『 体験入隊記 〜陸上自衛隊信太山駐屯地A〜入隊式 』
日時:平成13年11月
場所:信太山駐屯地(大阪府和泉市)
沖田 東一 国益研究会『中野』 大阪本部事務局長
体験入隊の前に、入隊式が行われることになっている。我々は車から降りると、自衛隊員の先導のもと横一列に並び、広報班長の挨拶を待った。
少し経って班長が姿をあらわす。突然、横にいた隊員から、
「敬礼!」
の号令がかかり、「ビシッ」という音が聞こえるほど勢い良く「敬礼」の姿勢をとる。思わぬ号令に呆気に取られたが、我々も慌てて「敬礼」の姿勢をとりはじめる。
一瞬にして、非日常の世界に放り込まれたような感覚が起こる。
班長の訓示は短く、この体験を通じて皆さんに自衛隊の現場をもっと知ってほしい、というようなことを話していた、と思う。正直言って、先ほどの「敬礼」の印象が強すぎて、班長の話はあまり耳に入っていなかった。
班長よりの訓示の後、教官の自己紹介が行われる。後ろから「敬礼」の号令をかけていた隊員が前へ出てきて、こちらに背中を向けて直立したかと思うと、カッ、カッ、と「回れ右」の動作をとる。
この「回れ右」も、中小学校で行われるものとは全く違う。動作の一つ一つが機敏であり、かつ動作や体勢に遊んでいる所がない。
明らかに「軍人」の動きだ。
この隊員が私達の教官であり、今回の体験入隊の指導員に当たるらしい。20代後半くらいの若者であるが、その目つきや風体はどこかしら街の若者とは違う雰囲気がある。
他に「助教」と呼ばれる補佐役の新人隊員2名の紹介が行われて、入隊式は終了。短い時間であったが、何だか先制攻撃を喰らったような気分になる。まるで、ここはお前達の知っている世界とは違うんだよ、と言われているようだ。
入隊式の後、我々は体験入隊者が寝泊りするための宿舎に案内される。宿舎までは結構距離があるので、そのまま自分達の車で行くことになる。教官が助手席に乗って道案内をする。
案内の途中、何度か戦車や装甲車など普段は決して見れない兵器類が目に入る。思わず戦車に乗れるんですか、と質問したが「その機会はありません」との答えが返ってくる。残念。
5分ほど車で行くと、自分達がこれから寝泊りする宿舎に到着した。 宿舎は戦前の学校校舎という表現がぴったり合う建物で、いきなり50年前に戻ったような気分になる。
我々の生活する部屋は、一般隊員の使用している部屋と同じものであり、12畳ほどの大きさに2段ベッドが6つにロッカーがあるだけの、言っては悪いが収容所のような部屋である。
教官が暖房用のストーブを持ってきながら、私達に体験入隊を始めるにあたっての注意を述べる。簡単に言うと、ここからはお客様ではなく一隊員として扱う、との言葉。確かに教官の目つきも変わり、口調もですます調から命令口調に変わっている。
ここからがいよいよ体験入隊の本番である。 (続く)
参考hp http://www02.u-page.so-net.ne.jp/fa2/ystk-hmd/tyutonti%82P.html
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