平成22年3月17日
前回の「トキの死亡 再発防止を(リンク)」の続き。記事によると、ゲージには260以上の隙間が最初から存在し、テンやイタチなどの獣が自由に出来る状況だったことが判明した。また、過去にもゲージにイタチが侵入した事件があったが、何ら対策は取られなかったらしい。あまりの危機意識の低さに唖然とする思いだ。
テンやイタチは夜行性である。彼らに襲われたら、夜目の利かないトキは逃げようがない。そんな天敵がゲージに自由に出入りできる事実がどのような結果を生むか、考えなくても分かることだ。にもかかわらず、夕方に職員は帰り、夜間は監視カメも停止していたのだから、お役所仕事丸出しである。もしトキが襲われた夜に職員がいれば、トキの異常な鳴き声に気づき、被害は最小限に抑えられたはずである。今回の事件は人災であり、トキを殺した犯人はテンではなく担当者の意識の低さにこそある。
彼らの危機意識が低いのはお役所仕事だからだ。一般企業なら、自分の取り扱う商品を狙う者がいるとわかっていながら放置するなどありえない。できる限りの対策を講じ、損失を出さないようにする。それがプロ意識というものである。
16日に開かれた専門家会合で色々と対策案が出ていたが、まずは今回の責任の所在を明らかにし、厳しい処分を与えるのが先である。そうして担当者にプロ意識を持たせなければ、今後も同じことが起こるだけだ。
----------------------------------
トキ襲われたケージにまたテン侵入 すき間計263カ所
新潟県佐渡市の佐渡トキ保護センターでトキ9羽がテンに襲われて死んだ問題で、訓練ケージの周囲にテンの侵入経路になりうる穴が複数見つかり、14日未明にもケージ内にテンがいたことがわかった。
同日、センターを視察した小沢鋭仁環境相にも報告された。環境省によると、ケージの周囲の金網や柱との継ぎ目を調べたところ、外敵の侵入を防ぐことを想定して設けた金網の編み目よりも、広く開いた場所が計263カ所あった。最大は高さ5.5センチ、底辺28センチの三角形のすき間で、体長約40センチのテンが出入りできるとみられる。
また、夜間の撮影ができる監視カメラを13日に設置したところ、14日午前0〜4時の間に計4回、ケージ内を動くテンが映っていた。
小沢環境相は、現地の職員とともにケージの中に入って状況を確認。「どこからでも入れる状態だ。工事の発注がどうなっていたのか徹底的に調べて対応したい」と述べた。
(3月16日 朝日新聞)
文筆:沖田東一