平成21年4月9日
琵琶湖に異常繁殖しているウォーターレタスをバイオエタノールに精製する試みがある。
(写真は琵琶湖一面に広がるウォーターレタス)
これは面白い考えだ。実現すれば年間50トン前後のバイオエタノールを精製できるので、1リットル100円としておよそ700万円ほどの収益が見込めることになる。これまでウォーターレタスは害草として税金で焼却処分されてきたが、バイオエタノールへ転用すれば、処分コストを収益で相殺出来る。琵琶湖の環境保全にもなるので一石二鳥だ。
こうした試みは他の地域でも行われており、水産総合研究センターでは河川に繁殖するホタテアオイや海藻(アオサ)から、三菱総合研究所では海草ホンダワラからバイオエタノールを精製する研究を行っている。食料自給率の低い日本は、アメリカのように食用の穀物をバイオエタノールに転用することは難しいが、水生植物を利用すれば、河川や海の豊富な日本が逆に有利かもしれない。現在はどこも実験レベルだが、今後の研究で収穫や精製の効率を上げていけば、採算が取れる事業に成長できる可能性がある。
例えば大阪湾をバイオエタノール工場にするのはどうだろう。大阪湾の面積1450平方kmの1/3をアオサの養殖場にすると、年間で150万トンのアオサの収穫が見込める。これを収穫・精製すると約1.5万トン(2000万リットル)のバイオエタノールになる。もともとアオサは大阪湾で異常繁殖しているので生育には適しているだろうし、湾内なら輸送コストも安くつく。しかもアオサは成長過程でリンや窒素を吸収するので、大阪湾の水質浄化にも繋がる。結構いいと思うのだが。
追記:他にも、生ゴミからバイオエタノールを精製する技術も開発されているらしい。日本ほど生ゴミを出す国はないのだから、これを全部エタノールに活用できれば、物凄く有効かもしれない。
文筆:沖田東一