、常に最良の候補者が選定できる仕組みを整える。また、幅広く将来性のある人材を求め、人材を公募するだけでなく、候補者になり得る人材を育てる「特別職員制度」を導入する。選挙に立候補する場合の休暇、議員活動中の休職及び議員任期終了後の復職を可能にする労働法制(公務員法制を含む)等を整備し、国民の積極的な政治参加を容易にする。
■ より開かれた総裁選挙の実施等
自由民主党総裁公選制度については、例えば、前2年の継続党員となっている選挙人資格のあり方など、より開かれた制度とするための検討を総選挙後直ちに行う。将来の道州制を見据えブロック両院議員会を強化し、ブロック内の都道府県連や選挙区支部との緊密な連携を図るとともに、衆議院小選挙区単位の支部活動を重視し、衆議院の選挙制度に対応した党活動を強化する。
■ 「1万人オピニオンリーダー制度」の確立
「1万人オピニオンリーダー制度」を創設し、国民から公募したモニターの方から党運営や各種政策課題について提言をいただき、党内で最大限活用し国民本位の政治を実行する。
■ 適材適所の人材登用システムの具体化
党・政府・国会の人事を抜本的に改め、個人の意欲や能力、経歴などの重視はもとより、適材適所かつ人物本位の人材登用システムを具体化する。また、党員の獲得実績や各級選挙活動への協力実績など、党活動への貢献度も最大限考慮する。
■ 党本部・地方組織の改革
国民本位の政治を実現するためには、国会議員はもとより、党組織を挙げての活動が必要である。このため、人物本位の人材登用システムの構築、党本部と地方組織間及び民間との人事交流など、風通しのよい組織改革をさらに進める。
■ 戦略的広報活動の強化
各級選挙での必勝態勢を確立するため、戦略的・効果的な広報活動を展開する。特に、映像コンテンツの拡充や携帯版ホームページの充実など、無党派層や若年層へのアプローチを強化する。
国会改革等
■ 国会運営の改革
両院協議会や小委員会の活性化及び副大臣・政務官の国会答弁の機会拡充など、今すぐできる国会運営上の改革を着実に実施する。また、施政方針演説・所信表明演説の衆参一元化の実施を早急に実現する。
■ 国会事務局の効率化・スリム化の実現
国会事務局の改革として、部局の再編などの組織改革や国会の施設・資産の売却を含む見直しを行い、無駄を徹底的になくし、効率化・スリム化を実現する。
■ 立法スタッフの拡充・強化
議員定数削減を検討する一方、国会主導の政策立案をさらに進め、議員活動を充実する観点から、立法スタッフを拡充・強化する。
■ 議員外交の積極展開 いわゆる議員外交は、わが国の国際関係に幅と厚みを持たせるものであり、これを積極展開できるよう拡充する。
13 憲法
自主憲法の制定
憲法改正国民投票法の施行(平成22年5月)を控えて、衆参両院に設置された「憲法審査会」を早期に始動させ、「新しい国のかたち」をつくるための精力的な憲法論議を進め、立党50年記念党大会で公表した「自民党新憲法草案」に基づき、早期の憲法改正を実現する。
公約達成期限 特に記載が無い限り4年(衆議院議員の任期中)
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