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うつし世を神去りましし大君のみあとしたひてわれはゆくなり  −乃木希典

君のため捨つる命は惜しからでただ思わるる国の行末      −大村益次郎

国を思い死ぬに死なれぬ益良雄が友々よびつ死してゆくらん   −海軍少佐 黒木博司(回天潜行訓練中に死亡)

待てしばしいさを残してちりし友あとなしたいてわれもゆきなむ −山下奉文

武士は散るもめでたき桜花花をも香をも人ぞ知るらむ      −岩本大尉(特攻隊員)

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂。    −吉田松陰

散るをいとふ世にも人にもさきがける散るこそ花と咲く小夜嵐  益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐えし今日の初霜  −三島由紀夫

益良雄のゆくとふ道をゆききはめわが若人らつひにかえらず   − 山本五十六

矢弾尽き天地染めて散るとても魂かへり魂かへりつつ皇国護らむ − 陸軍大将 牛島満

かどいでを斎ふ切火を背にうけてい征きし人はつひにかへらず  − 戦没者遺族の歌

男子われ防人となる甲斐ぞあれ東半球の果てに死ぬれば     − 陸軍中将 那須弓雄

我ゆくもまたこの土にかへり来ん国に酬ゆることの足らねば   − 東条英機

出でましてかへります日のなしと聞くけふの御幸に逢ふぞかなしき− 乃木静子(乃木希典夫人)

ふたつなき道にこの身を捨小船波たたばとて風吹かばとて    − 西郷隆盛

あの世より祈りて止まむ父母の健なりて暮さるるのを     − 陸軍曹長 祖父江昭(ニューギニアにて戦死)

天翔けるときには来にけりおほいなるやまとしまねを吾はまもらん− 海軍少佐 四方巖夫(南西諸島にて戦死)

家あれど帰り得ず涙あれど語りえず法あれども正しきを得ず縁あれど誰にか語り得ず− 川島芳子(戦後、北京にて銃殺刑)

春かすむ支那の河原にたたずみて菜の花の香に故郷しのぶ   − 陸軍軍曹 戸塚昇(中華民国湖南省にて戦死)

男児等乃燃えて燃えてし大和魂身は九重乃花と散るらん    − 海軍少尉 野村龍三(沖縄周辺洋上にて戦死)

曇りなき心の月をさき立てて浮世の闇を照らしてぞ行く     − 伊達正宗

有家不得帰 有涙不得語 有法不得正 有縁誰不語       − 川島芳子(戦後、北京にて銃殺刑)

筑摩江や芦間に灯すかがり火と ともに消えゆく我が身なりけり − 石田光成

七生の誠を尽せ大君に雄々しく行かん武夫の道        − 陸軍憲兵隊長 辻豊治(チャンギーにて殉難死)

遺書をよむ父母の心を思ふときはるかに居ます方ぞをろがむ− 陸軍憲兵中尉 塩田源二ラングーンにて殉難死)

大君の深き恵にあみし身は言ひ遺こすへき片言もなし     − 陸軍大将 阿南惟幾(陸軍大臣官邸にて自決)

仰ぎみる月ぞ尊し我が父母も故郷の空に我を想はむ     − 陸軍伍長 五十嵐竹輝(中華民国広東省にて戦死)

たたなずく 青垣 山こもれる 大和し 美わし         − 日本武尊

散るべきときに散ってこそ男と生まれし甲斐はありけり    − 鉄血勤皇隊 豊里陳雄(沖縄本島兼城村野戦病院にて戦傷死)

先に行くあとに残るも同じこと連れて行けぬをわかれぞと思う− 徳川家康

パパイヤの甘きふくみに夜風吹く木葉隠れのセブの月風  − 陸軍少尉 山岸久雄(大蔵町国立病院にて戦病死)

はたとせと三つのいのちはうつしよにかふるものなし母のふみふる− 海軍少尉 井上長(巡洋艦大淀にて戦死)

硫黄島いや深みゆく雲にらみ帰らむ一機待ちて日は暮る   − 陸軍軍曹 蜂谷博史(硫黄島にて戦死)

国のためおもき勤めを果し得で矢弾つきはて散るぞ悲しき  − 陸軍大将 栗林忠道(硫黄島にて玉砕)

不生不滅明けて烏の三羽かな               − 海軍中将 秋山真之(慢性腹膜炎のため死去)

身はたとへ千尋の海に散り果つも九段の杜にさくぞうれしき − 海軍上等兵 弓野弦

散る花の二度とは咲かじ若桜散りてめずらん九重の庭     − 海軍大尉 河合不死男(回天特攻隊隊長として出撃、戦死)

今日にかけてかねて誓ひし我が胸の思ひを知るは野分のみかは − 森田必勝(昭和45年11月25日、三島由紀夫と共に自決)

あら楽し思いは晴るる身は捨る 浮世の外にかかる雲なし   − 赤穂浪士頭領 大石内蔵介

大君に仕えまつれる若人は昔も今も心変わらじ     − 山口ニ矢(東京少年鑑別所にて「七生報国 天皇陛下萬歳」と書き自決)

度會の宮路にたてる五百枝杉影ふむ程は神代なりけり     − 贈從四位 伴林光平(六角獄にて斬殺さる)

銃火交ふる野をかけ行きて軍医吾子友に手当をしつつ斃れき  − 戦没者遺族の歌

今更におどろくべきもあらぬなりかねて待ちこしこの度の旅  − 海軍飛行兵曹長 長井泉(真珠湾にて戦死)