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最高裁裁判官国民審査  有権者

平成21年8月25日

  今回は、衆院選と同時に行われる、最高裁裁判官国民審査について取り上げます。
最高裁裁判官国民審査は法の番人である最高裁裁判官に対する信任投票で、不信任が投票の過半数を占めると罷免される制度です。
結構重要な審査だと思うのですが、あまり話題に上がりません。
理由は、裁判官に関する情報量の少なさと、情報が裁判判例のみなので判断しづらい部分にあります。マスコミでも最高裁裁判官の名前があがることはめったにありませんし……

そこで、今回審査の対象となる裁判官の主な判例と当方での評価を以下に記載しました。
相対評価を取りましたので、全体的に評価は甘めです。


(1)桜井龍子氏(62)行政官出身
評価:保留(冤罪事件を重視するなら×)
主な裁判
:御殿場事件 冤罪の可能性が指摘されているが、被告の上告を棄却して有罪確定(裁判長)
:中国残留婦人の国賠訴訟において上告棄却意見


(2)竹内行夫氏(66)行政官出身
評価:保留
主な裁判
:地下鉄サリン事件で実行役を送迎した被告を無期懲役とした決定で裁判長(09年4月)
:日米防衛協力ガイドライン見直し時に条約局長で、米国の対イラク攻撃を支持


(3)涌井紀夫氏(67)裁判官出身
評価:×
主な裁判
:住基ネットを合憲とした判決で裁判長
:日本軍による中国人連行・監禁・強姦致傷に対する戦後賠償請求事件につき、上告棄却(原告敗訴)。
:NHKの従軍慰安婦報道の改編に対する損害賠償請求事件につき、原審判決を破棄して原告ら逆転敗訴。
:中国残留婦人の国賠訴訟において上告棄却意見
:国籍法3条1項は憲法14条に違反するかについて、違憲回答
:御殿場事件 えん罪の可能性が指摘されているが、被告の上告を棄却して有罪確定。
:在外被爆者に初の国家賠償が確定した判決で裁判長
:一票の格差が2〜5倍以上でも合憲


(4)田原睦夫氏(66)弁護士出身
評価:×
主な裁判
:防衛医科大痴漢事件で逆転無罪判決に対し反対の有罪意見
:国籍法3条1項は憲法14条に違反するかについて、違憲回答
:公立小学校の音楽専科教諭に「君が代」伴奏を命ずることが思想良心の自由に反するか、に対し合憲回答
:防衛医科大痴漢事件で逆転無罪判決に対し反対意見(「女子高生の供述には信用性がある」)
:広島市暴走族追放条例事件について、同条例は違憲とする少数意見。


(5)金築誠志氏(64)裁判官出身
評価:保留
主な裁判
:警察署の塀をよじ登る行為も建造物侵入罪に当たるとした決定で裁判長
:御殿場事件 冤罪の可能性が指摘されているが、被告の上告を棄却して有罪確定。
:足利冤罪事件で裁判官忌避特別抗告棄却


(6)那須弘平氏(67)弁護士出身
評価:保留(死刑制度反対意見の人は×)
主な裁判
:「ロバート・メイプルソープ氏の写真集はわいせつ物でない」とした判決で裁判長
:公訴時効成立後、自首した男に損害賠償義務を認めた判決で裁判長
:公立小学校の音楽専科教諭に「君が代」伴奏を命ずることが思想良心の自由に反するか、に対し合憲回答
:国籍法3条1項は憲法14条に違反するかについて、違憲回答
:広島市暴走族追放条例事件について合憲とする多数意見に賛成
:和歌山毒カレー事件で裁判長として、被告人への死刑判決を維持
:そのほか、オウム真理教の元教祖に対する死刑確定にも関与
:一票の格差が2〜5倍以上でも合憲


(7)竹崎博允氏(65)裁判官出身
評価:×
主な裁判など
:裁判員制度の導入に積極的役割を果たす
:福島県青少年健全育成条例が、有害図書の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科することが憲法21条、22条1項、31条に違反するのではないかと争われた事件につき、合憲判決


(8)近藤崇晴氏(65)裁判官出身
評価:保留
主な裁判など
:「小学生の胸元をつかむ行為を体罰に当たらない」とした判決で裁判長
:国籍法3条1項は憲法14条に違反するかについて、違憲回答
:防衛医科大痴漢事件で逆転無罪判決に対し賛成意見
:広島市暴走族追放条例事件について同条例を合憲とする多数意見に賛成


(9)宮川光治氏(67)弁護士出身
評価:×
主な裁判など
:御殿場事件 冤罪の可能性が指摘されているが、被告の上告を棄却して有罪確定。
:中国残留婦人の国賠訴訟において上告受理意見
:「山口県光市母子殺害事件」における安田好弘弁護士への懲戒請求を退けたときの日本弁護士連合会懲戒委員会委員長

 

文筆:有権者