鯨は日本の食文化
平成15年6月14日コラム1、2更新
<ニュース(産経)>国民の75%は捕鯨に賛成
鯨の現状//
鯨は増えている!
年間2,000頭づつ100年間捕獲しても大丈夫なほど、クジラは増えています。
島国の日本では、太古の昔から海に食資源を求め、クジラやサカナを獲り、あますことなく利用してきました。
古式捕鯨とよばれる日本独自の捕鯨は、アメリカの捕鯨船が日本近海で大規模な操業を行ったため明治時代中期までに衰退しましたが、その頃ノルウェーから近代捕鯨法が導入され、江戸時代以上に発展しました。
しかし今では1982年のモラトリアム(商業捕鯨の一時停止)決定により、現在はIWC管理外の沿岸小型捕鯨とイルカ漁業のみが行われているに過ぎません。
このモラトリアムの理由の一つとして、「鯨は頭数が減り絶滅しかかっている」というものがありますが、果たしてそうでしょうか?
IWCでは、南極海で年間2,000頭づつ100年間ミンク鯨を捕獲しても資源的にはなんら問題はないと結論をだしています。
確かに、20世紀の商業捕鯨で乱獲が集中した大型鯨類は頭数が激減しました。シロナガス鯨、ナガス鯨、イワシ鯨、北極セミ鯨などは資源として捕れる状態ではありません。しかし、代わってミンク鯨などの中小型種が増えています。
日本鯨類研究所は、捕鯨が始まった1904年以降の南極海の鯨類の個体数推定値をグラフにしています。シロナガス鯨やナガス鯨は、現在も個体数が回復していませんが、代わってミンク鯨が急増しています。その理由を多くの研究者が、大型鯨類の減少で魚介類などのエサが豊富になったため、と指摘しています。
IWC科学委員会は、南極海の生息数を少なくても76万頭と推定し、年間2,000頭捕獲しても生息数に影響がないと報告しています。(これは日本など捕鯨国が捕鯨再開を求める根拠の一つになっています)
確かに激減した鯨の頭数の回復は必要ですが、海の覇者である鯨の過剰な頭数増加は、逆に餌である魚資源の枯渇など、生態系の破壊につながります。
巨大な鯨の食事量は当然多く、日本鯨類研究所によると、世界の鯨が1年間に食べる水産生物の量は、2.8億〜5億tにのぼるという。これは、全世界の漁獲量(約9000万t)の3〜6倍に匹敵します。
ミンク鯨が食べている海産生物には、サンマ、サバ、イワシ、イカナゴ、マス、ツノナシオキアミ、スルメイカ、スケトウダラなどが多く含まれています。これらの魚が鯨によって食い尽くされてしまうため、漁獲量は年々減少し、値段も高騰しています。
捕鯨を再開すれば水産資源問題がすぐに解決する、とは思いませんが、現在の捕鯨禁止が海洋資源を逆に減少させていることも事実です。
鯨は日本の文化
鯨は健康食
高タンパク低カロリーの鯨肉は、健康食としても注目されています。
鯨肉はビタミンAや鉄分が豊富に含まれ、牛や豚、鶏に比べ脂肪やコレステロールの含有量の低い、非常にヘルシーな食材です。
鯨肉に含まれる不飽和脂肪酸はコレステロールを下げるため、成人病の予防になります。更に鯨肉はアレルギー症状を起こす事が少ない為、食物アレルギーで食事療法をしている方にとっても重要なタンパク源となります。
鯨肉はおいしく、人間の健康にとって極めて有用な食品なのです。
各肉比較 | 脂質(g) | エネルギー(kcal) | 蛋白質(g) | コレステロール(mg) | ビタミンA(μg) | ビタミンB1(mg) |
鯨肉 | 0.4 | 106 | 24.1 | 38 | 7 | 0.06 |
牛肉 | 25.8 | 317 | 17.1 | 72 | 2 | 0.07 |
豚肉 | 5.6 | 150 | 22.7 | 61 | 4 | 0.8 |
鶏肉 | 4.8 | 138 | 22.0 | 77 | 17 | 0.1 |
「科学技術丁 日本食品標準成分表」より(100g当り実測値)
鯨を全て余すことなく利用する日本の鯨文化こそ、本当のエコロジーです
鯨油をしぼったあとの皮など、五臓六腑まで食べられるクジラ料理は、世界に類を見ない日本の食文化です。
西欧の捕鯨では、鯨は鯨油を取った後、肉も食べず処分するだけでしたが、日本人は、クジラを油や肉だけではなく、骨や皮まですべて捨てることなく利用してきました。
料理法においても、刺身、たたき、ベーコン、鍋、大和煮など一般的なものから、軟骨、さえずり(舌)、百尋(小腸)、百畳(胃袋)、うでもの(その他内臓)のように内臓も余すところ無く利用します。鯨皮も刺身やおでんの食材として利用されます。
このように、鯨は捨てるところがないといわれるほど利用の途が多く、食材以外の用途としても、鯨髭は裃の型持ちや、からくり人形や文楽人形のバネに、歯は笄(こうがい)・櫛などの細工物に、鯨皮は膠(にかわ)や鯨油に、筋は木綿を叩く弓の弦などに、鯨骨は鯨油や肥料に、油を煮出した後の骨粕は肥料に、血は薬用に、脂肪は鯨油に、糞は香料(竜涎香)に用いられてきました。
これに対し、欧米では鯨油・鯨髭・鯨歯のみを利用し、鯨肉をはじめとする他の部分はほとんど廃棄されていました。
捕鯨の現状
捕鯨の発祥
鯨激減の原因を作った米国
捕鯨禁止の動きの裏
IWC-ヒステリックな反捕鯨家達
感情論のみの反対論
コラム2:フォアグラに見る矛盾 |
今後の課題
次はマグロ
自分たちが知らない文化を理解しようとせず、自らのエゴをぶつけ、科学的データさえ否定してヒステリックにたたきつぶす………
こんなことを平然と行う人種差別主義者(白人)に一度でも譲歩したら、次はマグロ、その次はアナゴ、その次は、その次は…… と、際限なく譲歩させられるのは目に見えています。現にいま欧米では「マグロ」、「フカヒレ」が槍玉にあがっています。
これらは、水産庁の役人が以前コメントしたことでもあるし、水産庁に取材などしなくても、IWCに対する反捕鯨運動の態度を見ていれば、だれもが考え付くことです。
今の日本の対応
我々がなすべきこと
将来の食料飢餓をクジラが救う
コラム3:海外の捕鯨事情 |
鯨について
クジラの種類
クジラの習性
クジラ料理
コラム4:クジラの唄 |
リンク(より捕鯨について知りたい方へ)
IWC(国際捕鯨委員会)−英語。
水産庁−「水産資源の持続的利用を考えるページ」がお薦め
正義の価値は−元捕鯨船乗務員によるHP
ハイ・ノース・アライアンス−北欧の捕鯨容認国ノルウェーのサイトです。日本語。
鯨博物館−古式捕鯨発祥の地の紀州太地町にある、世界一のスケールを誇る博物館
〆谷商店−上記の太地町にて、鯨肉の通信販売を行っています。