禁煙国家への動き
◆たばこ規制条約が発効
平成17年2月27日「たばこ規制枠組み条約」が発効しました。
タバコによる健康や社会への悪影響を防止するために作られたもので、世界50カ国以上が参加。
内容は受動喫煙対策や、広告の規制、未成年者が自販機でたばこを買えないようにする措置や指導など。
日本もこの条約に批准していますので、今後は喫煙対策に更なる取り組みが行われることでしょう。
◆国会に「歩きたばこ禁止法案」が再提出
平成16年11月25日、民主党が歩きたばこ禁止法案を国会に提出しました。
違反者に30日未満の拘留か1万円以下の罰金を規定しています。
◆たばこのパッケージに健康被害の新表示
「ハイライト」等の11銘柄について、パッケージがタバコの健康被害の注意表示を強化したものへと変更となります。
新しいものは、パッケージの表と裏に30%のスペースを使い、これまでソフトな言い方ではなく「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」などの直接的文言を盛り込んだものとなります。
◆たばこに対する税率が上昇(⇒平成15年7月1日より、タバコが値上げされました)
たばこが1箱300円に値上げされると喫煙者の16%がたばこをやめ、1000円なら63%が禁煙するというアンケート結果を3日までに、厚生労働省所管の研究機関、医療経済研究機構(東京)がまとめています。
また、経済力のない未成年の喫煙を抑制するという側面もあります。
(アメリカでは、1箱3ドル(350円)に値上げ後、1年間で中学生喫煙率が半減したというデータがあります。また、カナダにおいても、タバコの税金を10年間で8倍にしたところ、未成年者の喫煙率が40%→15%まで減少しています。)
◆受動喫煙に対しても防止の動き
受動喫煙(=周囲の喫煙者の煙による被害)の防止を法的に義務づけた健康増進法が平成15年5月1日に施行されました。罰則規定はなく努力義務に留まっていますが、公共の施設や宿泊所・タクシー・集会場などに対し、初めて受動喫煙防止に対する措置を求めています。
これを受けて、多くの自治体や学校・病院などの施設が全面禁煙の措置を取りました。
◆小学校に煙害啓発ポスター、文科省
文部科学省は15年度、小学生に喫煙の害を認識してもらうための啓発ポスターを作製、配布する。最初に喫煙に興味を持つ年代である小学生に煙草による害を教育するのが狙い。
中高生向けの啓発パンフレットも同時に作る予定 。
◆千代田区で路上禁煙条例施行−全国に同様の動きが広がる
東京都千代田区の一部の地域で路上での喫煙などが禁止される「生活環境条例」が平成14年10月1日、施行されました。これまでの禁煙条例と異なり違反者に一定の罰則を与えるこの条例によって該当区域の吸い殻は2割に減少、かなりの成果をあげています。
この千代田区の成功を契機に、日光や富山市、福岡市、東京小金井市など多くの市が同様の罰則条例を可決・施行しています。
◆タバコの販売促進CMも消える
「今日も元気だ!タバコがうまい」という販促コピーも今は昔の話。平成13年4月に、未成年へ及ぼす影響を考慮して業界でタバコCMの自主規制を開始しています。今は「私は愛煙家です。私は捨てない」といった喫煙マナーのCMだけになっています。
◆喫煙率の減少でJTの事業多角化
タバコ税の値上げや健康意識の高まりなどから、タバコの販売量は年々減少しています。タバコを販売するJT(日本たばこ産業株式会社)は事業を多角化、「桃の天然水」などの清涼飲料水、医薬品、食品などで多くのヒット商品を生み出しています。また飲食部門では、ファーストフード「バーガーキング」を経営。(皮肉にもここは全席禁煙)
◆労働省が「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を作成
労働省は平成8年に 「職場における喫煙対策のためのガイドライン」
を作成しました。タバコを吸わない人の受動喫煙による健康への悪影響を防ぎ、非喫煙者と喫煙者が良好な人間関係を保ち働けるような環境の形成を目的とし、具体的には、企業に喫煙所・喫煙室を設置し、エレベーターホール、食堂など共同利用区域での禁煙化を求めています。
◆映画から喫煙シーンが消える
貧しい家庭に育った女性のサクセスストーリィ「麗しのサブリナ」(1954)では、憧れのパーティ会場に喫煙者の部屋があった。しかし、4年前にリメイクされた「サブリナ」にはタバコを吸う部屋はどこにもありません。
ヘビースモーカーの女性がマフィアと対峙する「グロリア」(1980)の現在公開中のリメイク版には喫煙シーンはなく、グロリアは現在禁煙中という設定になっています。
また欧米でタバコを吸う場面が許されていない為、海外で放映する機会の多い日本のアニメにも喫煙シーンは入れていません。
◆F1でもタバコ広告禁止に
18年12月から、自動車レースF1やコンサートなど、テレビで放映されるイベントからタバコの広告がなくなることになりました。テレビ中継されるサッカーなどのスポーツイベントでは、ユニホームなどにたばこの広告を付けることもできなくなります。
◆ノンスモーカー保険も登場
タバコを吸わない人は生命保険も安くなります。現在10数社がこうしたノンスモーカー保険を発売しており、一番安いノンスモーカー保険と一番高い普通の保険とでは、30年間で200万円以上の差があります。(男性、保険金3千万円、30歳から60歳まで保障の場合)
詳しい料金比較については、こちらをご覧下さい。
◆受動喫煙防止施設設置のための資金融資制度も
平成15年度より、国民生活金融公庫の生活衛生資金貸付の対象として、受動喫煙防止施設が追加されました。
飲食店、旅館等の生活衛生関係営業者は受動喫煙防止施設を設けるための資金融資を長期低利で受けることができます。
詳しくは国民生活金融公庫にお問い合わせください。
◆交通機関でも禁煙が主流に
交通機関でも、禁煙化の動きは強まっています。
かつては喫煙車両ばかりの新幹線でしたが、今回平成16年3月より新八代−西鹿児島間を開通する九州新幹線で、初の全車両禁煙が実施される予定です。
駅構内においても、分煙⇒全面禁煙の動きが出ています(大阪高速鉄道など。JR東日本や阪急電鉄もラッシュ時は全面禁煙になっています)。
また、電車やバスなどの公共の交通機関では、タバコの車内広告が16年10月から全面禁止となりました。
タクシーでも禁煙が増え、東京個人タクシー協会では、禁煙タクシーの配車を注文できるようになりました。
●東京個人タクシー協会(無線局) 03-3383-3111
●日個連無線局 03-5976-6011
また、日本交通は平成16年12月より、全車両での乗務員の喫煙を禁じています。
車内喫煙で乗務員に罰則を設けたのは業界で初めてという。
その他長距離バスでも禁煙化が進んでいます。
◆禁煙を売りにした店も登場
以前はたいていのレストランに禁煙席が無かったり、たまに設けられていても横からタバコの煙が来て殆ど意味がありませんでしたが、近年になって全面禁煙を売りにした喫茶店がいくつか登場。また、健康増進法の施行などの影響で分煙化もきちんと行われている店が増えてきました。
これでタバコの煙を気にすることなく食事をすることが出来ます。
しかし、個人経営店などでは、金銭の問題などで禁煙・分煙対策に消極的な店がまだ多数を占めています。
◆ポイ捨て禁止への動き
平成4年の福岡での実施を皮切りに、全国の地方自治体で「ポイ捨て禁止条例」を制定する動きが出ています。
(主なポイ捨て禁止条例)
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