2009 衆院選特集 〜ひと目でわかる候補者選び〜  

 
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【1 清潔政治を実現】

国民目線で「政界の大掃除」と「行政のムダを追放」
政治改革
政治資金の適正化
●政党等への企業団体献金の上限額を引き下げるとともに、政治団体間の資金移動について制限を強化します。さらに政党等への企業団体献金の禁止を目指します。
●国会議員関係政治団体の収支報告書について、電子申請を義務付け、全面公開します。
●秘書などの会計責任者が政治資金収支報告書に、虚偽記載などの違法行為を行えば、議員の監督責任を問い、公民権を停止させます。
●政党の政治資金が個人献金によって支えられる体制の構築を目指し、個人献金の税額控除の拡充など、環境整備を進めます。

歳費削減
●国会議員の歳費を1割削減します。
定数削減
●衆議院の選挙制度については、新しい中選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。参議院の選挙制度については、大選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。
国民主役の公選法へ
●国民主役の公職選挙法への改革を目指し、政策について十分な対話を行うことができる選挙運動を実現します(戸別訪問の解禁)。
18歳選挙権
●18歳選挙権を実現します。
永住外国人の地方選挙権
●永住外国人への地方選挙権の付与を実現します。
世襲制限
●国会議員の配偶者および三親等以内の親族が同一選挙区から立候補することを党として禁止します。

元祖ムダゼロ――徹底した行政改革
“天下り”の根絶
●各省による再就職あっせんを禁止し退職管理を「官民人材交流センター」に一元化する改革を早期に実施し、“わたり”あっせんの年内廃止を実現します。
●退職公務員の独立行政法人、公益法人等役職員の給与・退職金を大幅に引き下げます。
●早期勧奨退職慣行の廃止、定年の延長、再就職あっせんの全面廃止等を実現し、3年で天下りの根絶を目指します。
事業仕分け(政策棚卸し)でムダを追放
●国が実施しているすべての事務・事業について徹底的に見直す事業仕分け(政策棚卸し)を実施し、一般歳出のうち社会保障関係費を除く分野において1割(約2兆円)をめどに削減・合理化します。特別会計について徹底的な合理化を実施します。
●補助金等を原資に積み立てた基金等について、毎年度、事業の執行状況、政策評価、会計処理等の検査を行い、不要な剰余金等を国庫に返納します。
●大型の公共事業プロジェクトについては、費用便益比(B/C)の点検を毎年度実施し、事業の着手・継続の可否、実施の優先度を機動的に見直し、効果的・効率的に執行します。
●「委託業務適正化法」(仮称)を制定して、委託業務の目的・成果を毎年度検査し、不適切な支出を是正します。
●政策評価法に基づき、政策全般にわたり、必要性、有効性、効率性などの観点から、政策評価の取り組みをさらに充実強化します。また、国家・国民にとって喫緊の課題である重要政策についての評価の取り組みを充実強化します。
行政コストの節減・効率化
●公用車、広報経費、委託調査費、タクシー代など行政経費の総点検を行い、大幅に削減(3割程度)します。
●府省の局庁ごとに行っている給与計算等の管理事務を統合、統一化することにより人員と事務コストを削減します。
●行政手続きのオンライン利用率を3年以内に50%に引き上げるなど、ICT(情報通信技術)化による事務の効率化を図ります。
●組織のスリム化による「量の改革」を進めるとともに、国民のニーズにあった効果的な行政サービスを提供する「質の改革」を積極的に推進します。
●2009 年度予算において公益法人向け支出を約4割削減したことを踏まえ、さらに、随意契約の廃止、事務コストや人件費の削減によって支出を削減するとともに、役職員の給与・退職金を削減します。
●独立行政法人、公益法人の事業を見直し、引き続き公的に実施するべきものとそれ以外を厳格に仕分けして、民営化を促進します。
●政策金融機関について、中小企業金融、危機対応など政策金融機能が十分に発揮される仕組みを勘案しつつ、原則として従来の方針に沿った民営化を推進します。
国民に信頼される公務員制度への改革を実行
●公務員が国民全体の奉仕者としての自覚と責任をもって職務を的確・公正に遂行する仕組みへの改革を進めます。いわゆる「キャリア制度」を廃止して、能力・実績評価による人事の徹底、中途採用を積極的に実施します。
●幹部公務員等の人事の内閣一元管理により政治主導の政策決定システムを確立し、民間も含めて多様な経験・能力を持つ人材の幹部への積極的な登用を進めます。
●一般職公務員の定員を5年間で1割以上削減します。自衛隊員の適正配置と定員削減を進めます。
●「ヤミ専従」問題など、勤務時間内の不当な組合活動など不適切な労使慣行を排除して、国民本位の健全な労使関係を構築します。
“埋蔵金”の洗い出しで有効活用
●特別会計の剰余金・積立金等を徹底的に洗い出して、一般会計で有効活用します。
●国の不要な資産について、市場の状況、適正な売却手法などを勘案しつつ、今後、国有地を3兆円、政府保有株式を8兆円超売却します。
「不正経理防止法」(仮称)の制定
●公務員による組織的な“裏金”づくりなどを防止するため「不正経理防止法」(仮称)を制定します。
●会計検査院の機能を強化して事務・事業の適正執行を確保するとともに、国会に行政を監視する専門調査機関を設置します。
地方公共団体の行革を推進
●都道府県や市区町村においても、事務・事業の徹底的な見直しを行い、歳出削減を推進します。
●4年ごとに支給される都道府県知事・市町村長の高額退職金、副知事・副市長等特別職職員の退職金を見直し(廃止・縮小)します。

【2 命を守る政治】

安心の医療
長寿医療制度
現行の保険料軽減措置の継続
●低所得者等の保険料負担の軽減措置を継続します。
 被用者保険への継続加入措置の創設
●被用者保険の被保険者であった方については、被用者保険に引き続き加入できるように配慮措置を講じます。
高額療養費制度の見直し
●高齢者の外来における窓口負担の自己負担限度額の引き下げを行います。
 公費負担割合の引き上げによる保険料水準の抑制
●公費5割、現役世代の支援金4割、高齢者の保険料1割の負担割合のうち、公費負担の引き上げを行い保険料負担の軽減を図ります。
前期高齢者医療制度および一般の医療保険制度
70歳以上1割負担の継続
●70〜74 歳の窓口1割負担を継続します。
 公費負担による前期高齢者医療制度にかかる被用者保険の財政調整負担の軽減
●前期高齢者医療制度における財政調整による健康保険組合等の負担増の軽減を図るため、公費を投入・拡大します。
高額療養費制度の見直し
●外来医療における高額な医薬品の利用の拡大等による負担増を踏まえ、自己負担限度額の引き下げや外来医療での受領委任払いの適用など、高額療養費制度の見直しを行います。
「利用者負担総合キャップ制」(仮称)の創設
●医療・介護・自立支援給付等の自己負担を合算して総合的な負担の上限を決め調整する「利用者負担総合キャップ制」(仮称)を創設します。
 国民健康保険制度の広域運営の拡大と一元化の検討
●当面、国民健康保険の都道府県単位の財政調整の強化により広域化を図るとともに、都道府県単位の一元化された地域保険の創設に向け検討を進めます。
大学病院の充実
●医学教育の中核を担っている大学病院の医療環境を飛躍的に向上させるため、医療事務補助者の配置の促進などをはじめとした医師等勤務環境の改善や救急医療体制の整備に取り組みます。
医師不足の解消と医療提供体制の充実等
医療費水準・医師数等の水準の引き上げ
●先進国の水準に比較して低い医療費および医師数等の水準を引き上げ、医療提供体制の強化と医療従事者の処遇の改善を図ります。
「医療基本法」の制定
●医療は患者のためにあることを明確にし、国や地方自治体の役割、患者の医療政策決定への参加のための「医療改革国民会議」の設置、医師・医療機関の責務などを盛り込んだ「医療基本法」を制定します。
医師等の医療人材の養成システムの改革と充実
●医師等の養成数の充実を図るとともに、研修体制の見直しと医師派遣システムの強化を行い、医師不足地域の解消に取り組みます。また、救急・産科・小児科・麻酔科などの医師が不足している診療科を解消するため、診療報酬の充実や臨床研修における科目ごとの医師養成数の目標の設定など取り組みを進めます。
女性医師等の復職支援の実施
●育児休業取得や短時間勤務の推進、院内保育所の整備、女性医師バンクの体制強化など、女性医師・看護師等が安定して働き続けられる環境整備の充実を図ります。
勤務医等の勤務環境の改善
●病院医療における医師等の過重労働の解消のため診療報酬上の評価の充実を図るとともに、医師事務作業補助者の充実など勤務環境の改善のため直接的な財政支援を進めます。
 看護師など医療従事者の職務拡大
●専門性の高い認定看護師などを評価するシステムづくり、助産師の資質向上を図るとともに医療従事者の拡充と職務の見直し・役割分担を進めます。
「小児保健法」の制定
●新生児から思春期児童までを対象に、保健と医療の包括的な支援体制の充実を図る「小児保健法」を制定します。
 医療の安全の確保と医療事故の補償体制の強化充実
●出産等に伴う無過失の医療事故を救済する「産科医療補償制度」の円滑な運用を進めます。医療事故の原因究明の体制を整備し、医療の安全対策を強化するとともに、医療事故における裁判外紛争処理制度を創設します。
画期的な新薬の開発促進、審査・承認の早期化
●画期的な新薬の研究開発を促進するため、審査・承認の早期化を図るとともに、画期的な新薬を適切に評価する新たな薬価制度を創設します。
 社会保険病院・厚生年金病院の地域医療の機能確保
●社会保険病院・厚生年金病院について、医師不足や診療科の休廃止などを防ぎ地域医療の確保を図る観点から、公的医療機関としての機能を存続できるよう、早急に対応します。
レセプトオンライン請求義務化の見直し
●レセプトオンライン請求については、医療機関等の自主性を尊重し、完全義務化について再検討します。

救急医療
救急医療の15 分ルールの確立=「救急医療基本法」(仮称)の制定
●「救急医療基本法」(仮称)を制定し、24 時間365 日対応の救急相談窓口の整備を含め、救急医療体制を再構築するとともに、真に緊急性のある人が、通報から15 分以内に医師に診てもらえる「15 分ルールの確立」を目指します。
●救急医療情報システムの充実など医療と搬送の連携強化、ER(救急治療室)の拡充、救急医療を担う人材の育成、予算の確保など、救急医療を取り巻く諸対策を進めます。
全国に400カ所のER(救急治療室)を整備
●全国のER(約150カ所)や救命救急センター(約200 カ所)を整備拡充し、24時間、すべての患者を受け入れるER型救命救急センターを配備します。救急専門医などの養成を進め、将来的には、全国400カ所の整備を行います。
小児集中治療室(PICU)を備えた小児救命救急センターを整備
●小児集中治療室(PICU)を備えた小児救命救急センターの整備を拡充します。小児救急体制を強化するため、小児救急の専門医を育成し、全国に50 カ所のPICUを整備します。
ドクターヘリの全国配備50機を促進
●2012年をめどに全国に50機の配備を目指します。2009年度中に24機まで達成し、残りの配備も急ぎます。さらに、1機当たり1億円の運航経費を補助します。
ドクターヘリの機能強化への整備
●日没後の救急対応が可能となるよう、山間部など医療過疎地を中心に夜間照明付きのヘリポート(災害広場兼用)の整備を推進します。また、フライトドクターなどドクターヘリ関係医療スタッフを育成します。
都市型ドクターカーの普及を推進
●都市部の救急医療体制の強化には救急車搬送に加え、ドクターカーの普及が不可欠です。ドクターカーの適切な配備を実現するため、維持運営費を拡充します。
災害医療体制の充実強化
●DMAT(ディーマット)体制の拡充や広域連携の強化および、人材養成や必要な資機材を着実に充実します。
※DMAT:大地震や航空機・列車事故といった災害時に、被災地に迅速に駆け付け、救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医療チームDisaster Medical Assistance Teamの略称

がん対策
基本計画の個別目標の中間報告を実施
●がん対策推進基本計画の5年後の見直し(2012年度)を前に、2009年度末に中間報告を義務付け、がん検診率50%以上など、個別目標を達成させます。
拠点病院の機能を強化
●がん診療連携拠点病院の機能強化を進め、がん治療の地域格差を是正し、全国どこでも最適ながん治療を受けられる体制を整備します。
がん治療を選択できる社会へ
●がん治療の柱である手術、放射線治療、化学療法のうち、整備が遅れている放射線・化学療法の普及を図り、放射線療法・抗がん剤療法専門医などの育成を促進させます。
がん相談業務と情報発信、普及啓発を拡充
●がん難民対策として、がん相談支援センターの相談業務の拡大とともに、がん治療情報の発信を拡充します。がんを広く国民に知ってもらう普及啓発活動も促進します。
※がん難民:「どこに行けば良いがん医療が受けられるのか」「今受けている診断や治療は正しいのか」等不安と悩みを抱え、適切な治療を受ける病院が見付からない方々
がん対策予算を拡充
●がん対策推進基本計画にうたわれている個別目標を達成させるため、がん対策予算を拡充します。また、がん検診を支援するための地方交付税をさらに充実させます。
がんの痛みをとる緩和ケアを推進
●治療の初期段階から、がんの痛みをとる緩和ケアを受けられるようにするため、5年以内に、がんを担当するすべての医師への緩和ケアの研修を強力に推進します。
セカンドオピニオンの体制の整備
●患者自らが適切な治療法を選択できるよう、主治医に遠慮せず、気軽にセカンドオピニオン(別の専門医の診断)を受けられる体制を整備します。
学校におけるがん教育の見直しと教科書や副読本を充実
●小・中・高校生に対するがん教育を見直し、教科書の内容充実や副読本の配布を促進します。生活習慣との関わりなどを知ってもらい、がん予防を促進させます。
がん検診の充実
●無料クーポン事業でがん検診受診率の向上を図るとともに、前立腺がんなど高齢化によって増加している男性特有のがん検診の普及を図ります。また、2年に1回のがん検診の無料化を図り、受診率を向上させます。
女性のがん検診の充実
●女性特有の子宮頸(けい)がん、乳がん検診の受診率の向上を図るため無料クーポン券、検診手帳などの事業を継続します。また乳がん検診の精度向上のため、マンモグラフィー検診に加えて超音波(エコー)検診の導入・併用を進めるとともに、読影医の養成・確保など検診体制の充実・強化を図ります。
子宮頸がん予防ワクチンの早期承認・公費助成の導入
●若い女性に急増する子宮頸がんの征圧へ、予防ワクチンの早期承認とともに、ワクチン接種に対する公費助成の導入を推進します。
がん研究・開発等の推進
●免疫療法・抗がん剤・粒子線治療など新たな治療方法・治療薬の研究・開発を推進するとともに、新たな医薬品等の承認審査の迅速化と国内での利用普及を図ります。また、禁煙対策の推進など予防対策を強力に進め、がん罹(り)患率や死亡率の低下を図ります。

感染症・難病対策等
新型インフルエンザ対策の推進
●必要な抗インフルエンザウイルス薬の備蓄や必要なワクチンの安定的な供給の確保、地域における診療体制・相談体制の整備・強化を図るなど、総合的な新型インフルエンザ対策を推進します。
「難病対策基本法」の制定
●難病の原因究明と治療法の研究開発、患者・家族への医療費の負担軽減等を含む福祉的支援、医療提供体制の整備、在宅医療支援、就労・教育・相談支援等の総合的な難病対策を推進するため「難病対策基本法」を制定します。また、現行の難病対策の柱である「難治性疾患克服研究事業」および「特定疾患治療研究事業」の拡充・強化を図ります。さらに、医療費の負担軽減については、医療保険における高額療養費制度の見直しも併せて適切な措置を講じます。
※「難治性疾患克服研究事業」:症例数が少なく、原因不明で治療方法も未確立であり、かつ、生活面で長期にわたる支障がある特定疾患について、研究班を設置し、原因の究明、治療方法の確立に向けた研究を行う事業(現在130 疾患が対象)
※「特定疾患治療研究事業」:原因不明で治療方法も未確立のいわゆる難病のうち、治療が極めて困難であり医療費も高額である特定疾患について、医療費の公費負担を行い、患者・家族の負担の軽減を行う事業(現在45 疾患が対象)
「アレルギー疾患対策基本法」(仮称)の制定
●患者数が国民の3分の1を超えて増え続けるアレルギー疾患対策を進めるため、専門的医療の均てん化(格差是正)のための医療機関の整備、疾病に対する正しい知識を普及する健康教育、原因となる大気汚染対策など国の各機関が連携し対策を強力に進めるため、「アレルギー疾患対策基本法」(仮称)を制定します。
「肝炎対策基本法」の制定
●地域における専門治療施設の整備や治療費の負担軽減、治療方法等の研究開発の促進など、総合的な肝炎対策を強力に推進するため「肝炎対策基本法」を制定します。
白内障の多焦点眼内レンズ治療の保険適用
●白内障の多焦点眼内レンズ治療の保険適用を進めます。

健康増進対策等
8020(ハチマルニイマル)運動の推進と「口腔保健法」の制定
●80歳になっても自分の歯を、20本以上保つために、歯科健診と自己管理を通じて、健康づくりを行う「8020(ハチマルニイマル)」運動を推進するとともに、「生涯を通じた口腔保健の推進に関する法律」(通称:口腔保健法)を制定し生涯にわたっての口腔の健康の保持・増進を進めます。
生活習慣病の予防対策の推進
●医療保険者・関係機関等の連携強化を図り特定健診の受診率の向上を図るとともに、実効性ある保健指導を進めます。また公共の場での禁煙の徹底や禁煙の取り組みを支援する活動の強化により喫煙率の低下を図ります。
「女性健康研究ナショナルセンター」(仮称)の設置・女性専門外来の拡充
●性差医学の考え方を踏まえた女性の健康に関する研究を専門に行う「女性健康研究ナショナルセンター」(仮称)を設置し、生涯を通じた女性の健康支援の充実を図ります。また女性専門外来の全国的な拡充を進め全都道府県での開設を実現します。
女性の健康を一生涯サポート
●予防接種や治療歴、出産、健康診断の記録や、病気の予防情報などを記載した健康パスポートを発行し、女性の健康を生涯にわたってサポートする体制を構築します。また骨粗しょう症や貧血、乳がん、子宮疾患等の予防と早期発見のために、女性特有の疾病に対する健診の充実を図り、受診率を向上させます。
思春期外来の推進
●公的医療機関における思春期外来の設置を推進するとともに、保健所・保健センターにおける思春期の心身の問題に対する相談体制の充実を図ります。
総合的なうつ対策の推進
●うつ病の早期発見、早期治療の推進、専門医受診率の向上、精神療法の拡充強化など、すべてのうつ病患者が安心して治療を受け社会復帰ができる体制を整備します。また、職場におけるメンタルヘルスケア対策の充実と過重労働を是正します。
温泉を活用した健康づくりの推進
●温泉療法医、温泉利用指導者(員)などの人材養成や、温泉施設、旅館等の「健康増進施設」としての活用を進め、地域の温泉を活用した健康づくりを推進します。

安心の介護
「新介護ゴールドプラン」(仮称)の策定
●高齢化が進む2025年を展望し、必要な介護サービス基盤の整備の目標を示す新たな「新介護ゴールドプラン」(仮称)を策定します。また、公費負担割合の引き上げなどにより介護保険財源の安定化を図るとともに、医療・介護の一体的な提供を確保する地域包括ケアシステムを構築するため、診療報酬と介護報酬が同時改定される2012年の改定において所要の措置を講じます。
必要な施設・在宅サービスの充実 「多機能支援センター」の設置
●特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホームなど、地域の実情を踏まえ、必要な施設体系の整備・充実を図り、16 万人分の拠点整備を行います。また、訪問看護サービスの利用者数を10 年間で100万人に増加させるとともに、医療・介護・生活支援などを備えた「多機能支援センター」の設置を進めます。さらに、ニーズが高まる高齢者住宅の15万戸拡充、24時間型訪問介護など在宅サービスの充実を図ります。
都市部における介護・看護サービス付き高齢者住宅の計画的整備
●都市部における独居高齢者および高齢者夫婦世帯の著しい増加を踏まえ、地域で住み続けることができるよう、居宅における必要な介護・看護サービスの提供を保証する高齢者住宅の計画的な整備を強力に進めます。
介護従事者の処遇改善のさらなる推進
●介護従事者が安心して継続的に働ける雇用環境を築くため、賃金の引き上げやキャリアアップ支援など、処遇改善をさらに推進します。
高齢者の介護保険料を所得に応じてきめ細かく設定
●高齢者の介護保険料について、年金受給額に対して過度なものとならないよう、現行の所得段階別保険料を見直し、所得に応じてよりきめ細やかな設定を行い、低所得者の保険料の一層の軽減を図ります。
認知症の地域ケア体制の充実
●地域において認知症の早期診断・治療・ケア・相談など総合的な支援体制の充実を図ります。特に認知症デイサービスやショートステイの充実、訪問看護の強化など地域ケアの充実を図ります。
支援を必要とする高齢者や介護者の地域支援を強化
●孤立死防止のための全戸訪問調査や災害時要支援者把握のための支援マップづくりをはじめ、支援を必要とする高齢者や介護者を地域全体で支えるネットワークを構築するなど地域における包括的な支援体制を強化します。また、介護者のレスパイト対策(休息のための対策)を推進します。
療養病床再編後の医療提供体制の充実
●今後も増加する長期にわたって密度の高い医療サービスを必要とする要介護者への医療・介護サービスの一体的提供体制を確保するため、転換後の老健施設等への介護報酬等を実態に見合った水準に引き上げるとともに、必要なベッド数の確保と、可能な限り地域で生活を続けることができる地域ケア体制の整備を図ります。
難病やがんの要介護者等へのサービス提供体制を整備
●難病、遷延(せんえん)性意識障がいの患者やがん末期の要介護者などに対し、「短期入所療養介護」や、医療機関や訪問看護ステーション等と連携してサービスを提供する「療養通所介護」を本格的に実施する体制を整備します。
介護休業制度の充実
●介護で仕事を辞めざるを得ない状況を改善するため、介護休業制度のさらなる充実を図ります。
要介護認定の見直し
●要介護認定の在り方について、実施状況を検証した上で、適切な見直しを行います。

暮らせる年金
年金制度全般への対応
被用者年金の一元化
●被用者年金(厚生年金と共済年金)の一元化を早急に実現するとともに、厚生年金、共済年金の個人単位化を進め女性の年金権を確立します。
未納・未加入対策
●被用者年金の適用の拡大を進めるとともに、社会保障カードを早期導入し、減免制度の確実な適用等により国民年金の未納・未加入問題の解消を進めます。
国民年金基金の制度を改善
●国民年金基金の加入期間の延長や保険料の小口化などを進め、利用しやすい制度へと改善します。
無年金・低年金への対応
低所得者への加算年金の創設
●低所得者(単身世帯で年収160万円未満、それ以外は200万円未満)に対して、基礎年金を25%上乗せする加算年金制度を創設し、最低保障機能を充実します。(現在満額で66,000 円の国民年金の場合、83,000 円程度に引き上げ)
受給資格期間の短縮と保険料追納期間の延長
●年金受給資格期間を25年から10年へ短縮し、無年金者の発生を抑えるとともに、保険料の事後納付期間2年を5年に延長します。
「特定障害者給付金支給法」の改正
●無年金障がい者の幅広い救済を行うため、給付金の支給対象の拡大を目的とした「特定障害者給付金支給法」を改正します。また、国民年金の強制適用の対象となっていながら、未加入あるいは保険料未納で「障害年金」を受給できない方や、1982 年1月の国籍要件撤廃前に障がいを負った無年金の外国人について、「特定障害者給付金」の支給対象とすることを検討します。
※「特定障害者給付金支給法」:国民年金制度への加入が任意となっていたときに未加入であったため、「障害基礎年金」等の受給権のない障がい者に「特別障害給付金」を支給する法律
年金記録問題への対応
未統合記録の統合
●旧姓情報による突き合わせ、未統合記録の持ち主と思われる方への通知送付などにより、引き続き記録解明に取り組みます。最終的には公示等による解明・統合を検討します。
※未統合記録の状況:未統合記録5,095 万件のうち、今後解明を進め、最終的には公示等を検討する記録は、1,162 万件まで減少(2009年3月現在)
再裁定処理の迅速化
●職員の増員、再裁定処理システムの改善等により、社会保険業務センターへの進達から早急に3カ月程度で処理できる体制を構築するとともに、引き続き改善を進めます。
標準報酬等の遡及(そきゅう)訂正事案への対応
●被害者救済を第一義に、給与明細や雇用保険の記録等がある場合のほか、事業主や社会保険事務所への調査により、事実に反する処理が認められた場合は、積極的に社会保険事務所段階において記録訂正を行います。また、標準報酬月額等を記載した「ねんきん定期便」等の送付とフォローアップも行います。
※2009 年中に、すべての厚生年金受給者に、標準報酬等の情報を含むお知らせを送付。加入者には、2009 年4月から標準報酬等を記載した「ねんきん定期便」を送付
年金記録確認第三者委員会における処理の迅速化
●年金受給者からの申し立てを優先的に処理する(2008 年度中に年金受給者から申し立てられたものは、2009 年度中をめどに処理を終了)とともに、引き続き処理の迅速化を進めます。

障がい者福祉の向上
「障がい福祉ゴールドビジョン」(仮称)を策定
●障がい福祉サービス基盤の緊急整備(グループホーム・ケアホームの緊急整備、新体系への移行支援の強化等)や現在の障がい福祉サービス従事者等の処遇改善(従事者の処遇改善に取り組む事業者への資金の交付等)、地域相談支援体制の強化(相談支援専門員や提供体制の拡充)などを盛り込んだ「障がい福祉ゴールドビジョン」(仮称)を策定します。
施設サービスの質の向上と必要な整備の推進
●障がい者施設の持つ、障がい者の地域における自立した生活を支援する拠点としての機能、福祉人材の養成の拠点としての機能、強度行動障がいなど処遇困難な場合の高度な支援の拠点としての機能を確保するため、質の向上と充実を図ります。
「障害者権利条約」の早期批准と「障害者基本法」の改正、「障害者差別禁止法」の制定
●「障害者権利条約」の早期批准を図り、その理念に沿った「障害者基本法」の改正を行います。また、障がいを理由とした差別のない社会を目指す観点から「障害者差別禁止法」を制定します。
「障害者虐待防止法」の早期制定
●障がい者の人権を著しく侵害し、その自立や社会参加を大きく損ねる障がい者虐待を無くすため「障害者虐待防止法」を早期に制定します。
障がい児支援の充実
●各地域に「子ども発達センター」(仮称)を創設し、福祉と教育の連携のもとで、就学前から就学後にわたり、発達支援、放課後支援、家族の相談支援など子どものライフステージに応じた継続的な支援を行う体制を整備します。
自閉症・発達障がい児・者支援の充実
●自閉症・発達障がい児・者に対して、関係機関の連携のもと、早期発見と相談体制の構築、早期からの支援の充実、障がいの特性を踏まえた適切な教育体制の整備、青年期における就労支援の提供など一貫した支援体制の確立とその充実を図ります。
「障害者権利条約」に則った「障害者雇用促進法」の改正
●「障害者権利条約」の精神を踏まえ、雇用分野における障がいに基づく差別を禁止するとともに、差別事案に関する紛争処理手続きを整備するために「障害者雇用促進法」の改正を行います。また、障がい者に対して円滑に合理的配慮を提供できるよう企業に対する支援の充実を図ります。
「障害者就業・生活支援センター」を「全障害保健福祉圏域」に設置
●「福祉から就労へ」の理念に基づき、福祉や教育から一般雇用への移行を促進するため、障がい者の就業面および生活面における支援を一体的に行う「障害者就業・生活支援センター」の「全障害保健福祉圏域」(約360 圏域)への設置を目指します。
障がい者の住宅確保を支援
●障がい者が安心して暮らせるための住宅を確保し、ヘルパーなどが必要なサービスを提供できるようにします。また、障がい者と親が一緒に暮らすための住宅(アパート・マンション)を整備し、必要なサービスを提供します。
精神障がい者の雇用および職場定着の促進
●うつ病その他の精神障がい者に対する企業内のカウンセリング体制等の雇用環境の整備を促進するとともに、休業者に対するリワーク支援を強化することにより精神障がい者の雇用および職場定着を図ります。

発達障がい者の雇用促進
●発達障がい者のライフステージに応じた一貫した支援を可能とするため、成人期の就労支援として、ハローワークや「地域障害者職業センター」における専門的支援の強化、雇用管理上の課題の把握や事業主支援等を通じ、発達障がい者の雇用の促進と安定を図ります。
所得保障の充実
●「障害基礎年金」の引き上げ、就労支援の拡大、工賃の引き上げなど、障がい者の所得保障の充実を図ります。
公共機関のバリアフリーの促進と支援策の充実
●新バリアフリー法に則り、公共機関のバリアフリーの促進を図ります。また、バリアフリー化への各種支援策の充実を図ります。
障がい者のための情報バリアフリー化の推進
●公共放送などの字幕化の普及推進や、活字文書読み上げ装置、音声コードの普及など、障がい者のための情報バリアフリー化を推進します。また、選挙公報やねんきん定期便等の全文の点字化・音声コード化を進めます。
精神障がい者の障がい者割引の適用拡大
●精神障がい者も、JR・高速道路等交通機関の障がい者割引の対象に加えます。

【3 人を育む政治】

安心の子育て、少子化対策
幼児教育の無償化
●小学校就学前3年間の幼稚園・保育所・認定こども園等の幼児教育の無償化を進めます。
児童手当の抜本的拡充
●児童手当の支給対象を中学3年生まで引き上げます。また、次の段階として支給額も第1子1万円、第2子1万円、第3子以降2万円へと倍増を目指します。
保育所等の機能強化を図る抜本改革と待機児童ゼロの強力な推進
●保育所等の機能を、質量ともに強化する抜本改革を行います。
 認定子ども園や事業所内保育施設の設置促進を通じ、受け入れ児童数を拡大
 保育所待機児童ゼロを目指し、延長保育、休日保育、保育ママなど多様なサービスを拡充
 就学児童の放課後対策のため「放課後子どもプラン」のさらなる充実
妊婦健診の完全無料化の推進
●望ましいとされる14 回の健診を無料で受けられるよう財政的支援を継続します。また、里帰り先での健診や助産所での健診についても助成の対象となるよう、さらなる拡充を図ります。
出産育児一時金の拡充
●出産育児一時金を現行38万円から50万円へ引き上げを目指します。
乳幼児医療費の負担軽減の推進
●子育て世帯の医療費の軽減を図るため、乳幼児に対する医療給付のさらなる充実を図ります。さらに、各自治体へ財政的支援を行い無料化の取り組みを推進します。
「仕事と生活の調和推進基本法」の制定
●「仕事と生活の調和推進基本法」を制定し、国を挙げて企業と国民が一体となった「働き方改革」を推進し、ワーク・ライフ・バランスが図られる社会を構築します。また、テレワーク普及に向けた環境整備を図るとともに、企業に対する相談・助言を行う「仕事と生活の調和推進アドバイザー」を創設します。
中小企業の育児支援策の充実
●育児休業の取得や短時間勤務の導入を奨励するため、従業員100人未満の中小企業に対し、育児休業取得者1人当たり100万円の助成を拡充します。
地域の子育て支援体制の充実
●つどいの広場、地域子育て支援センター、ファミリーサポートセンターの整備など、地域子育て支援体制を充実させます。

社会総がかりで教育安心社会を構築
安心と活力ある「教育立国」の構築と「ヒューマン・ニューディール」の推進
 教育は、人格の完成を目指し、幸福な生涯を実現する上で不可欠のものです。公明党は、「安心の教育支援」「活力ある教育環境の整備」「文化・芸術の振興」などに取り組むことで、子どもから高齢者まで切れ目のない教育・学習環境を整備し、安心と活力のある「教育立国」を構築します。
 また、現下の経済危機に伴う世界の構造転換や少子高齢化の進展など、わが国が直面するさまざまな課題を解決するためには、「人材の確保と育成」も重要です。このような観点から公明党は、「ヒューマン・ニューディール」(「未来の人材」に対する大胆な投資)を推進し、GDPに対する教育の公費負担率を現在の3.5%から先進国並みへの引き上げを目指します。
「安心」の教育支援―子どもに優しい社会の実現
教育費の負担軽減
●中学生・高校生を持つ保護者の教育費負担を軽減するため、家計にかかる教育関係費の一部を税額控除します。
●修学の継続が困難な高校生の授業料を、親の所得に合わせて段階的に減免します。
●小・中・高等学校に通う経済的に困難な児童・生徒を支援するために、各都道府県に「教育安心基金」(仮称)を設置し、教材・図書等の援助や就学援助、給食費の支援等を行います。
一人ひとりに応じたきめ細かな奨学金制度等の構築
●高校生や大学生等が経済的な理由から教育を受ける機会が奪われることのないよう、給付型奨学金を創設します。また、無利子奨学金や返還免除制度を拡充します。
●大学ごとの採用枠を撤廃し、1次募集の段階ですべての学生に奨学金が貸与できるようにします。
●急激な社会状況の変化や家計の急変などに対応するため、奨学金の返還について、所得に応じた返還制度の創設を目指します。
●民間企業等による奨学金事業を拡大するための環境を整備します。
●大学等における授業料減免措置を拡充します。また、優秀な大学院生をティーチング・アシスタント等として雇用するなど経済的支援を拡充します。

「活力」ある教育環境の整備
子どもたちの学力向上
●子どもたちの学力向上を図るため、教員が子ども一人ひとりに向き合う環境をつくります。そのために教職員等の増員や資質の向上に取り組みます。
●少人数学級やチームティーチングの導入など学校の実情にあった学級編成ができるようにします。
●将来のわが国を支える人材を育成するために、子どもの理科離れ対策に取り組みます。実験や観察に必要な設備などを充実させるとともに、外部人材を活用した魅力ある授業の実施など理科教育を充実します。
●中学校卒業段階で日常英会話ができるようになることを目指し、義務教育での英語教育を充実します。
豊かな心を育む体験学習の拡充
●すべての小学生に1週間以上の農山漁村等での自然体験を実施し、子どもの豊かな心を育むとともに、地域コミュニティーの再生に取り組みます。
●すべての中学生に1週間以上の職場体験を実施します。
●すべての小・中学生に年に1回、本物の文化芸術に触れる体験を実施します。
●子どもが読書に親しむ環境づくりを推進します。
職業教育の充実
●インターンシップ(就業体験)の単位化の推進や、インターン(体験実習生)を受け入れる企業への支援の充実を図ります。
●生徒の能力や適性、学力などを考慮してふさわしい職業を選べるように相談・適切な援助を行う「キャリアカウンセラー」をすべての高等学校に配置します。
●職業教育および職業能力開発政策を抜本的に見直すとともに、現在、文部科学省・経済産業省・厚生労働省・農林水産省・国土交通省で行っている職業教育や職業能力開発政策を一元的に行う体制をつくります。
大学等における「授業単位互換制度」の拡充
●協定を結んだ他大学等での授業受講を可能とし、取得した単位を自分の大学等の卒業単位とすることができる「授業単位互換制度」を拡充します。
ポストドクター問題への対応策の推進
●大学院の博士課程を修了した研究者(ポストドクター)の就労支援を強化するため、大学や産業界との連携の強化を図るなど、就労支援体制を強化します。
教員への支援と資質向上
●多様な教育問題に取り組む教員を支援するため、教員OBや経験豊かな社会人、教職を目指す学生等を活用した「教員サポーター」(仮称)を1クラスに1人以上配置します。
●いじめや不登校などの深刻な状況や子どもたちの学ぶ意欲の低下など学校教育が抱える複雑・多様な課題に対応するため、「教職大学院」の質の向上などにより、高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員を養成します。
地域ぐるみで学校を支援
●教員OBや教職を目指す学生、高齢者など多様な人材が地域ぐるみで学校教育を支援する「学校支援地域本部」の充実および全国展開を進めます。
●放課後や週末の子どもたちの生活の場を確保するとともに、地域の協力を得ながら学習やスポーツ・文化活動などに取り組む「放課後子どもプラン」をすべての小学校区で実施します。
●公立・私立を問わず授業改革やカリキュラム開発、地域と連携した教育的取り組みなど、学校が主体的に行う教育力向上へ向けた取り組みに対し財政支援を進めます。
●養護教諭未配置校へ、子どものメンタルヘルスやアレルギー疾患等の対応方法について専門的な指導を行う「スクールヘルスリーダー」の配置を推進します。
地域・学校を重視する教育行政改革の推進
●学習内容の全国基準の設定、教育における地域間格差の是正、財政基盤の確保など、教育における国の役割を明確にし、その他の権限等は市町村や学校が行使できるよう、教育行政改革を段階的に推進します。
●地域・学校が教育目標、教員人事、学級編成、カリキュラム等を自由に設定できるようにします。
特別支援教育の充実
●発達障がい児等の教育機会を確保するため、教育的支援や教育環境の整備などに必要な財政的支援を拡充します。
●特別な支援が必要な子どもの教育(発達障がいへの対応を含む)の充実を図るため、公私立幼稚園や小・中・高等学校等に配置する特別支援員や通級指導担当教員を増員します。
●学校現場において、視覚障がい者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のために、カセットテープに代わるデジタル録音図書の導入を促進するとともに、教科書のデジタル化を推進します。
「認定こども園」を全国2,000カ所に設置
●地域の実情にあった総合的な少子化対策を進めるため、幼児教育や保育を提供するとともに地域の子育て支援を行う「認定こども園」を全国2,000 カ所に設置します。
専修学校等への支援の充実
●職業人の養成など、わが国の教育において重要な役割を担っている専修学校や各種学校の振興を図るため、財政支援の充実や教育制度上での位置付けの見直し等に取り組みます。
●若年者等が再就職活動等の際に専門的な技術を得られるよう、専修学校を活用しやすい制度の構築を目指します。

いじめ・不登校対策
●いじめや不登校の未然防止や早期発見・早期対応、教育相談体制の充実等を図るために外部人材の活用や子どもの居場所作りの推進など、課題を抱える子どもを積極的に支援します。
●不登校や引きこもりの子どもに対して、教職を目指す大学生などを心の友(メンタルフレンド)として家庭に派遣する「メンタルフレンド制度」の導入を推進し、子どもの健全な育成をサポートします。
●子どもや親などからのSOSに即時に対応できるよう第三者機関による「いじめレスキュー隊」(仮称)の設置を推進します。
●児童相談所や警察など、福祉・保健・医療・司法等の子どもの生活に関わる地域資源と学校との連携を円滑にするため、スクールソーシャルワーカー制度を拡充します。

生涯学習社会の構築
●社会人や職業人のキャリアアップやフリーター等の学び直しの機会の確保、高齢社会に対応した多様な生き方の実現等を目指し、大学や専修学校等でいつでも自由に学習機会を選択し学ぶことができる生涯学習社会を構築します。
●学校の空き教室等を活用し、生涯を通じて新しい知識や教養を身につける環境を整備します。また、団塊の世代等の社会参加や生きがいづくりを支援するため、地域の実情にあった拠点を作り、情報提供やネットワークづくり等を推進します。
●時間や場所、経済的な理由等から学習機会が制約されることがないよう、奨学金制度の充実や産業界・大学・専修学校・行政・NPO等の連携強化、インターネット等情報通信技術の活用等を通じて一人ひとりのニーズに合った学習環境の整備を推進します。

世界で活躍する人材の育成と外国人学校支援
日本人留学生の20 万人派遣と海外留学生の受け入れ体制の強化
●留学生政策を推進するための体制の見直しを行い、予算を拡充します。
●日本人高校生・大学生の留学生派遣20 万人を目指します。
●海外留学を希望する学生への奨学金について派遣計画を策定し、抜本的に拡充します。
●2020 年までに留学生受け入れ30 万人を目指し、当面5年間で大幅な拡大と留学生を受け入れる環境整備を推進します。
ユネスコスクールの拡大
●幼稚園から大学までユネスコスクールの認定校を、現在の70校から700校へ増やします。
日本語教育体制の強化
●世界中に拡大しつつある日本語習得希望者の増加に応えるため、国内外の日本語教育体制を強化します。具体的には、カリキュラムの基準や教材を認定するための法制化や日本語教員養成の充実を図ります。
外国人学校支援
●外国籍の子どものための外国人学校への経済的・人的支援を包括的に定めた「外国人学校支援法」(仮称)の制定を目指します。
●各種学校扱いの外国人学校に対する税制を含めた支援策を検討します。
●外国人の就学支援のため、支援員・日本語教育指導員の配置を推進します。

文化・芸術、スポーツの振興
文化・芸術の振興
●美術品等の貸借を円滑にするための国家補償制度を創設します。
●芸術家個人や文化団体への公的助成の対象として稽古手当や創作研究費などを支援費目に追加するとともに、創作や公演が終了するまでの一時融資制度の創設を目指します。
●芸能の鑑賞機会を拡大するため公演の充実を図るとともに、創造活動や人材育成に対する支援の充実など芸能の振興に取り組みます。
●地域の施設や多様な人材を活用し、世代を超えて多くの住民が文化・芸術を体験・享受できるよう、「地域文化芸術振興プラン」の推進など、地域文化活動を支援します。
スポーツの振興
●スポーツ振興政策の抜本的強化を図るため「スポーツ基本法」(仮称)の制定を目指します。
●生涯スポーツ社会の構築や国際競技力の向上、スポーツ観戦の推進など、スポーツ振興を総合的に進めるため「スポーツ庁」(仮称)の設置を目指します。
●地域の施設や多様な人材を活用し、世代を超えて多くの住民がスポーツを体験・享受できる「総合型地域スポーツクラブ」を拡充します。
●国民に夢を与えるトップアスリートの育成支援に取り組みます。
●障がい者スポーツの振興に積極的に取り組みます。
世界をリードする研究開発とイノベーションの創出
●科学技術立国の基盤を強化するため、宇宙・海洋・生命科学・脳科学など先端分野の基礎研究を強力に推進します。また研究開発力強化法に基づき研究者の養成・確保を図り、ポストドクターや女性研究者、外国人研究者などの処遇の改善を進めます。
●高校生・大学生の海外留学や海外の研究者の受け入れを進めるとともに、若手や女性の優秀な研究者が能力を発揮できるような環境整備を進めるなど、グローバルに活躍できる人材の育成と確保に取り組みます。
●わが国発のiPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療などの先端医療技術開発の実現に向けた研究に取り組みます。
●わが国の得意分野である環境エネルギー技術について、国際的な研究拠点形成を通じ、次世代太陽電池等の革新的な技術開発を行うことにより、新産業の創出と国際貢献に取り組みます。
●経済危機による世界的大転換の中で日本の存在感を示し、成長力を強化するため、イノベーションの源泉となる基礎科学力の強化に取り組みます。
●新型インフルエンザや自然災害などの脅威から国民を守るための研究開発に取り組みます。

雇用の安定
労働者派遣制度の抜本的見直し
●労働者保護・派遣労働者の処遇の均衡の確保のため、労働者派遣制度の抜本的な見直しを進めます。
 いわゆる「マージン率」が教育訓練等の必要経費を除外した上で適切な率となるような一定の規制の導入を図るとともに、“雇い止め”に対する派遣先の賠償責任を強化し、派遣労働者の処遇の均衡確保と昇進・昇格、正規雇用への転換の仕組みの整備などを行います。
 製造業における派遣・登録型派遣労働の在り方については、関係者の意見を踏まえ1年程度をめどに検討を進めます。
 偽装派遣の問題を踏まえ、請負業についてその適正な運営を図るため法制化を検討します。
「ジョブカード制度」の推進・普及
●ジョブカード参画企業への支援の強化や就職困難者に限らず、新卒者・高齢者も含めた「ジョブカード制度」の普及など、円滑な職業移動等がなされるよう、「ジョブカード制度」の推進・普及を図ります。また、職業教育、進路指導の一環として、ジョブカードの活用・展開を図ります。普及の度合いにあわせ、ICカード化についても検討します。
第2のセーフティネット「訓練・生活支援給付」の恒久化
●雇用保険の対象や失業給付の対象とならない労働者に対する第2のセーフティネットとして創設された「訓練・生活支援給付」の恒久化を図り、雇用のセーフティネットをより強化します。
ニート・引きこもり対策の推進
●地域若者サポートステーションを拡充し、すべての施設でアウトリーチ(家庭訪問)ができる体制や、高校中退者に対し、就労と学び直しの支援ができる体制を整備します。
再就職支援付き住宅手当の拡充
●離職者などが再就職のための活動に際し、住民票や金融機関の口座が必要となる場合が多く、安定した住居を確保する必要があることを踏まえ、再就職のための活動を安心して行えるよう、住宅費等を支援する「再就職支援付き住宅手当」の拡充を図ります。
非正規労働者の社会保険適用の拡大
●非正規労働者の雇用保険、健康保険、厚生年金の加入要件を緩和します。その際、増加する保険料については、企業負担分に一定の配慮措置を講じます。
最低賃金の着実な引き上げ
●生活保護との均衡を図り、全国平均1,000 円を目指し最低賃金の着実な引き上げを図ります。
就職活動の早期・長期化の是正
●就職活動の解禁日の復活や平日の企業訪問の自粛、通年採用の推進など、企業・学生双方にとってより有益で望ましい新たな就職活動に関するルール(新たな就職協定)作りを推進します。また、既卒者に就職の門戸を閉じることになる新卒者制限の撤廃など柔軟な採用活動の定着を図ります。
中途採用者の適切な待遇の確保
●中途採用者が、前職のキャリアを反映できるようにするなど、ガイドライン等において適切な待遇の確保を図ります。
女性の再就職支援策の充実
●出産、子育て後の女性の再就職を支援するマザーズハローワークの機能強化を図るとともに、再雇用制度の導入を進めます。また、正社員とパート労働者の均等処遇を推進します。
高齢者雇用の促進
●65歳以上の雇用確保を図るため、高齢者雇い入れ助成金の対象年齢を65 歳以上も対象となるよう引き上げます。また、多くの高齢者を雇用する事業所への税制措置を検討します。
母子家庭の母等の就業支援
●母子家庭の母等への就業支援として、職業訓練等の資格や技能の取得を促進するため、高等技能訓練の受給時における給付のさらなる充実を含めた職業訓練機会の充実や、トライアル雇用の拡充など自立できる正規雇用への移行をハローワーク等との連携を図りながら促進します。

格差是正、共生社会の実現
給付付き税額控除制度の導入
●生活支援、子育て教育支援等で減税と低所得者への給付を組み合わせた「給付付き税額控除制度」を導入します。
「社会保障カード」(仮称)の導入
●年金手帳や健康保険証などの役割を一元的に果たす「社会保障カード」(仮称)の早期導入を進めます。これにより、年金・医療・介護など社会保障にかかる個人の情報取得を容易にし、また税制と社会保障制度の一体的な運営の強化を図ることにより、給付付き税額控除制度や「利用者負担総合キャップ制度」(仮称)の実現を図ります。
ひとり親家庭への支援の充実
●母子家庭だけではなく、父子家庭、児童を扶養している年金受給者である祖父や祖母、児童をつれて離婚係争中のDV(ドメスティック・バイオレンス)被害者のひとり親家庭に対しても、所得に応じた子育て支援の充実を図る観点から児童扶養手当制度の在り方を抜本的に見直します。特に、母子家庭については、生活保護も含めた実態調査を実施し、適切な支援策を講じます。
「ユニバーサル社会形成促進基本法」の制定
●すべての人が互いにその人権を尊重しつつ、責任と権利を分かち合い、その個性と能力に応じてそれぞれの力を十分に発揮しながら、誇りを持って自立できるユニバーサル社会の形成を促進するため、基本理念等を定めた「ユニバーサル社会形成促進基本法」を制定します。
定住外国人労働者への支援の強化
●定住外国人労働者に対し、国と地方公共団体との連携により日本語研修や職業訓練の実施を通じた就労の確保を支援します。また、本人家族の医療や教育の確保など、総合的な支援を強化します。
総合的な貧困対策の推進
●わが国の貧困率の定期的な調査を行い、それに基づいて貧困率の低減の目標を定め、総合的な貧困対策を推進します。
高齢単身世帯の支援
●高齢単身世帯については、軽易な日常生活上の支援の充実や地域全体で支えるネットワークの構築など、地域における包括的な支援体制を強化します。

安全で安心な生活環境づくり
子どもの安全を確保
●凶悪犯罪から子どもや市民を守るため、全国で活動する防犯ボランティア団体(約4万団体)による「犯罪に強いまちづくり」への自発的な取り組みや防犯意識の向上を図る活動に、国や自治体が積極的に支援することを責務とする「地域安全安心まちづくり推進法」を制定します。
●子どもの安全を確保するため警察官OBなどを活用した、現在(2007年度)約2,800人の「スクールガード・リーダー」(地域学校安全指導員)を4,500人(小学校5校に1人)まで増やすなど、地域や学校などのパトロール体制を強化します。また、地域の防犯ボランティアなどによる自主的な取り組みを支援する「地域安全安心ステーション推進事業」を拡充します。
※「地域安全安心ステーション推進事業」:地域の自主的な防犯ボランティア団体が、物品の貸与(照度計、懐中電灯、防犯ブザー、腕章、防犯パトロール用防刃衣など)や、警察からの防犯情報の提供、防犯講習・訓練などの支援を受けることができる事業
治安の回復を実現
●刑法犯の認知件数を減らし国民生活の安全安心を確保するため、警察官の増員や質の向上などにより、ひったくりなどの街頭犯罪や振り込め詐欺などの防止、取り締まりを強化します。また、DNA型鑑定の一層の活用や、110番通報に対してより迅速に対応するため、携帯電話の発信地を通知する機能の導入を進めます。さらに、パソコンやインターネットなどを悪用したサイバー犯罪への取り締まりを強化し、犯罪仲間を募ったり、犯罪を助長したりするような「闇サイト」を法的に規制する方法を検討するとともに、情報モラル教育や啓発活動を推進します。
テロ・組織犯罪の撲滅
●銃器や薬物などの水際対策の強化や、暴力団、来日外国人犯罪組織などによる組織犯罪の取り締まりを推進します。
●麻薬撲滅へ向けて、国連薬物統制計画(UNDCP)など、国連関係機関への協力、ケシ栽培からの転作の技術・財政支援、警察機関の取り締まり態勢を強化します。また、水際での取引阻止に向けての海上警備態勢の強化など、総合的な対策を推進します。特に、近年急増しているMDMA等の合成麻薬の取り締まり強化や、大麻および加熱処理されていない大麻種子の所持および栽培、大麻吸引について法的規制も含め取り締まりを強化します。
●薬物乱用防止を推進するため、「薬物乱用防止キャラバンカー」の活用をはじめ、薬物乱用防止のための講習会など啓発の取り組みを推進します。
●国際テロの脅威や国内における外国人犯罪の増加に対し、諸外国との連携と協力、出入国管理体制の強化などにより、未然防止を図ります。とりわけ、テロに対しては、不測の事態における対処能力の強化、公共交通機関の教育・訓練を行うほか、緊急医療体制の基盤を整備します。また、関係各省庁の連携のもと、テロ資金の洗い出しやマネーロンダリング対策の強化をはじめ、あらゆる手だてを講じます。
安全で快適な交通の実現
●交通事故の減少を目指し、飲酒運転の取り締まり強化や、交通安全教育の推進、また、自動車のカーナビゲーション装置で、運転者に周辺の歩行者等の交通状況などを視覚・聴覚情報により知らせることで交通事故を防止するためのシステムの開発・整備などを推進します。特に、自転車の通行環境の整備、ルールの周知と交通安全教育、また、歩行者の安全のための環境整備による交通事故防止に取り組みます。
生活者が主役の消費者行政
●食品表示の適正化をはじめとした食の安全や、生活製品の安全、また、多重債務などの消費者問題に対して、真に生活者の立場に立って解決を図る、縦割り行政を排した消費者庁の早期スタートを推進します。また、消費生活センターの広域的な設置の促進や、商品検査機能を担う国民生活センターをはじめとした機関の機能強化、さらに民間のノウハウを活かすため民間から多様な専門分野の人材を登用するなど消費者行政の体制強化を図ります。
●消費生活センターなどが、障がい者、高齢者を含めたすべての消費者にとって身近でわかりやすい相談窓口となるよう万全を期すとともに、相談員が能力向上を図るための教育・研修の拡充や、人件費の拡充などの待遇改善を図ります。
●消費者庁に集約された情報の調査分析が機動的に行えるよう、消費者事故などに関する独立した調査機関の在り方について法制化を含めた検討を行い、事故原因の究明や、事故拡大防止、また、類似事故再発防止対策、未然事故発生防止対策の迅速化を図ります。さらに、事故情報の一元化に当たっては、児童や高齢者、妊産婦、障がい者などの事故情報について特別な配慮を行い、国民の安全を守ります。
●悪徳業者などの「やり得」を許さず、被害者の泣き寝入りを防ぐため、不当な収益の散逸の防止・はく奪により被害者を救済する制度の実現を目指します。
●消費者を取り巻く様々な問題から自身を守る力を養う消費者教育を推進するため、学校教育などあらゆる機会の活用や消費者教育を担う人材育成への財政措置を含めた支援の実施、消費者教育に関する法整備の検討を行います。
●国から認定された適格消費者団体をはじめ、消費者被害の情報収集などを行う消費者団体に対して、必要な情報提供や活動のための施設、資金などの支援を行います。
●盗難通帳やインターネットバンキングによる犯罪などについて、防止策を検討するとともに、預貯金者の保護のために金融機関が行っている自主的な取り組みの実効などを踏まえつつ、立法措置も含め必要な措置を講じます。
金融取引等における消費者保護
●商品の生産・流通の円滑化に資する産業インフラとしての商品先物市場の再構築と、消費者保護を確実に行います。
●多重債務者問題の解決に向け、改正貸金業法を予定通り施行するとともに、カウンセリング体制やセーフティネット貸付の充実、ヤミ金融や登録業者への取り締まり・監督強化、金融経済教育の充実などを着実に推進します。
●投資家保護の観点から、外国為替証拠金取引(FX取引)等金融商品の取引に関する規制を見直すほか、金融資本市場が公正に機能するため、規制の強化を行います。
NPO支援
●NPOなどの非営利セクターに対する支援税制の認定要件緩和、寄付金控除制度を充実させます。
食育の推進
●子どもの豊かな成長、健康の増進、人格形成にプラスとなる食育の取り組みとして、食育啓発運動や学校における食育の推進を図ります。また、子どもが望ましい食習慣等について計画的に学習することができるよう、栄養教諭の増員や学校における米飯給食などの地産地消をさらに推進します。また、朝食を食べない若年層の減少を目指します。
自殺防止への支援拡充
●年3万人を超える自殺者を大幅に減らすことを目指し、自殺の防止に関する調査研究をはじめ、うつ病対策やカウンセリングの充実、遺族への支援など、自殺防止へ向けた総合対策を推進します。
DV防止やストーカー対策を推進
●2007年のDV改正法に基づき、被害者の保護・自立支援の充実を図るとともに、DVを犯罪として適切に対応するための施策を推進します。また、若者に広がるデートDVの予防啓発を進めます。さらに、ストーカーの取り締まり強化や、被害防止のための講習会の開催を推進します。特に、学校内でのストーカーへの対応を強化するため、被害防止の講習会や研修会の開催を推進します。
女子差別撤廃条約「選択議定書」批准
●女子差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を目指します。
郵政関連事業の改善
●郵政関連事業の民営化による経営状況などを踏まえ、さらなるユニバーサルサービスの確保、利便性の向上などを図るための改善を行います。

人権・司法
人権が尊重される社会の構築
取り調べ過程の可視化の本格実施
●警察・検察で実施している録音・録画による取り調べ過程の可視化については、冤(えん)罪を防止するため、裁判員制度の実施にかんがみ、刑事手続全体の在り方との関連に留意しつつ、本格的な実施を図ります。
児童ポルノの所持等の禁止
●子どもの福祉の観点から、児童ポルノ禁止法を改正し、児童ポルノの所持等を禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を新設します。
難民保護の拡大に向けた施策の推進
●難民の受け入れについて、難民条約の趣旨に基づき適切に審査を実施し、その拡大を目指します。併せて、第三国定住制度を着実に実施していきます。また、日本の在外公館に難民申請を希望する者が逃げ込んで来た場合、人道的な立場から一時的に保護する体制を整備します。
新たな在留管理制度の円滑な実施
●多文化共生社会の構築に向け、改正入管法(出入国管理及び難民認定法)等の円滑な実施を図ります。また、わが国における外国人の生活の安定を図る観点から、在留管理の在り方についてさらに必要な検討を行います。
「個人通報制度」の創設
●国際人権(自由権)規約で保障された権利を侵害され、国内の手続きでその救済がなされなかった際に、侵害された個人が、国連の自由権規約委員会に通報し、国に対して勧告を求めることができる「個人通報制度」を定めた国際人権規約の第一選択議定書の批准を目指します。
選択的夫婦別姓制度の導入
●夫婦の姓(氏)について、同姓または別姓の選択を認める選択的夫婦別姓制度の導入を実現します。
離婚後300日問題解決への取り組み
●母の離婚後300日以内に出生した子で、民法772 条の規定により、出生届が出せず、結果的に子の戸籍が作成されない事態の解決へ向けた施策を推進します。
性的マイノリティの人々の人権を擁護
●性的マイノリティの人々への偏見や差別をなくし、理解を深めるため、人権相談体制の強化や多方面にわたる啓発等に努めます。
 性的マイノリティの人々が暮らしやすい社会を実現するために、必要な施策を検討し、環境整備を図ります。
人権擁護へ、「人権侵害救済法」(仮称)を制定
●人権侵害による被害を適正かつ迅速に救済するとともにその実効的な予防を図るため、新たな人権救済制度の創設などを含む「人権侵害救済法」を制定し、人権擁護施策を総合的に推進することにより人権尊重社会の実現を目指します。
犯罪被害者施策の推進
●刑事裁判における被害者参加制度や被害者国選弁護制度、損害賠償命令制度などを確実に実施しつつ、犯罪被害者等の権利確立へ向けた施策をさらに推進します。
公訴時効制度の見直し
●凶悪重大事件等の公訴時効制度の在り方については、被害者遺族等の声を十分踏まえつつ、その時効を廃止、延長、あるいは停止するなどの検討を行います。
異状死死因究明制度の確立
●異状死死因究明制度の確立に向けて、「死因究明推進基本法」(仮称)を制定し、人材の育成や施設を含む体制の整備を図ります。

国民に身近で頼りがいのある司法の実現
法曹養成制度の強化・充実
●法科大学院を中核とする「プロセス」としての法曹養成制度の理念を損なうことなく、法科大学院における教育の質の向上を図り、社会の多様なニーズに応えうる人材を育成します。そして、法科大学院修了者がさまざまな分野で活躍できるよう職域の拡大を図ります。
裁判員制度の円滑実施のための環境整備
●裁判員制度が円滑・適正に実施され国民の間に定着していくよう、引き続き広報宣伝活動を実施します。併せて、学校における法教育の普及・発展を図ります。また国民がより参加しやすい制度にするため、育児・介護・就労および障がい者への配慮等の環境整備を行います。裁判員選任手続きにおける性犯罪被害者等の安全確保とプライバシー保護を図ります。
国民に開かれた行政訴訟制度の創設
●誰もが行政の不正をただせるよう、行政訴訟の体制整備を含めたさらなる改革を推進し、より国民に開かれた行政訴訟制度を創設します。
弁護士がゼロあるいは1人しかいない地域の解消
●法テラスの司法過疎対策によるアクセス・ポイントの設置等を推進し、弁護士がゼロあるいは1人しかいない「ゼロワン地域」を解消します。そのための財政支援も拡充します。
※弁護士「ゼロワン地域」:地方家庭裁判所支部管轄区域を単位として、登録弁護士が全くいないか、1人しかいない地域
スタッフ弁護士の大幅増員
●法テラスのスタッフ弁護士を大幅に増員するとともに、訪問・出張相談等を実施し、高齢者や障がい者などの司法アクセス困難者のための相談体制を整備します。併せて、若者や外国人向けの法律相談等のサービスを充実させます。また、対象が拡大した被疑者国選弁護制度に対応できる体制の整備を図ります。
民事法律扶助の充実
●経済的に余裕がない場合でも、適切に法的サービスが受けられる民事法律扶助をさらに充実させます。
再犯防止に向けた取り組みの推進
●性犯罪者処遇プログラムやアニマルセラピーなど受刑者への改善指導の強化や保護観察官の増員、保護司実費弁償金の増額および更生保護施設の充実により、出所者や保護観察対象者の社会復帰のための就労支援や居住支援など再犯防止に向けた取り組みを推進します。
登記事項証明書の手数料の引き下げ
●登記事項証明書の交付請求にかかる手数料を引き下げます。

【4 緑の産業革命】

未来の人類のために持続可能な社会を構築
地球温暖化の被害回避へ気温上昇を2℃以内に抑制
すべての主要排出国が参加する次期枠組みを構築
●工業化以前の水準からの世界全体の平均気温の上昇幅が2℃を超えないようにするため、世界の温室効果ガス排出量を2050年までに少なくとも50%削減するとの目標を世界全体で合意できるよう、わが国が全力を挙げます。
●米国、中国、インドなどすべての主要排出国が責任ある形で参加する、実効性ある次期枠組みの構築について国際合意を果たすため、わが国がリーダーシップを発揮します。
●途上国の地球温暖化対策の資金とするため、国際社会が連携した「地球環境税」(仮称)の創設を検討します。
●アジアにおける低炭素型・低公害型の経済活動の普及等を目指し、環境汚染対策と温暖化対策を同時に実現するコベネフィット・アプローチを推進するなど、「クリーンアジア・イニシアティブ」を具体化します。
●地球温暖化による被害に対応するため、アジア・太平洋における大規模自然災害リスク保険制度の創設を検討します。その際、わが国は、金融工学や衛星情報などの面で積極的に協力します。

世界最先端の低炭素社会づくりで内需拡大、競争力強化
「緑の経済と社会の変革」を具体化
●わが国が世界最高水準の技術を持つ環境分野への戦略的な投資を、経済成長や雇用創出につなげていく「緑の経済と社会の変革」(2009 年4月20 日斉藤環境相発表)の具体化を推進します。
温室効果ガス削減の野心的な国家目標を設定
●京都議定書約束期間(2008〜2012年)の目標(温室効果ガス1990年比6%削減)を確実に達成します。さらに2020年に1990 年比25%削減、2050年に同80%削減を目指し、世界最先端の低炭素社会を構築します。
※政府は2009 年6月、2013 年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みに関連して、「本格的な国際交渉に向けた第一歩」として、2020 年に2005 年比15%(1990年比8%)削減するとの日本の目標を発表した。この数字は、国内での省エネなどを積み上げた、いわゆる「真水」の目標。今後、海外での削減分や植林による加算分などが、国際交渉の進展の中で上積みされる見込み
低炭素社会づくり推進基本法を制定
●低炭素社会づくりの基本理念を明らかにするとともに、関連施策を長期的、総合的、計画的に推進するための「低炭素社会づくり推進基本法」を制定します。
低炭素化のエンジンをビルトイン――国内排出量取引制度等を本格実施
●2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みに備え、公明党は今後4年間(2009〜2012年)を「低炭素社会・基盤確立期間」と捉え、取り組みを強化します。
●現在、試行中の「排出量取引の国内統合市場」を遅くとも2013年までに本格的実施に移行させ、大規模排出者を対象とするキャップ&トレード型の国内排出量取引制度と、中小事業所等での削減を進める国内クレジット制度を組み合わせ、排出削減を進めます。
●低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための見直し)を推進します。また、税制抜本改革に向けて、炭素税の導入を検討します。
エコポイント制度を定着
●「グリーン家電エコポイント事業」の成果を活かし、同事業以外のエコ商品・エコ行動も幅広く対象としてエコポイントを発行する「エコアクションポイントモデル事業」についても、本格的に全国展開し、自立的ビジネスとして定着させます。また、地域版のエコポイント制度の支援も行います。
●商品の製造から廃棄に至るまでのCO2排出量をラベル表示するカーボン・フットプリント制度の導入を加速します。
●有価証券報告書における温室効果ガス排出量等の情報開示を進めます。
2020 年に再生可能エネルギーを20%以上にー電力の固定価格買取制度を拡充
●わが国のCO2排出の約3割を占める電気事業において、CO2排出の多い老朽化施設をCO2排出の少ない最先端施設に切り替えることを促進します。また、2050年の長期目標を目指して、電源構成の在り方の検討を進めます。
●太陽光、風力、バイオマス、地中熱、小水力等の再生可能エネルギーを2020年に最終エネルギー消費の20%以上へ引き上げます。その実現のため、低所得者層に配慮した料金システムを検討しつつ電力の固定価格買取制度を拡充するとともに、新エネルギー等電気利用法(RPS法)の導入義務量を引き上げます。
●国際再生可能エネルギー機関(IRENA)を通じて、新興国、途上国とともに再生可能エネルギーの研究開発、技術移転等に取り組みます。
2020年に太陽光発電を20倍に
●太陽光発電世界一の座奪還を目指し、太陽光発電導入量を2020年までに20倍に引き上げます。それに向けて補助金、優遇税制、電力買取制度、公的導入等で需要を拡大し、製品価格を半減することを目指します。特に「スクール・ニューディール」構想に基づき、環境教育の視点から、公立をはじめとする学校施設に3年間集中的に太陽光発電システムを設置します。
●バイオマス活用推進基本法に基づき、木質、下水汚泥などのバイオマス資源の先進的な活用を進めます。
省エネ・新エネ技術の開発・普及を促進
●太陽光発電、次世代自動車、燃料電池、ヒートポンプなど、わが国が世界トップ水準にある環境・エネルギー技術について、導入を後押ししつつ、研究開発を促進します。
※ヒートポンプ:熱を移動させる省エネ装置で、有名なものにエコキュート(家庭用給湯器)などがある
●ESCO事業の活用など、中小・小規模企業の省エネに対する支援を強化します。
※ESCO事業:省エネルギー改善に必要な、技術・設備・人材・資金などを包括的に提供する事業。省エネルギーで実現する経費節減分で、省エネ投資を賄う点が最大の特徴
低炭素の交通・住宅・地域を推進
●電気自動車、ハイブリッド車など、CO2排出量の少ないエコカーの普及を加速するため、減税、補助金、公的導入で支援し、エコカー新車販売を2020 年に新車販売の70%へ引き上げることを目指します。
●CNG自動車(天然ガス自動車)や電気自動車などに燃料等を供給するステーションの設置など、エコカーのためのインフラを整備します。
●住宅・建築物の省エネ化を進めるため、補助金、税制、低利融資などで支援するとともに、断熱基準の義務化など建築基準法の改正を検討します。
●7月7日のクールアース・デーを定着させ、地球温暖化防止への意識啓発を図るとともに、国境を越えて共感が広がる日とします。

地球の恵みを守る「自然共生社会」を構築
人類の基盤である生物多様性を保全
●生物多様性基本法に則り、人類の存続の基盤である生物多様性を保全し、持続可能な利用や関係のビジネスを促進します。
※生物多様性:生態系、種、遺伝子の多様性を指す
●生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)の2010年名古屋開催を契機として、森林、湿地、サンゴ礁等の生態系保全など、国際的取り組みを推進します。
●わが国の生物多様性保全の屋台骨として国立・国定公園の保全と適正な利用を推進するとともに、地域との協働を進めます。
●絶滅危惧(ぐ)種の保存、野生動植物の保護を進めるとともに、野生鳥獣などによる暮らしと生態系への被害対策を推進します。
●自然再生事業を推進するとともに、分断された生物種の生息・生育空間を相互に連結し、劣化した生態系の回復を図るエコロジカル・ネットワーク(生態系ネットワーク)の形成を進めます。
●緑の減少を食い止めるため、公共事業にノー・ネット・ロス(自然環境をこれ以上減らさない)の原則を活かすとともに、「ナショナルトラスト活動支援法」(仮称)の制定を検討します。
※ナショナルトラスト:広く募金を集め、自然環境などを取得、保存、公開する環境保護活動
●動物看護師を資格化するとともに、動物愛護推進委員の増員を図り、地域における動物の愛護と適正な飼養を推進します。
多面的機能を持つ森林を整備・保全
●森林の違法伐採等を防ぐため、適正に管理された森林から産出した木材に認証マークを付ける森林認証制度を国内外で拡大し、認証材の使用を促します。
●国内クレジット制度と連動し、森林整備を支援するカーボン・オフセット(CO2排出の埋め合わせ)を推進します。
●膨大なCO2を排出している森林火災を防止するために、衛星情報の活用を含む、アジア・大洋州における防止体制や支援枠組みの導入を推進します。
美しい水の回復へ水循環基本法を制定
●水循環基本法を制定し、水行政の一元化を進めるとともに、水質の向上、生物多様性の保全、親水環境の整備などを図ります。
●水不足解決へ、国内外でわが国の水ビジネスを支援します。
●温泉の利用を促進するとともに、温泉を保全するための影響評価手法や指針を策定します。また、温泉由来のホウ素、フッ素等の水質汚濁防止法の措置の特例を検討します。
●有明海再生について、干拓堤防の長期開門に向けた環境アセスメントを適正に実施します。
国内全世帯の水洗化を実現
●下水道整備事業の在り方を見直して合併処理浄化槽を普及させ、国内全世帯の水洗化を目指します。そのため浄化槽整備事業の助成率を継続的に3分の1から2分の1に引き上げ、対象となる浄化槽を大幅に拡大します。さらに下水道敷設地域での接続義務について、一定基準以上の合併浄化槽既設置者に対して柔軟な対応を実施します。
●既設の単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するため、撤去費用の助成対象となる単独浄化槽の使用年限撤廃、助成対象地域の拡大、排水設備設置費用の助成対象化を目指します。

循環型社会づくりを一段と推進
3Rを促進し、産業廃棄物、家庭ごみを徹底減量
●廃棄物の発生抑制、再使用を重視しつつ、3R(発生抑制=リデュース、再使用=リユース、再生利用=リサイクル)を促進します。特に、環境に配慮した製品設計の普及などで、事業所、家庭のごみを徹底的に減量します。
●製品のライフサイクルコストの「見える」化を推進します。
●携帯電話など使用済みの小型家電、使用済みの自動車などに含まれる希少金属(レアメタル)や希土類(レアアース)、重金属の回収・再資源化を推進します。
●廃棄物の不適正処理・不法投棄対策の強化について、法改正を含め、検討します。
●海岸漂着物処理推進法に基づき、漂着ごみ等の円滑な処理とその発生抑制を図るため、海岸管理者等をはじめとする関係者の責任を明らかにし、多様な主体との役割分担と連携を強化するとともに、必要な財政上の支援措置を講じます。
●イベントで消費される資源(電気、紙、水等)を節約し、廃棄物の発生を極力抑制します。
アジア各国の循環型社会づくりに貢献
●わが国の技術・規制・人材をパッケージにしてアジア各国の環境対策を支援し、アジアにおける循環型社会の構築に貢献します。
●海外の技術水準では適切に再資源化できない廃棄物(レアメタルなど)をわが国に受け入れ、処理する体制づくりを進めます。
●国内外のバーゼル条約の執行体制を強化するとともに、有害廃棄物等の不法・不適正な輸出入の根絶を目指します。
●EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の締結において、環境配慮条項の盛り込みを推進します。

安心して暮らせる環境を確保
化学物質から健康を守る体制を強化
●化学物質関係の諸法律を総合的に位置付ける「化学物質基本法」(仮称)を制定します。
●特に化学物質に感受性の強い子どものために健康影響を解明するとともに、「子ども環境保健推進法」(仮称)を制定します。化学物質に関する子ども環境保健ガイドラインの策定を進めます。
●水俣病被害者救済法に基づき、水俣病被害者の幅広い救済と解決を図ります。
●石綿健康被害者に対して隙間のない救済を実施するとともに、今後の被害を未然に防ぐための対応を急ぎ、アスベスト対策基本法の制定を検討します。
●アジア諸国における「石綿利用安全条約」の批准を推進します。
●CSR(企業の社会的責任)活動や、CSR活動の情報開示を進めます。
光化学オキシダントの広域化など新たな課題に対応
●近年広域化がみられる光化学オキシダントや、健康影響が指摘される微小粒子状物質(PM2.5)などの新たな課題に対し、取り組みを強化します。
●黄砂など越境物質による大気汚染を防止する国際枠組みづくりを検討します。
学校ビオトープなどで環境教育を充実
●環境保全活動・環境教育推進法を改正し、「持続可能な開発のための教育」の理念を踏まえた環境教育の充実を期します。その中で、学校、NPO、企業、行政をつなげて「持続可能な開発のための教育」の事業を促進していくコーディネーターの養成を進めます。
●自然と親しみながら環境の大切さを学ぶことで、情緒豊かな人づくりを進めます。そのため、小中学校に教科としての「環境科」の新設を検討します。また、「スクール・ニューディール」構想に基づき、太陽光パネル設置をはじめとしたエコ改修、学校ビオトープ(野生動植物が生息する空間)設置を進め、学校施設を環境教育の教材として活用します。

景気対策と成長戦略
経済危機を克服し、成長を可能にする未来投資
「未来予想図」の構築へ向けた賢明な投資
 昨年末より続いた世界的な経済危機と戦後最大の不況は、同時に、世界的な構造転換の大潮流が起こりつつあることを意味します。わが国がこのような難局を乗り越え、世界に先駆けて確固たる成長力を生み出すためには、短期的には緊急的な措置を大胆に展開し、中長期的には目指すべき「未来予想図」を明確に描き「賢明な投資」を進めていくことが重要です。
直面する経済危機への対応
 経済の「底割れ」のリスクが急速に高まりつつある中、わが国は、75兆円に及ぶ経済対策や「経済危機対策」など大胆な政策展開により危機的状況からの脱却を目指しています。危機から脱却し成長への加速度を増すためには、まず一層の金融仲介機能の円滑化による企業の資金繰り対策の充実など金融面でのさらなる対策強化が重要です。緊急保証制度等の十分な枠の確保や危機対応業務の機動的な対応、企業再生ファンドの拡充など、景気を安定軌道に乗せるための施策の充実に取り組みます。
持続的な成長を可能にする経済産業構造へ転換
 一方で、現下の経済状況の悪化・地球温暖化・人口減少など、日本が直面する構造的課題の解決を図るために、中長期的な視点に立ち健全な経済システムの維持発展の確保が必要です。そのために、新技術・新分野に対する集中的な投資を行い、「地域中小企業の活性化」「世界とともに成長する新たな経済成長メカニズムの構築」「低炭素社会の実現」など、新たな経済産業構造への転換を図りつつ、国民生活の安心確保や質の向上に資する経済成長を進めます。
 新たな経済産業構造への転換へ向けた集中的な投資とともに、経済成長に資する税体系の見直しも重要です。税制の抜本改革にあたっては、法人税の在り方について、課税ベースを拡大しつつ、実効税率の引き下げを図ります。
 さらに、経済産業構造の転換には民間事業者の活力を最大限に活かすとともに、行政による介入の最小化が求められることから、現行の事業規制について大胆な見直しを行います。

新たな経済成長メカニズムを構築
人口減少社会で持続可能な経済成長
●新経済成長戦略に基づき、国を挙げて経済成長政策を強力に実行し、人口減少社会にあっても民需主導の持続的な経済成長を実現し、実質GDP成長率年2.2%、実質GNI成長率年2.4%以上を目指します。
成長を加速、イノベーションを創出
●新たな成長への道を切り拓くイノベーションの創出を促進するため、産学官の連携強化による研究開発投資、人材育成、民間投資等を加速させます。
●研究開発の成果を国民生活の向上に直結させる革新的技術特区の整備などで、技術の実用化を促進します。
●サービス産業部門を中心に生産性向上のためのモデル指標の構築を図るとともに、官民による集中投資を促進します。
●医療・介護部門などへのイノベーション波及を進め産業育成を図ります。
●民間事業活動のさらなる活性化のため、現行の事業規制を抜本的に見直し、公正・公平な事業環境の整備に取り組みます。
暮らしの利便性を高める新産業を創出
●エコカー・エコ家電・太陽電池の「エコ3本柱」で、環境と調和した経済の発展を実現します。併せて価格の低減を図ります。
●低炭素社会の実現や安全安心社会の構築などの社会ニーズを踏まえ、ロボット・燃料電池・次世代環境航空機・宇宙利用に取り組むとともに、最先端医療・ナノ技術の開発など人々の暮らしの利便性を向上させる新技術の創出に集中投資し、国内普及を加速化します。
●新エネルギーの普及促進にはエネルギーの需給バランスを持続することが重要です。そのため最適な電力供給体制を構築する賢い次世代送電システムである「スマートグリッド」の普及に取り組みます。
※スマートグリッド:通信・制御システムも組み込まれた、次世代電力インフラ。発電施設、工場、ビル、家庭などの施設を結び、電力を効率的に安定供給する
スクール・ニューディールの推進
●公明党が主導した「スクール・ニューディール構想」の推進を図り、太陽光パネルの設置をはじめとしたエコ改修や耐震化、ICT環境の整備等、学校施設の整備を一体的に実施します。中でも、太陽光パネルの設置は、全国3万6,000 校の公立の小・中・高等学校に今後3年間かけて集中的に設置します。
通商政策を強化、アジアをはじめ世界の活力とともに成長する日本
●通商政策を抜本的に強化し、新幹線や原子力発電などわが国が世界に誇る技術力を活かして海外諸国の成長や生活の豊かさに貢献しつつ、特にアジア地域における内需拡大を総合的かつ集中的に推進する「アジア版ニューディール」に取り組みます。また、わが国にとって必要な資源などを確保するため、首脳・閣僚クラスによるトップ外交やODAの活用などを戦略的に推進します。
●経済危機に対する耐性強化と安定的経済成長の持続を目的に、ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)を活用するなど、21世紀の成長センターであるアジア全体の経済成長を目指し、東アジアの市場統合を実現します。
●高成長を果たす新興国など世界とともに成長する日本を目指し、環境・エネルギー等の分野における共同プロジェクトの推進など共通の産業基盤整備を進め、成長の好循環を促す取り組みを抜本的に強化します。
●停滞する世界経済の活性化と国内政策の整合性を図りつつ、わが国の成長に資するWTO(世界貿易機関)交渉の早期再開、妥結に取り組みます。また、必要に応じ弾力的なセーフガード発動の体制整備を行いつつ、新興国・資源国(アジア・中東諸国・アフリカ諸国・オーストラリアなど)とのEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を積極的に推進し、世界の経済安定に貢献します。
●省エネ・新エネ技術や原子力等の環境技術の高度化などにつき、アジア等海外展開を支援し世界の環境改善に積極的に貢献するとともに、わが国の環境ビジネスの発展を目指します。
●排出削減と経済成長を両立しようとする開発途上国を支援する環境プログラムの無償提供の拡大に取り組みます。
●わが国の知恵と技術を損ない消費者の安全安心を脅かす模倣品(自動車ブレーキなど)が世界に拡散することを防ぐ、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の交渉妥結を目指します。

地域経済・中小企業の活性化
中小企業予算の倍増と、経営力の強化
●中小・小規模(零細)企業支援を一層推進するため財政面・税制面・制度面を含めた施策を強力に推進するとともに、所要の関連予算の倍増に努めます。併せて、各都道府県における中小企業対策費の適正な予算措置の確保に取り組みます。
●中小・小規模企業の経営力を向上させ、地域・中小企業を支える商工会および商工会議所の組織機能を強化し、限界集落や過疎地域を含めた地域の機能を維持・振興するために、各地方自治体における中小企業対策費の適正規模の確保を図り、各中小企業団体の安定的運営と中小企業経営指導員の待遇改善を実現します。
●創業・経営革新・事業承継などに関するファンドの強化をはじめ、各種相談窓口の強化など総合的な支援を進め、地域の小規模企業の経営力の強化を図ります。
●金融支援・税制支援・経営支援など、中小企業への支援策にかかる行政書類の半減を目指します。
●個人事業主の将来の安心を確保するため、小規模企業共済(個人事業主向けの退職金制度)の加入対象者を3名に拡大します(現在経営者1名のみ⇒配偶者や後継者等の共同経営者を含む3名まで拡大)。
中小企業の資金繰り対策と貸し渋り防止
●中小企業への貸し渋りの監視など民間金融機関による資金供給の円滑化を図るとともに、経営計画や経営者、企業の組織などを総合的に検討して融資する「リレーションシップバンキング」の一層の取り組みを進めます。
●緊急保証制度・セーフティネット貸付制度の十分な枠の確保を図り、中小企業の立場に立った運用のため、無担保保証枠の拡大や、既往債務の条件変更など、資金繰りの柔軟かつ積極的な対応を図ります。
●日本政策金融公庫による、雇用調整助成金の支給までの間の「つなぎ融資」の積極活用を図ります。
●新会計基準対応(資産除去債務)における中小企業への負担軽減措置を図ります。
●景気後退や金融不安により、民間金融機関による中小企業への融資姿勢が慎重になる中、2007 年10 月に導入された責任共有制度の効果と影響について検証し、必要に応じてその在り方を改善します。
金融仲介機能が発揮できる金融行政の強化
●中小企業等への円滑な資金供給など金融仲介機能が正常に機能するよう検査・監督を強化するとともに、自己資本比率の低下等により金融機関の与信能力が低下することを防止するため金融機能強化法の積極的な活用等を進めます。
中堅企業・大企業支援
●地域経済の下支えのため、地域力再生機構(企業再生機構)の早期設置を図り、地域企業の再生の円滑化を進めます。
●日本政策金融公庫、商工組合中央金庫の危機対応業務による機動的な対応により、中堅・大企業の資金繰りについても円滑化を図ります。
●商工中金に企業再生ファンドへの出資枠を創設し出資損を政府が補てんするなど中堅企業再生を支援するとともに、中小企業整備基盤機構から中堅企業の再生ファンド向け出資ができるように、中小企業基本法による「中小企業」の定義を拡大します。
全国で新たな事業活動を促進
●産業活力再生支援や企業立地促進などで地域の雇用を確保し、活性化を進めます。また、産業集積形成支援などで中小企業の研究開発支援などを推進します。
●マンガ、ゲーム、アニメ、映画、デザイン・ファッションなど、価値を生産するコンテンツ(クリエイティプ)産業を日本経済の一翼を担う産業として位置付け抜本的な支援強化に取り組みます。
 著作権取引支援システム構築支援
 プロデュース人材の育成や事業化支援
 コンテンツ技術開発の促進
 ファイナンスや販路開拓等海外展開支援
 国際共同製作案件への支援
 コンテンツ取引市場作り支援
 人材流出防止や海賊版防止
●ゲーム・ソフトウエアなどさまざまな知的資産によって、国外への情報発信を応援します。
●中小企業と農林漁業者との連携(農商工連携500件)や、地域の技術・農林水産品・観光資源などの地域資源を活用した新事業の創出(地域資源活用プログラム1,000件)、異分野の中小企業同士が連携して創出する新事業(新連携1,000件)など、新しい成長をもたらす取り組みを積極的に支援します。
●農商工連携や地域資源を活用した新商品の開発・販売促進への支援(百貨店における地域産品の販売スペースの設置、海外見本市における出店・商談会開催など)を推進します。また、農商工連携における林業分野の連携(国内材の活用と地域活性化)を強化します。
●ものづくり中小企業の人事や技術の基盤の強化を図ります。(金型等の基盤技術の研究開発支援、試作品の開発支援、企業OBの中小企業への就職マッチング支援、研修事業等)
●中小企業向けの安価な財務会計ソフトウエアサービスや、「e物産市」の創設など、ICTによる地域・中小企業の活性化を図るため、ICT利活用支援やICTユーザーとICTベンダ間の連携支援などで地域サービスや各種産業間のネットワーク化を支援します。また、ICTを活用した新たなビジネスモデルの展開を支援します。
●中小・小規模企業にとって操業しやすい、家賃方式、安価、短期間契約の「まち工場団地」を再整備します。
●植物工場の普及拡大を目指し、省コスト化に向けた実証研究などの導入促進を図るため、蛍光灯をLED照明に切り替える際の導入補助や、独自の表示制度など関係法制を整備します。
●エンジェル税制の活用やベンチャーファンドの拡充など、ベンチャー企業に対する資金調達や経営支援の強化を図ります。
地域における社会的活動の支援
●少子高齢化、医療、環境問題など社会的課題をボランティアではなくビジネスで解決する活動(社会的企業)は、雇用機会の提供、地域の活性化、新たな働き方の提示等の大きな潜在力を持つ今後育成されるべき分野と位置付け、以下の取り組みを推進します。
 社会的企業の認知度を高めるためのキャンペーン活動の展開など、社会的企業の普及、啓発の推進
 収益性が高くない活動を支えるための、金融機関からの資金調達の円滑化
 大学等に専門的な教育プログラムを構築することを促すなど、社会的企業を担う人材を育成
 社会的企業の多くを占めるNPO法人による中小企業施策の活用拡大
 資金調達等を容易にするなど、国や地方自治体による社会的企業の信用力補完制度の創設
中小企業の各種相談の充実と事業再生
●地域力連携拠点など中小・小規模企業に対するきめ細かな支援を行う一本化された相談窓口として、融資相談・経営相談・販路開拓・再生支援など相談内容ごとに複雑化した経営課題解決に向け、一層充実したワンストップサービスの提供を図ります。
●事業承継にかかるワンストップサービスを提供する「事業承継支援センター」による使い勝手の良い事業承継制度の運営を図ります。
●中小企業再生支援協議会の機能を強化するとともに、改正産業活力再生特別措置法の活用等により地域経済を支える中小企業の事業再生支援を強化します。
●中小企業の事業再生のために必要な資金を供給する環境を整備するとともに、再チャレンジに関して気軽に利用できる相談窓口の拡充を図ります。
●下請中小企業の相談体制の拡充や、下請代金支払遅延防止法の運用強化などの下請取引の一層の適正化により、下請中小企業支援を総合的に実施し企業規模別や業種別の格差是正を図ります。
●起業のためのすべての諸手続きをインターネットでできる「ワンストップ・サービス」を実現し、開業率が廃業率を上回る「再チャレンジ社会」を実現します。
地域コミュニティーを担う商店街を応援
●地域コミュニティーの再生や地域経済の振興を図るため、中小小売商業振興法や地域商店街活性化法、中心市街地活性化法などの関係法制を抜本的に見直し、ソフト・ハード両面にわたる商店街ならびに中小小売商業者への総合的な支援の拡充を図ります。
●地域コミュニティーを担う中核的存在である商店街支援のため、低炭素社会や安心・安全、少子高齢化などの地域社会の課題に対応する商店街の取り組みを支援する中小商業再生事業予算の確保と増額を図ります。
●空き店舗対策などの商店街整備事業に取り組む商店街振興組合等に土地を譲渡した場合における特別控除の適用要件の緩和を図ります。
●空き店舗を活用した地域物産展開催、子育て支援施設の設置など地域住民の役に立つ取り組み支援など、商店街を地域コミュニティーの顔として住民が憩える場所に活性化します。
●全国商店街支援センターの活用により、商店街活性化のための人材育成、ノウハウ提供の推進を図ります。
●各種条例の制定などにより、スーパー・百貨店・量販店など進出した大型小売店の地域商店街活動への参加を促します。
新現役人材の支援と若手技術者への継承
●高い能力と経験を持つベテラン人材が第一線を退いた後(新現役人材)もその力を活かして企業や教育の現場で活躍し続けられるよう、人材の発掘やマッチングを行う地域拠点を拡充させるとともに、企業ニーズの掘り起こしと新現役人材とのマッチング事業を積極的に支援、登録数1万人を目指します。(2009 年5月現在登録数:8,850 人)
●中小企業のベテランの技能・技術を若手技術者が継承しやすくするため、産学連携製造中核人材育成事業により大学・高専等の教育機関で100 講座を開設し若手人材を育成します。
●地域コミュニティーを活用して団塊の世代が新たに活躍できる場を提供するなど、各地域の経済発展と安定的雇用を確保するため、適切なワーク・ライフ・バランスを図り各種人材の育成と活用に視点を置いた取り組みを行います。
●英国で導入されている「ギャップイヤー」制度を日本でも導入し、大学合格後1〜2年間、中小企業やボランティアを経験できるようにするとともに、新卒一括採用方式の見直しを進め、多様な職業選択が可能な社会を構築します。
●職人見習期間の賃金支払への助成制度創設や、職業学校授業料の減免など伝統工芸品の後継者育成策を充実します。
●経験・資金不足のために優れたアイデアを活かしきれない学生起業家を相談支援、資金援助の充実でバックアップします。
経済基盤強化へ、中小企業の知財活性化策
●研究力・開発力・信用力の向上など中小企業の経営基盤の強化に資する知的財産の活用を促進するため、法整備や税制措置など戦略的なインフラ整備を行い、創造・活用・保護など知的財産活用促進のための総合的支援を強化します。
●経営基盤の弱い事業者による知的財産の創造のため総合的な支援策を講じるとともに、技術およびビジネスモデル等における知的財産権の獲得と確保に向けた軽減措置に取り組みます。
●知的財産権の発掘・強化・拡大に向けた産学連携モデル事業の推進を図るとともに、共同研究の成果を迅速に事業化に結びつける仕組みを整備します。
中小運送業などへ、原油高対策支援
●中小トラック運送業における下請け・荷主適正取引推進や、燃料サーチャージ制の普及・徹底のため、経団連をはじめ荷主団体等への強力な協力要請を進めます。
●原油高騰で深刻な打撃を受ける中小運送業者支援として、セーフティネット保証料の一部補助や、省エネ型事業を実証する中小・小規模企業へ燃料費高騰分の一部を補てんする事業の実現を目指します。
下請け・官公需対策
●下請代金支払遅延等防止法の改正ならびに執行強化、下請適正取引推進ガイドラインの活用、下請企業の相談受付体制の充実など、下請企業に過度な負担となっている取引慣行を是正します。
●地域建設業に対する総合評価制度を異業種にも適用できる制度を創設し、国や自治体の調達における、地域中小企業の受注機会の拡大を図ります。
国民目線での独占禁止法等の適切な運用
●不当廉売や優越的地位の乱用などに対する課徴金や罰則の強化を受け、国民目線での運用を図るためのガイドラインを策定します。また、将来的には公平かつ公正で、健全な企業活動を確保するための透明性の高い審判制度の構築を図ります。
●新たな商取引の在り方に見合う独占禁止法・下請法等の適切な運用のため、マンパワーの確保に努めます。

低炭素社会の構築へ向けた新エネルギー戦略
新たなエネルギー戦略を構築
●原油高騰など国民生活を圧迫するリスクを回避し、エネルギーの安定供給に向け、エネルギー自給率目標の設定など新たな中長期の目標を含めたエネルギー戦略を構築します。
資源外交の推進と資源市場の安定化を
●石油・天然ガスに加えレアメタルなどの各種資源を含めた広範な産出国と消費国間の対話の一層の推進や、商品取引市場の透明性の確保など原油等資源市場の安定化への取り組みで、価格の安定化を図ります。
「資源大国」を目指した取り組み
●わが国近海に存在するメタンハイドレート、海底熱水鉱床の実用化に向けた取り組みを進め、わが国の資源・エネルギーの海外依存度の引き下げを実現します。
●都市鉱山開発、国際的な資源獲得戦略、水処理技術の国際展開の強化などによる「資源大国」の実現を目指します。
●森林や下水汚泥などバイオマスの活用によるエネルギー利用や、海洋資源、海中資源の抽出等によるレアメタル等の獲得施策を推進し、ニュービジネスの展開を図ります。
厳格な原子力発電運用で住民理解と安全を確保
●エネルギー安定供給と地球温暖化対策の推進のため、原子力発電の安全性を確保しつつ稼働率を上げるなど適正に推進します。
●原子力発電所の安全審査を厳格に行うとともに、新耐震指針を踏まえた耐震バックチェックの厳格運用など安全性を向上させるための新検査制度を導入し、地域住民の理解と安全を確保します。
●原子力発電の一層の安全性の強化を図るため、事故情報の迅速な開示など事業者の体質改善を一層促進します。
●世界でトップレベルにあるわが国の原子力安全技術を展開することを通じて、原子力の平和利用や安全ネットワークの構築にリーダーシップを発揮します。

ICT(情報通信技術)による経済の底力発揮
ICT産業のグローバル化の推進
●ワイヤレス、デジタル放送、次世代IPネットワークなど、わが国が強みを発揮しうるICT産業分野について、特にアジア地域に重点をおいたグローバル展開を積極的に推進します。
●日本ASEAN(アセアン)経済連携協定後の中長期的なアセアンとの協力として、アジア地域での「グリーンICT」の推進・企業情報セキュリティの確保・電子商取引の環境整備・ICT人材育成など、ICTを活用したより高度な知識経済圏の構築に向けた協力プロジェクトを推進します。
ICT産業の成長促進
●2010 年代に成長が期待される新たな電波利用システムやサービスの実現、わが国が強みを持つ分野について研究開発の加速化などにより、現在約100 兆円のICT産業の市場規模を、2015〜20 年に倍増させます。
デジタルコンテンツ市場の拡大
●放送コンテンツなどわが国が強みとするコンテンツの流通促進により、わが国コンテンツ市場を約5兆円拡大させます。
国民電子私書箱構想の推進
●2015 年までに、国民が自らの年金記録などの情報を入手・管理することができ、また、幅広い分野で24 時間簡単にワンストップの行政サービスを利用することができる「国民電子私書箱」構想を実現します。
地上デジタル放送への円滑な完全移行の実現
●2011年7月の地上デジタル放送への円滑な完全移行に向けて、デジタル受信機やチューナーの国民への一層の普及促進を図ります。また、地形や建造物等によるデジタル難視聴対策を推進します。さらに、適正な廃棄・リサイクルの一層の推進など、環境に配慮した取り組みを行います。
デジタルディバイドの早期解消
●市町村が実施するブロードバンド整備に対して支援を行い、「ブロードバンド・ゼロ地域」の解消を早期に実現します。また、ブロードバンドと防災・医療等の公共的アプリケーションとの一体的整備を推進します。さらに、市町村が実施する鉄塔整備に対して支援を行い、携帯電話がつながらない地域を解消します。
携帯電話のさらなる利便性の向上と料金引き下げ
●携帯電話のSIMロック解除や、携帯メールアドレスの持ち運び等により、さらなる利便性の向上を図るとともに、携帯電話料金の引き下げを行います。
※SIMロック:携帯端末に使われるSIMカードに制限を設け、他会社の携帯端末に自由に着脱できないようにする仕組み
ICTによる安心・安全な地域社会の実現
●ICT関連技術を活用して、遠隔医療、児童・高齢者見守り、防災情報提供などの取り組みを推進し、地域住民が安心・安全を実感できる環境をつくります。
テレワークの推進
●子育て中の女性、障がい者等の就業機会の拡大、ワーク・ライフ・バランスの実現等の観点からテレワーク(ICTを活用した場所と時間に制約されない柔軟な働き方)の普及拡大を推進します。
違法・有害情報対策の推進
●青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、全国で青少年のリテラシー(情報の理解力・発信力)を向上させる活動やインターネットが青少年に与える影響の調査を踏まえた的確な対策、違法・有害情報の検出等に資する技術開発への積極的な支援を行います。
電子行政クラウドの推進による行政の効率化
●クラウドコンピューティング技術などの最新の技術を活用し、中央省庁の保有する情報システムのハードウエアの統合化・集約化などを図る「霞が関クラウド」の実現により、中央省庁の情報システム経費を削減します。また、地方公共団体の保有する情報システムについても、可能なものから統合・集約などを図る「自治体クラウド」の構築を推進します。
※クラウド:ユーザーが自分のコンピューターでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要な機能だけ」利用することができる新しいネットワークの利用形態(クラウド=雲)
医療分野におけるICT利活用による医療の質と安全性の向上
●地域の医師不足などの問題に対応するとともに、全国で質の高い安全な医療を受けることを可能とするため、ICTを利用した遠隔医療を推進します。
高度ICT人材の育成
●ICTに関する技術や利活用方法を理解し、高い付加価値を創造できる高度ICT人材について、産学官連携によりその育成拠点の形成を図ります。
情報バリアフリーの推進
●高齢者・障がい者が使いやすい情報通信機器・技術の開発およびサービスの提供の促進等により、ユニバーサルデザインの普及促進を実施するとともに、字幕放送・解説放送等を普及・促進します。
グリーンICTの推進
●ICTの利活用で、エネルギー利用効率の改善、人・モノの移動の削減、生産・消費の効率化、CO2排出量の可視化などにより、CO2削減を図ります。また、環境性能に優れたデータセンターへの統合などにより、ICT産業自体の省エネルギー化を推進します。
●ICT機器の省エネを進める「ICTの省エネ」と、エネルギー管理や道路交通システムなど「ICTを用いた社会の省エネ」を両輪として、2030年に日本が目指す省エネ目標分の、3分の1の省エネに貢献します。

魅力ある農林水産業・農山漁村づくり
 世界的な食料価格高騰や食の安全に対する関心の高まり、さらには、わが国の食料自給率の低さや農林漁業者の高齢化などの課題に対し、将来も持続可能な農林水産業への改革が求められています。公明党は、農林水産業が産業として自立するための構造改革を推進するとともに、農林水産業を魅力のある仕事としていく環境づくりと農山漁村の生活環境の整備を進めます。
食料自給率50%を目指して
●2015 年度までに食料自給率をカロリーベースで50%、金額ベースで80%程度に引き上げることを目指します。そのために、公明党としてまとめた「食料自給率50(ごーまる)プラン」(2008年6月19日発表)を実施するよう国に求めます。
※食料自給率50 プラン:米の活用、地産地消の推進、輸出の促進など、消費・需要拡大対策を図ることで、食料自給率向上に資する提案
●輸入への依存度を引き下げるため、産地確立交付金など水田フル活用に向けた対策を大幅に強化し、麦・大豆等への支援を拡充するとともに、米粉用・飼料用など新規需要米への支援を充実します。また、飼料米や食品残さを加工処理した飼料「エコフィード」などの自給飼料の利用拡大を図ります。
●水産物の自給率65%を目指し、つくり育てる漁業を推進します。
●食料安全保障を確立するため、食料安全保障に関する国の基本方針を策定します。国内の供給力の向上のほか、輸入食品の安定確保を図るための国際ルールの確立や国外農業への投資、備蓄の充実など総合的な取り組みを行います。

食の安全・安心を確保
環境保全型農業の推進
●化学肥料・農薬の使用を抑制するために、土壌診断など土地管理対策を推進します。また、家畜伝染病対策を進めます。
●消費者に的確な情報を伝えられるようJAS法改正などで食品の不正・虚偽表示対策を強化するとともに、加工食品等の原産地表示の充実を図ります。また、食品へのトレーサビリティーシステム(生産流通情報把握システム)の導入を促進します。
●食の安全を確保するため、生産段階でのGAP(農業生産工程管理手法)や、製造段階でのHACCP(危害分析・重要管理点)手法の導入を支援します。

活力あふれる農業に再生
農業所得の向上と安定化
●農業所得を向上させるには需要拡大策と販売対策が重要です。国産農産物の需要拡大に向け、地産地消の推進や消費拡大キャンペーンの実施などを推進するとともに、「食料自給率50 プラン」に基づく取り組みを国に求めます。さらに、米飯給食の拡大や災害用の非常用保存食・アルファ化米の備蓄を推進します。
●農商工連携事業の推進、直売所の普及や農業販売会社の設立支援など販売促進の支援、輸出支援など販売対策を行います。
●米作の収入減少影響緩和対策における標準的収入の算定を見直し、セーフティネットを充実します。
●生産目標の都道府県間調整で適地適作を進め、水田フル活用を一層進めます。
●食料の安定供給のため、植物工場や超長期冷凍技術の導入による周年供給体制の整備を支援します。また、農用機械等のリース助成を充実しコスト軽減を支援します。省エネなどに取り組む農業・漁業者などへ燃料費高騰分の一部を補てんします。
●高温障害への対応に関する情報の提供や育種戦略の立案など高温障害対策を講じます。
●持続可能な農業を推進するため、肥料・農薬・家畜の糞尿による土壌や水質など環境への負荷を抑える農業(畜産業を含む)の取り組みに対して、直接支払いを行います。
農の雇用の拡充、農地の有効利用
●若者等の就業を支援するとともに、農業経営を学べる「農業ビジネススクール」の推進や農業生産法人への経営支援策の充実を図るなど、農の雇用を拡充します。
●農地の有効利用を図るため、農地集積につながる農地の賃借に対して交付金を支給する制度を促進します。
●高齢農業者の経営資源を円滑に継承するため、農業経営継承事業を推進します。また、第一線を退く農業者に新規就農者等の農業指導員や農業委員会協力員として従事してもらう農業・農村人材バンクを推進します。自ら耕す自給的な農地については確保します。

つくり育てる漁業の推進
資源管理で持続的な漁業へ
●水産資源の適切な管理を推進するため、TAC(漁獲可能量)の決定プロセスの改善を図るとともに、対象魚種を拡大します。資源回復計画の着実な実施を図ります。
●藻場・干潟、魚礁など漁場の整備を行うとともに、廃棄された漁具等による魚類への被害である「ゴーストフィッシング」対策を行います。また、栽培・養殖漁業への支援を拡充します。
漁業所得の安定化
●漁業所得を安定化させるため、地域・グループによる協業化・省エネ化の取り組みを支援します。
●地元農水産物の直販施設である「フィッシャーマンズ・ワーフ」などの整備、輸出支援などの販売対策を講じます。地産地消の推進、学校給食での利用など需要拡大を図ります。
●漁港などの周辺地域等における漂流漂着ごみ対策や防風林の整備など、海岸環境の改善を図るとともに、防災対策を強化します。また、漁業の有する多面的機能を評価し、重要な役割を担っている離島等の生活環境の改善を図ります。

木材需要の創出で山村・林業を活性化
「木材利用推進法」の制定で木材自給率を向上
●木材自給率を2012 年までに25%に引き上げます。「木材利用推進法」の制定で、森林資源産業と住宅・木製品産業の連携を図ることで国産材、地元材の活用を促進するなど、総合的な需要を創出します。
●国産材の需要拡大に向け、「木づかいカーボンストック減税」(住宅に一定量の木材を使用した場合に税額控除)等を導入します。また、国内クレジット制度と連動し、森林整備を支援するカーボン・オフセット(CO2排出の埋め合わせ)を推進します。
●木材の供給力を向上させるため、定額助成で間伐の実施や路網の整備、境界の明確化事業を支援します。また、「提案型集約化施業」の普及や事業者の協働により安定的に木材を供給できる体制づくりを支援します。
※提案型集約化施業:複数の森林所有者に対して、森林組合が一体的に伐採などの施業を提案し実行すること
●「緑の雇用事業」による高性能林業機械の操作研修などの人材育成を推進するとともに、高性能林業機械・乾燥設備等の導入を支援します。
森林循環の確保
●森林循環を確保するため、複層林化や針広混交林化等を推進するとともに、再造林の促進を図ります。
●再生可能な有機性資源であるバイオマスの利用を総合的に推進するための環境を整備します。また、木質ペレットなど木質バイオマス利用を促進します。特に、年間2,000万m³に上る林地残材をバイオマス等で活用するための取り組みを支援します。

農山漁村の生活環境を整備
中山間地域や都市部の農業への支援
●地域の活性化や農地等の保全のために、中山間地域等直接支払、農地・水・環境保全向上対策を拡充します。鳥獣被害対策の予算を確保し被害対策を推進します。
●都市にあって多面的な機能を担う都市農業が持続可能なものとなるよう、都市農地に対する相続税の納税猶予制度を維持しつつ、都市農地の保全を含めた都市政策全体の国のビジョンを策定します。
農山漁村の生活環境整備
●日常生活に必要なサービス(買い物や福祉サービスなど)を一元的に提供する拠点「村のコンビニ」づくりを推進します。
●農村におけるレジャー農業の機会を提供するため、農地を確保するとともに体験農園等の整備や棚田オーナー制度などへの支援を推進します。

日本の豊かな未来像を描く、国土形成
 経済不況からの脱却を図り、人口減少の中で安定した成長を確保するとともに、低炭素社会を構築する中で、活力と安心、ゆとりある地域生活を確保するため、新たな時代の新たな国土形成を目指します。
 道路整備計画からムダを排除するなど、国民目線に立った真に必要とされる国土の総合的かつ体系的な利用と開発と保全のハード・ソフト両面にわたる未来像を描くため、「経済成長と活力の確保」「特性を生かした地域の発展」「文化と景観、観光の推進」「暮らしの安全と安心」「低炭素社会を構築」に貢献する諸施策を実行します。

経済成長と活力の確保
景気回復へ、工事前倒し発注
●公共工事の入札契約制度改革を進め、公正公平な建築土木市場の構築を図るとともに、地域経済を活性化し地域の防災に貢献する地域建設土木業の経営基盤の強化を図るためにも、総合評価制度の機動的な運用で地元企業への優先発注を実現します。
●学校の耐震化やバリアフリー化など社会資本ストックの保全事業や調査事業、地方道路をはじめとする遅れ発注の早期是正を行うとともに、経済対策の一環として3年間の前倒し実施を行います。
 経済対策と低炭素社会構築の両面の効果をもたらすため、適正な社会資本整備の推進として未整備の高速道路や東京外環道等の3環状道路のミッシングリンクの早期結合を図ります。
 ゲリラ豪雨対策として、中小河川、都市部河川の整備を前倒しして推進します。

社会資本ストックの戦略的管理
●高度経済成長期に集中投資した道路、河川、下水道、港湾、公営住宅等の社会資本ストックの老朽化に対応する、長寿命化計画の策定や予防保全等の計画的な実施を推進する、戦略的な維持管理体制を構築し、安全・安心の確保とライフサイクルコストの低減を図ります。
●すべての社会資本ストックに対する非破壊検査技術の導入を進め、ICタグと人工衛星が連動したセンシング技術の導入で、災害時の対応をはじめ適切な予防保全管理を可能とする効率的な点検・検査の技術開発と体制整備を進めます。
中古住宅市場などの活性化
●中古住宅市場の流通量を3倍に増やします。
 リフォーム工事保険などの各種保険制度の創設
住宅リフォーム融資制度の拡充
中古住宅の価値を目利きする「ホームドクター(ホームインスペクター)制度」の創設
●中古住宅市場の流通促進と長期優良住宅(200 年住宅)の普及などを促進するため、住宅の設計図や修繕記録などを記した「家の履歴書」の整備を図ります。
●マンション管理適正化法の拡充により、マンションの適切な管理や老朽マンション再生の促進を図ります。
●住宅金融支援機構による住宅ローンの拡充や、既往債務の返済条件の緩和、ノンリコースローン(担保不動産価値を上回る返済のない融資制度)が提供される仕組みの構築など、住宅金融の拡充で住宅市場の活性化を促します。
安心安全な住宅供給と生産性向上の両立
●新築はもとより、リフォームやバリアフリーなどの改修工事において、安心安全な住宅の供給と住宅建築市場の活力を両立すべく改正建築基準法の一層の整備や機動的な運用を行います。特に、耐震偽装などを未然に防ぐ厳格な建築制度の確保と建設業の生産性向上の両立を目指し、構造計算適合性判定の円滑化を図るなど、建築確認手続きのスピードアップを図ります。また、住宅建築にかかる速やかな紛争処理を行う機関の設置と、詐欺の対策、悪徳業者対策に取り組みます。
建築基本法(仮称)の制定
●建築関係者をはじめ広く国民が共有できる質の高い建築物の整備に向け、目標や基本理念、関係者の責務を定める「建築基本法」(仮称)を制定します。
PFI制度の積極的活用
●PFI制度(公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法)の一層の活用を促し、コストパフォーマンスの高い(低コスト高サービス)公共サービスを提供します。
単品スライド条項の適用拡大
●資材価格の急騰急落に対応する単品スライド条項の適用を拡大し、同条項の適切な運用と着実な実施を推進し、税金の適正な活用と建設事業者への影響を低減します。

特性を生かした地域の発展
新たな交通総合システムを構築
●道路に対する国民ニーズの多様化を踏まえ、コンパクトシティの推進などまちづくりとともに、自動車中心の道路の在り方を転換し、歩行者や自転車が安全・快適に通行できるよう、既存道路の歩行者専用道路への転換、トランジットモール(一般車両を制限して歩行者・自転車・公共交通機関に開放された道路)等の新しい専用道路概念の導入など生活に密着した人間重視の道路整備を推進します。
●鉄道・自動車・船舶・航空などの各種交通機関の特性と地域ニーズに的確に対応し、低炭素社会に資する新たな交通総合システムを構築するとともに、地域間格差を是正する交通ネットワークの整備を着実に実行します。
●LRT(低床式路面電車)の整備や地方鉄道の再生、低床バスの普及など、地域の公共交通機関の整備促進を図ります。
●整備新幹線を着実に整備し人材交流や地域間連携の確保・強化を図ります。また、超伝導リニアの早期実用化を図るため所要の措置を行います。
●国際空港のハブ(拠点)機能の強化や、中枢港湾の機能の強化を図り、国際競争力の回復を図るとともに、モーダルシフト(トラックや航空機による輸送から、環境に与える負荷が小さい鉄道や海運などの輸送手段に転換すること)を進めます。港湾・道路整備とともに、地域の特性とニーズに見合う空港機能の強化および、利便性の高い航空政策の展開を図ります。
●既存の高速道路ネットワークの効率的な活用を図り、スマートインターチェンジ(高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バスストップに設置するETC専用のインターチェンジ)を整備促進します。
●公共交通事故を未然に防止するため「公共交通安全対策総点検」(仮称)を実施するとともに、運輸安全委員会の厳格かつ果断な運用を行います。
高速道路料金の大幅割引
●物流の効率化を図るため高速道路料金をさらに引き下げます。
●現在の高速道路料金割引制度の恒久化を目指します。
都市再生、コンパクトシティの推進
●都市基盤のインフラ整備はもとより、地域の特性を生かしたソフト面の整備を支援する体制の整備を行います。優良な民間都市開発を支援するため、民間資金やノウハウを活用して都市再生・地域活性化関連施策を推進します。政府系金融機関ならびに民間都市開発推進機構による資金繰り支援を実施し、事業の活性化を促します。
●医・職・住・遊など日常生活の諸機能を集約したコンパクトシティの推進で、歩いて暮らせる安心で快適な生活圏の形成と低炭素化を図ります。
●歩行者、自転車、自動車の安全な通行環境を確保するため、道路空間の再配分等により自転車専用の走行空間を新たに1,000 路線で整備するとともに、駐輪場の整備を図るなど快適な自転車利用の普及に努めます。
●市街地幹線道路、歴史的町並保全地区、観光地などの無電柱化事業(10年間で2.2万km、残り約1.9万km)を実現します。併せて沿道の植樹を進めます。
過疎地域など条件不利地域へ配慮
●離島・半島・豪雪地帯・山村地域などの条件不利地域の生活交通手段の確保などの生活基盤整備に配慮します。
 フェリー等の運賃の低減などの離島航路対策により島嶼(しょ)地域の生活コストを低減
 コミュニティーバス、デマンド乗り合いタクシー、福祉タクシーの倍増
 地方の赤字バス路線などの維持のための公共交通に対する公的助成

暮らしの安全と安心
防災・減災対策を強化
●地球温暖化にともなう気候変動による集中豪雨や土砂災害、風水害、地震、津波・高潮、豪雪対策など防災・減災対策を推進、強化します。海抜ゼロメートル地帯等における海岸保全施設の老朽化・耐震化対策、中小河川の治水対策、土砂崩れ対策、緊急物資の輸送に資する臨海部防災拠点の整備を推進します。局地的集中豪雨(ゲリラ豪雨)などによる洪水予測の強化や情報伝達の迅速化を図るとともに、避難経路確保や緊急災害対策派遣隊を拡充・強化します。また、被災者生活再建支援法等、災害関連法制の一元的運用にむけた体制を構築します。
耐震化を加速
●今後10 年間に住宅700 万戸、学校や病院などの特別建築物5万棟とその他建築物50 万棟について、建て替え・リフォームなどで耐震化を進め、2020 年までにすべての住宅・建築物の耐震化を目指します。
●2020年までに全国の密集市街地で救急車・消防車の進入可能な暫定進入路確保事業を完了させるとともに、同地域のリノベーション(既存建物を大規模改装し耐震性や省エネ性能などの用途や機能を高度化し建築物に新しい価値を加えること)を加速化します。
バリアフリーの推進
●2010 年までに1日の乗降客が5,000 人以上のすべての駅ならびに周辺地域のバリアフリー化を実現します。今後2年間を集中取り組み期間として目標完遂を目指します。また、1 日の乗降客が5,000 人未満の場合でも地域の拠点になっている駅でのバリアフリー化を順次推進します。
 一定基準以上の駅で鉄道ホームドア(可動式ホーム柵)の設置を推進します。
●全国に600 カ所ある「開かずの踏切」を、高架化や拡幅、横断歩道橋、交通迂回などによって2016 年までに100%解消するとともに、「賢い踏切」を導入するなどスムーズな交通網を整備します。
※「賢い踏切」:急行・各停など列車の速度の違いを判断して、警報開始時間を最適化する踏切。これにより待ち時間の短縮につながる
●ビルやマンション等のコンクリート建築物、エレベーターやエスカレーター、遊園地の遊具施設などの建築構造体の適切な維持管理を実施するために、非破壊検査技術の導入によるエコ検査の技術開発と検査体制を確立し建築物の安全を確保します。
住宅セーフティネットの確保
●高齢者等の持ち家を借り上げて、子育て世帯等に転貸する「住み替え支援事業」を幅広く展開します。また、リバースモーゲージの普及を促進します。
※リバースモーゲージ:高齢者等が持ち家を担保に自治体や金融機関から融資を受け死亡時に一括返済する制度
●良質な民間賃貸住宅の供給や賃貸に関わる紛争の防止など、適正な民間賃貸住宅市場を整備します。介護サービスや生活支援サービスを24 時間365 日受けられるようケア付きの高齢者向け賃貸住宅を2014 年度までに新たに15 万戸供給します。また、公的賃貸住宅団地に医療・介護・子育てなどの施設を1施設以上整備し、地域の福祉拠点として再生します。
●高齢者向けに優しい街づくりを進める「安心住空間プロジェクト」を一層推進することで、高齢者向け民間優良賃貸住宅や公的賃貸住宅団地等において介護等の高齢者向け福祉拠点を一体整備するとともに、民間賃貸住宅に高齢者福祉施設を整備するための助成制度を措置します。
●保育サービス等を提供する子育て支援施設や障がい者福祉施設などが併設された公的賃貸住宅の整備を推進します。
公的住宅の整備促進
●地方公共団体による既存民間賃貸住宅ストックの借り上げ制度やPFI方式による公営住宅ストックの更新など、民間に管理を委託する等柔軟な方式で、高齢者世帯・子育て世帯の家賃負担を軽減する住宅セーフティネット対策を強化します。
●65歳以上の高齢者および障がい者が居住する公営住宅のバリアフリー化率を2015年度までに100%にします。また、民間住宅についても現行のバリアフリー改修税制の充実を図るなど高齢者や障がい者が安心して暮らせる環境を整備します。
●公的住宅の家賃減額措置等を拡充し、子育て世帯や年金生活者等の安定居住確保に向けた支援措置を実施します。
 また、大規模地震災害対策や孤立死問題への対応など、団地居住者と周辺住民とのコミュニティーを形成する地域交流福祉拠点を目指します。
●公的住宅への定期借家制度の導入について、既存の住民の権利と暮らしを脅かすことのないよう、理解と協力に基づき適正に運用します。
●都市再生機構(UR)の賃貸住宅ストックの活用など、既存居住者をはじめ高齢、子育て、新婚など住宅困窮世帯の住宅セーフティネットとして40 万戸確保します。

低炭素社会の構築
環境保全型事業の推進
●公共事業の実施にあたっては、環境アセスメントの導入を推進し環境保全型事業を推進します。
●地下水・下水再生水・雨水など眠っている水源を活用して、緑地の拡大や公園の整備、散水などヒートアイランド対策をはじめとした「水と緑のネットワーク」の保全・再生・創出のための施策を推進します。
省エネ住宅や省エネ建築の整備促進
●住宅投資を促す税制などにより、長期優良住宅の普及や既存住宅のリフォームを強力に促進し、住宅の長寿命化・省資源化策を推進します。
●住宅・建築物の高断熱化、高効率化機器等やビル用エネルギー管理システム等の導入支援、屋上緑化・壁面緑化の一体整備の推進、エコハウス、エコビルの増加やエコ改修の普及を図ることにより、住宅・建築物の省CO2対策を推進します。
●屋上緑化、電線地中化後の樹木設置などによる都市基盤整備の推進により景観と低炭素社会の基盤整備を進めます。
省エネ交通システムの整備促進
●外部電源式アイドリングストップ冷暖房システムによる「エコトラックパーク」を実現します。また、船舶版アイドリングストップへの支援や荷役機械の省エネルギー化も推進します。
●自動車整備工場におけるエコカー検査技術の支援を早急に行います。
●サービスエリアや道の駅にプラグインハイブリッド自動車や電気自動車用の急速充電装置の設置を推進します。高速道路の壁面への太陽光発電設置を推進します。
●ヒートアイランド対策とゲリラ豪雨対策の一環として、透水性・保水性に優れた自然土舗装材や廃コンクリートからリサイクルしたブロック材と緑化による「エコ歩道」や「エコパーキング」を整備します。

地域の活性化へ観光の推進
長期休暇の弾力的取得
●GW(ゴールデンウイーク)期間の方面別取得、秋のGWの創設を図り、混雑などロスのない経済効果を確保します。
 家族旅行や個人旅行で地域を活性化させるため、長期休暇取得の推進や学校長期休暇の分散化を推進します。
●地域の歴史や文化、自然や景観に触れ体験するエコツーリズムの積極支援など、子どもなどの情操教育の一助となる観光形態を支援します。
外国人観光客誘致へ環境整備
●外国人観光客を2020年までに年間2,000万人を目指し、人材育成や外国語表示の充実など外国人受け入れ体制を強化します。
●燃料税や空港使用料の低減などで、オープンスカイに対応できる航空会社の経営基盤を強化するとともに、航空運賃の値下げを実施して、国内観光の活性化を図ります。
●アジア・ゲートウェイ構想を着実に具体化。成田・羽田空港間の移動を含めた一体的な24時間運用を実現するなどハードインフラの整備とともに、利便性の高いトランジット(乗り換え機能)等のソフト整備を実現します。羽田―北京間の日中定期チャーター便の就航を推進します。

その他
気象観測機能の強化
●基幹的広域防災拠点の整備と、地震監視機能の強化など災害緊急情報収集・伝達システムの構築を図り、緊急地震速報や津波情報、土砂災害警戒情報など迅速かつ的確な防災情報の提供を図ります。
 地球温暖化に対応するため、陸・海・空あらゆる角度からの観測・監視を強化します。また、わが国における温室効果ガスや気候変動に関する極端な現象の感知・予測体制を強化します。
海上の安全確保
●海賊および海上テロ対策、密漁や麻薬取引などの犯罪対策と安全確保のため、海上保安庁と外国の関係機関との連携訓練など相互協力を強化するとともに、高性能な巡視船艇・航空機の整備などを進め、一層の体制強化を図ります。また東南アジア諸国やソマリア周辺諸国の周辺海域における法執行能力向上のための人材育成支援を推進します。
●国内海運事故を未然に防ぐため、AIS(船舶自動識別装置)を活用した航行支援システムの積極的運用による迅速かつ確実な情報提供など必要な措置を講じます。

【5 地方分権をすすめ、地域主権型道州制へ!】

地域主権型道州制の導入
 公明党は地域主権型道州制導入の道筋を明確にします。
 国の出先機関の廃止・縮小、地方の税財源の充実等のため、新「地方分権一括法」を制定し、地方分権を新たなステージへ移行させます。
 その後、国民的議論を喚起しつつ、3年を目途に「道州制基本法」を制定し、概ね10年後から地域主権型道州制に移行します。
 これにより、国のカタチを大きく変え、21 世紀にふさわしい効率的な政府を確立します。
 自立した「地方政府」の確立により、各地域の活性化を図るとともに、身近な行政サービスを充実し、住民本位の地域づくりを進めます。

地域主権型道州制の導入
道州制の意義―地域活性化で日本を元気に!
●これまでの中央集権体制を根本から変え、中央政府の権限は国でなければできない機能に限定し、日本の各地域が、地域の生活や振興に関して独自の決定ができる権限を行使する「主権」を持つ「地域主権型道州制」を導入します。
●地域主権型道州制のもと、各道州がそれぞれの地域で潜在力を発揮し、活性化や国際交流のための拠点整備を行い、自立可能な経済構造を創造することにより、日本全体に活気をもたらします。
●中央の官僚が主導するのではなく、住民本位の地域づくりを行います。そのために自治立法権、自治行政権、自治財政権を備えた地方政府を確立します。
●地域主権型道州制の導入を進める中で、国の縦割り行政の解消や国と地方の二重行政の解消を図り、さらに、各道州による地域のニーズに柔軟に対応した効率的・効果的な行政と責任ある財政運営を行います。
制度設計
●国、道州、基礎自治体の3層構造とします。
●基礎自治体の在り方について、福祉、教育など住民福祉を効率的に実施するため、一定の規模が望ましいところですが、原則として道州が判断することとします。
●国民生活に関する行政は、一義的に基礎自治体が担い、広域的な補完は道州が行うこととします。
●道州には道州議会を設け、道州の首長および議会議員は、その地域の住民による直接選挙で選出します。
道州制移行の道筋
●内閣に「検討機関」を設置し、3年を目途に「道州制基本法」を制定します。
●概ね10 年後から移行します。

新「地方分権一括法」の制定、国と地方との協議の場の法制化
●地域主権型道州制の導入に先立ち、国と地方の役割、事務事業の抜本的見直し、基礎自治体への権限移譲と自由度の拡大のため、新しい地方分権一括法を制定します。その際、国と地方の代表等が地方自治に関して協議を行い、地方が権限を有する「分権会議」(仮称)を法定します。
国の出先機関の廃止・縮小
●国の出先機関について、地方分権改革推進委員会の第2次勧告に基づき国と地方の役割分担を明確にしながら、事業の仕分けを行い、出先機関の廃止・縮小を大胆に実施します。そして国の事務・権限を大幅に地方に移譲します。道州制の導入の際には、ブロック別機関については、道州制への移行を含め大胆な見直しを図ります。
地方の税財源の充実
●自立した基礎自治体の構築のため、課税自主権を拡大し、地方交付税の財政調整機能に配慮しながら交付税の確保、補助金の大幅縮小、税源配分の見直しを一体的に検討し、国と地方の税源比率を1対1とすることを目指します。その際、地方消費税の充実を図ります。
市町村合併の推進
●市町村合併を強力に進め、1,000の基礎自治体を目指します。
定住自立圏構想等の推進
●地方への人口定住を促進するため、中心市と周辺市町村が協定に基づき相互に連携する「定住自立圏構想」により圏域ごとに生活に必要な機能を確保するとともに、都市から地方への移住・交流を促進します。
直轄事業負担金制度を廃止、地域視点の公共事業
●公明党は当面、維持管理にかかる直轄事業負担金を廃止します。その上で国と地方の役割分担を明確化し、最終的に廃止します。
●ムダな公共事業は即時廃止し、地域のニーズとコスト削減意識を持ちつつ、真に必要な社会資本整備を着実に実行します。また、策定から一定期間を経過した大型公共事業については大胆に見直し、必要に応じ計画打ち切りを断行します。
●地方自治体単位の基盤整備にとどまらず、地方分権を視野に、画一的な国土政策から地域の特性やニーズを反映する広域ブロックでの基盤整備による地域活性化を支援します。

【6 行動する国際平和主義】

行動する国際平和主義
 紛争への過度な介入は平和を遠ざけるのみ。座して平和を強調するだけでは何も生み出さない。公明党は、現実を直視した「行動する国際平和主義」こそが、人類が希求する平和を実現する道であるとの信念で世界に貢献する日本外交を展開します。
日米同盟の堅持で国民の安全確保
●アメリカと良好な関係を維持・発展させ、日米安全保障条約を堅持する中で、日本の平和と安全を守ります。
●「抑止力の維持と地元負担の軽減」という基本的な考え方のもと、米軍再編を関係地方公共団体および住民の理解を得ながら着実に実施し、日米間の安全保障・防衛協力の信頼性を向上させます。
●弾道ミサイルから国民の安全を確保する手段として、BMDシステムの着実な整備に努めます。
※BMDシステム:短・中距離弾道ミサイルを迎撃する防衛システム
アジア重視で信頼される日本
●中国との戦略的互恵関係、韓国との未来志向の関係の構築を図り、日中韓の関係強化に尽力します。
●「日中環境基金」(仮称)など国際環境協力のための資金メカニズムを創設し、環境問題等に長期的に取り組むための資金面でのバックアップ体制を構築します。地球温暖化対策の専門家や環境教育のリーダーを育成し、世界に輩出します。
●アジア諸国とのEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を積極的に推進し、アジア地域の経済統合を進めていきます。
●ASEAN(東南アジア諸国連合)を基軸に関係強化を進め、人材育成や留学生の受け入れ・国内企業での活躍促進等を図り、エネルギー問題協力、観光の振興、環境破壊や汚染拡大の防止など東アジア地域全体における広範な課題に取り組む東アジア共同体構想を実現します。
●緊急を要する国際救援活動のための資材などの保管場所をアジアの国に確保するなど、アジア近隣諸国の甚大な災害に対する国際救援活動に対応し得る派遣能力の充実を図ります。また、わが国のイニシアティブのもとに、各国間の緊密な情報交換・人的交流の促進、共同訓練の実施、民間との協力体制の構築などを推進し、各国が協力して対処するための枠組みを整備します。
●中国、韓国からの芸術家、文化人など民間人を積極的に招聘(しょうへい)する人的交流を推し進め、対日理解を促進します。
核兵器廃絶へ軍縮で世界をリード
●来年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功へ向けて国際社会との連携を強め、核軍縮・核不拡散体制の基礎となるNPT体制の強化を図るなど、「唯一の被爆国」として核廃絶への具体的一歩を進めます。
●包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指すとともに、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の成立へ向けて、関係国政府・国際世論に対する働き掛けを強め、交渉の早期開始を図ります。
●クラスター弾禁止条約の早期発効に向け取り組みを強めるとともに、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みの下で、米、露、中を含めた合意形成にリーダーシップを発揮します。
●対人地雷の探知・除去がさらに進むよう、技術を活用した機材の開発、人材の育成、ODAを含めた財政支援を行うとともに、対人地雷除去と併せて犠牲者支援や開発援助を行うなど、世界の模範となる取り組みを進めます。
●武器貿易条約(ATT)の早期締結を目指し、小型武器を規制する国際的枠組みが構築されるよう取り組むとともに、被害の多発する国における武器回収の実施や、復興のための開発などさまざまな支援を推進します。
●いわゆる「オタワプロセス」を活用するなど、ジュネーブ軍縮会議の全会一致ルール原則を見直し、軍縮を推進します。
※オタワプロセス:地雷廃止国際キャンペーン(ICBL)などのNGOが、対人地雷全面禁止に賛同する諸国と協力しながら条約交渉を行った結果、オタワでの対人地雷禁止条約が締結するに至ったプロセスのこと
●平和の拠点島「沖縄」を世界に宣揚するため、国際機関の誘致を目指します。
国際協調で築く世界の平和と安定
●国際社会の脅威である国際テロに対し、国際社会と連携し、責任ある役割を果たします。その意味から、各国が行う海上阻止活動を支えるインド洋での補給支援活動を引き続き行います。
●アフガニスタンおよびパキスタンの安定化に向けて、「ソフトパワー」を重視した民生支援・人道復興支援に積極的に取り組みます。そのために、さらなる文民派遣も含めて検討します。
●海賊対処法に基づき、海賊から日本人の生命・財産を守り、海上交通の安全確保を図るとともに、ソマリア沖の海賊問題の根本的解決を図るため、中長期的にソマリア情勢の安定化に向けた支援と沿岸諸国の海上保安能力の向上に貢献します。
ODAの積極的活用で「人間の安全保障」を推進
●経済的貧困、飢餓、麻薬、感染症から人間を守ることや、地球の環境保全、女性の地位向上、人身取引根絶、安全な水の供給など「人間の安全保障」分野にODA(政府開発援助)の20%を優先的に配分し、戦略的に活用します。
●ODA予算の5%を海外で働く日本のNGO(非政府組織)へ還元するとともに、その人的基盤への支援体制を強化します。
●イラク、アフガニスタンへの復興支援を着実に進めるために、ODAを有効に活用し、医療、教育、通信・放送、地雷・不発弾処理などを促進します。
●第4回アフリカ開発会議(TICADW)および主要国首脳会議(G8)洞爺湖サミットでの成果を踏まえ、アフリカ向けODAを2012 年までに倍増するなど、アフリカ支援にさらに取り組みます。
●世界中で食料不足が深刻化する中、昨今の穀物価格の上昇により飢餓の危機に直面する途上国を救済するための支援を行います。
●日本の先進的な結核対策で世界に貢献するため、「ストップTB(結核)ジャパン・イニシアティブ」を提案し、世界の年間死亡者の1割(16 万人)の救命に努めます。
●途上国の新型インフルエンザ対策として、医療機材、抗インフルエンザ薬、ワクチンなどについて人道的見地から支援します。
平和構築に貢献する人材づくり
●自衛隊の非軍事貢献だけではなく、行政機構整備や復興開発に至る平和構築の全プロセスにおいて長期的支援ができる官民の人材育成で世界に貢献します。
●2010年に設立される「(仮称)国際平和協力センター」(いわゆるPKO訓練・広報センター)を、自衛隊が行う国際平和協力活動のみならず、関係省庁、国連・国際機関、NGO関係者、一般の国民、さらには諸外国関係者などと連携し、PKO(国連平和維持活動)をはじめとする国際平和協力に関する教育・研修・研究および広報を実施する機関として活用します。
●平和構築人材育成事業を多様化・拡充するとともに、NGO等の外部人材を積極的に活用することにより、平和人権外交の基礎となる在外公館・マンパワーの充実を目指します。
「人道的競争」へ国連を改革
●公明党が推進してきた「人間の安全保障」や、日本が提唱する「平和の定着」構想を推し進めるため、わが国の平和構築委員会の活動への積極的参加を促します。
●国連総会直属の常設機関としての人権理事会が実効性を持てるよう、日本が機能強化を先導するべく尽力します。また、国連での人権決議を進めることにより「拉致問題」への理解を深めます。
●軍事、経済面の諸課題の対応から、人道的貢献を競う新時代に即した国連に向けて、国連改革をバックアップします。また、21世紀型安保理の実現に向けて、日本が平和と繁栄の経験・知見を最大限発揮できるよう常任・非常任理事国の構成見直しを含む安保理改革を推進します。
国民に開かれた防衛省
●防衛力を整備するために必要な防衛費を確保します。その上で、防衛関連経費の高コスト体質を是正し、効率的な装備品などの調達を図るため、思い切った総合取得改革を推進し、本年度から5年間で5,000 億円の防衛関連経費のコスト縮減を実現します。
●貴重な国民的財産である防衛医科大学校や自衛隊病院など防衛省が持つ医療施設において、一般患者の受け入れ拡大を推進するとともに、救急医療施設としての活用や災害時における連携など地域医療に貢献します。

財政運営の在り方と財源確保
持続可能な社会保障制度に向けての財源の確保
 高齢社会、人口減少社会の中で、国民の安心と持続可能な社会保障の構築は、最重要の課題です。年金、医療、介護の社会保障および少子化対策の機能強化を図るとともに、消費税を含む税制の抜本改革の中で、安定的な財源を確保します。
税制の抜本改革の道筋
 消費税を含む税制抜本改革については、「中期プログラム」に示された方針・考え方に沿って、(1)全治3年の景気回復を前提に、(2)社会保障の機能強化の具体化、(3)行政改革・行政のムダ排除の徹底、(4)消費税の使途の社会保障と少子化対策への限定、(5)消費税のみならず税制全体の改革、などの条件の下で、その時々の経済状況をにらみつつ、2010 年代半ばまでに段階的に実行します。

税制抜本改革の基本的な視点
(1)税制全般の一体的改革
 税制の抜本改革にあたっては、所得課税、法人課税、消費課税、資産課税等を含め税制全般について一体的に改革します。
(2)格差の是正、所得再分配機能の強化
 格差の是正や所得再分配機能の強化を図るため、所得税の最高税率の引き上げや相続税の見直しを行います。
(3)給付付き税額控除制度の導入
 生活支援や子育て教育支援等の観点から、いわゆる「給付付き税額控除制度」を導入します。
(4)消費税の社会保障目的税化
 消費税収の使途は、年金、医療、介護の社会保障給付および少子化対策の費用に限定します。消費税の見直しに際しては、複数税率の検討など低所得者への配慮措置を講じます。
(5)税制のグリーン化、自動車関係諸税の見直し
 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。
 また、自動車関係諸税については、取得、保有、走行各段階における複数の課税について簡素化を図ります。特に、自動車重量税の軽減など暫定税率を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担を軽減します。
(6)地方の税財源の充実
 自立した基礎自治体の構築のため、課税自主権を拡大し、地方交付税等の財政調整機能に配慮しながら交付税の確保、補助金の縮小、税源配分の見直しを一体的に検討し、国と地方の税源比率を1対1とすることを目指します。その際、地方消費税の充実を図ります。
財政健全化への中長期の目標と取り組み
 財政健全化については、2010 年代半ばにかけて、国・地方の債務残高対GDP比を少なくとも安定化させ、2020 年代初めには安定的に引き下げることを基本とし、このため、今後10 年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指します。
【当面する重要政治課題について】
当面の経済財政運営について
■2008年秋以降の世界的な経済危機の克服に全力をあげ、2008年度を含め全治3年の景気回復を実現します。これまでの政府・与党における累次の経済危機対策を着実に実施するとともに、日本経済の成長力強化に向けた「成長戦略」の推進と、「安心社会実現」のための社会保障の拡充など、国民の“生活を守り抜く”施策を進めます。
■直面する経済危機の克服と持続的な経済成長を図るため、人口減少など日本を取り巻く状況の変化を踏まえつつ、“日本のよさ”“日本の持ち味”を活かした未来志向の投資を進めます。特に、環境、農業などで牽引するグリーン産業の推進、医療・介護等の健康長寿社会の実現、観光・ソフトパワー等日本の魅力発揮など、内需を中心とした経済産業構造に転換します。また、アジアの経済成長へ、日本の優れた産業力・技術力等で積極的に貢献しながら、その需要を日本に取り込み、発展するアジアとの共存共栄を目指します。
■経済危機の克服の後は、持続的な成長基盤を確立するとともに、社会保障の機能強化を含む安心・安全社会の実現に向けた財政政策を講じます。すべての国の事業の“事業仕分け”によるムダの排除に取り組むなど徹底した行政改革及び歳出改革の継続などにより財政健全化への取り組みを進めるとともに、消費税を含む税制の抜本改革を実現します。財政健全化については、2010年代半ばにかけて、国・地方の債務残高対GDP比を少なくとも安定化させ、2020年代初めには安定的に引き下げることを基本とし、このため、今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指します。
■消費税を含む税制抜本改革については、「中期プログラム」に示された方針・考え方に沿って、(1)全治3年の景気回復を前提に、(2)社会保障の機能強化の具体化、(3)行政改革・行政のムダ排除の徹底、(4)消費税の使途の社会保障と少子化対策への限定、(5)消費税だけでなく税制全体の改革、などの条件の下で、その時々の経済状況をにらみつつ、2010 年代半ばまでに段階的に実行します。

低所得者対策(母子家庭等への支援策など)
■経済社会情勢の激変等の影響で、所得が低い方々の負担が相対的に重くなっています。公明党は社会保障制度や税制等にかかるトータルな負担の軽減を図るなど、包括的な低所得者対策の検討を進めます。
■具体的には、所得再分配機能の強化や生活支援、子育て教育支援等の観点から、税制と社会保障制度の一体的な改革を進め、「給付付き税額控除制度」の導入や「利用者負担総合キャップ制度」(仮称)の実現を図ります。
■生活保護の母子加算の廃止は、一般の母子世帯との均衡を図り、一律の加算を廃止し、子どもの就学年齢や就労状況などに応じたきめ細かな支援策へと転換したものです。ただし、障がい・傷病のある世帯など就労できない世帯や15 歳以下の子どもを持つ世帯については、支援策の恩恵が十分でないとの指摘があります。
■そこで「母子加算」をそのまま復活するのではなく、生活保護を含めた母子世帯全般の実態調査を踏まえて、母子世帯全般の支援策を充実させていくことが重要と考えます。

国家公務員制度改革
■「天下り」問題など、公務員に対する国民の信頼が大きく揺らいでいます。国民全体の奉仕者である国家公務員が国民から信頼され、意欲と誇りを持って国民の立場に立って職務を遂行できるための新たな公務員制度に向けた改革が必要です。
■その観点から、2007年、2008年にそれぞれ成立した改正国家公務員法、国家公務員制度改革基本法に基づき、天下りの根絶、能力・実績主義の徹底、官民の人材交流の推進、縦割り行政の弊害排除、政治主導の強化などを目的とする公務員制度改革について、今後、着実に推進する必要があります。
■特に、天下り問題については、各省による再就職あっせんを禁止し、退職管理を「官民人材交流センター」に一元化する改革を早期に実施し、“わたり”あっせんの年内廃止を実現します。また、定年まで勤務できる環境を整備するための任用・給与制度の見直しや、再任用の原則化に向けた取り組み、定年延長に関する検討を進め、3年以内に「天下り」を根絶します。
■また、「ヤミ専従」や、不正経理問題など公務員による不正に対しては、厳しく処罰し不正の根絶を目指すとともに、職業倫理の確立及び信賞必罰を徹底します。
■本年、国会に提出された国家公務員法等一部改正案については、縦割り行政の弊害の排除や政治主導の強化の観点から、公務員制度改革を一歩前進させるものであり、成立に向け取り組みます。

議員定数削減問題
■国会の議員定数削減は、選挙制度の改革と併せて進めていくべき課題です。現行の選挙制度は、得票率と議席比率が必ずしも比例しない問題や、大量の「死票」の発生など、多様な国民の意見を反映させることが難しいという課題を抱えています。
■また、1999 年に与党合意された衆議院の定数50 削減のうち、小選挙区の30 削減は未だに実施されず、比例区のみ20 削減されています。
■選挙制度は民主主義の基礎であり、現行制度を見直し、民意を適正に反映することができる選挙制度へ改めることが必要です。
■こうした観点から公明党は、衆議院の選挙制度については新しい中選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。
■参議院の選挙制度については、大選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。

直轄事業負担金制度の廃止
■道路建設や河川改修など国が事業主体となって行う公共事業(直轄事業)の実施によって利益を受ける自治体が、その事業費の一部を負担する直轄事業負担金制度については、これまで受益者負担の観点から合理的なものであるとして行われてきました。
■一方、負担割合についての事前協議や決定した事業計画をもとにした地方の負担や維持管理費のあり方について、地方の意見が十分に反映されていないとの指摘が出されています。また、直轄事業負担金の内訳などの情報開示に関して、透明性や適正性を確保すべきとの議論もなされています。
■そこで公明党は当面、維持管理にかかる直轄事業負担金を廃止します。その上で国と地方の役割分担を明確化し、最終的に廃止します。
■ムダな公共事業は即時廃止し、地域のニーズとコスト削減意識を持ちつつ、真に必要な社会資本整備を着実に実行するとともに、策定から一定期間を経過した大型公共事業については大胆に見直します。
■公明党は地方分権を視野に、画一的な国土政策から地域の特性やニーズを反映する広域ブロックでの基盤整備による地域活性化を支援します。

北朝鮮問題
■北朝鮮は累次の国連安保理決議を無視し続け、4月5日にミサイルを発射、5月25日には核実験を強行しました。こうした行動は北東アジア地域の平和と安定を損なう重大な挑発行為であり、断じて容認できません。国際社会は一致して実効性ある制裁措置を講じる必要があります。
■核実験に対する制裁措置として、武器禁輸の強化や輸出入禁止品目の疑いある貨物の検査の強化、金融面の措置などを盛り込んだ国連安保理決議第1874 号が採択され、日本政府および与党は間髪入れず「貨物検査特措法」を取りまとめました。
■北朝鮮が挑発的な行動をエスカレートさせている今、一方で重要なことは、北朝鮮が「緊張」を高める行為を取ることは結局、自らに不利益をもたらすだけであり、国際社会の一員として対話のテーブルに一日も早く復帰することが北朝鮮の利益となることを理解させることです。そのために対話の扉を閉ざしてはなりません。
■日朝平壌宣言にのっとり、拉致問題をはじめ核やミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現するとのわが国の基本的立場を堅持し、北朝鮮に対して解決に向けた行動を求めていくためには、6カ国協議を再開することが最重要です。
■拉致問題は長くこう着状態が続いていますが、拉致被害者の生存を前提に、すべての被害者の即時帰国、拉致実行犯の引き渡し、特定失踪者の捜査などの全面解決と真相を究明するため、わが国は実効性ある制裁措置を講じる必要があります。当面、2008 年8月の日朝実務者協議の合意事項である「北朝鮮が実施する拉致問題に関する調査」が誠実に履行されるようわが国として全力を注ぐ必要があります。

加憲に向けて現行憲法の点検を提案
■公明党は現行憲法を高く評価し、(1)国民主権主義(2)基本的人権の保障(3)恒久平和主義の三原則を堅持します。その上で時代の進展とともに提起されている環境権やプライバシー権などを新たに憲法に加える「加憲」の立場をとっています。憲法第9条についても、第1項、第2項を堅持した上で、自衛隊の存在や国際貢献等について、「加憲」の論議の対象として慎重に検討していきます。
■憲法をめぐる議論については、まず、現行憲法と現実とのかい離をめぐって徹底的な検証が必要です。どの条文を変える必要があるか、あるいは条文を変えるまでもなく新たな立法や行政の強化などで要請に応えることが可能であるかどうかなど、幅広い視点で見直す必要があると考えます。
■そうした作業をする場として、衆参両院の憲法審査会が活用されるべきと考えます。憲法審査会の設置が盛り込まれた「憲法改正のための国民投票法」が2年前に成立していながら、民主党など野党の反対で、現在まで機能していないのは大変に残念なことです。一日も早く議論の場を設け、まずは現行憲法をあらゆる角度から点検する国民的作業を行うことを提案します。



 
 
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