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注目区ルポ 「身内もライバル」=堺市議選堺区
◇第1党へしのぎを削る 民自公共維が複数候補
「何を差し置いても応援に来たかった」−−。府議選堺区の公明現職、樋口昌和が4日夜、駆けつけたのは、堺市議選堺区の自民元職、奴井保雄の個人演説会だった。
奴井に加え、現職の西村昭三と加藤均を擁立した自民に対し、他陣営は旧自公連立政権以来の協力関係で、公明票の一部が流れるのを警戒する。
堺市議選(定数52)は、どの政党も過半数の候補者を立てられなかった。議会第1党を目指して、堺区では同一政党の複数候補同士が、しのぎを削る。
最大の不確定要素は、維新の得票数だ。目安になるのは09年9月の堺市長選。現在は維新代表になった知事の橋下徹が支援して初当選した堺市長の竹山修身は、堺区で約2万4500票を取った。
維新はいずれも新人の上村太一、伊良原勉、井関貴史が立候補。票を三等分できれば、3人とも十分当選できる。しかし、ある維新候補は「おおよそ各候補の重点地域はあるが、維新票を三等分するのは無理。維新の候補者は、ある意味で最大のライバル」と言い切り、次の演説場所に向かった。
民主は現職の増栄陽子と大毛十一郎が議席維持を目指す。陣営幹部は「民主の票は“風”の影響を受けやすい。4年前の前回と違い、民主への逆風下の選挙。同じ党でも票を分け合う余裕はない。民主の票を競い合う」と話す。
東日本大震災後の空気が、無党派層の投票率にどう影響するかも各陣営の関心事だ。「震災救援募金にご協力を」。現職の田中浩美と石谷泰子が立候補した共産は、南海堺駅前などで党員らが震災救援募金をしている。石谷の演説も災害対策が中心だった。南海堺東駅前には、震災犠牲者を追悼する喪章を付けて街頭演説をする無所属現職の山口典子の姿があった。
前回、裏山正利がトップ当選、成山清司が2位で当選した公明。他陣営から「公明2人の当選は確実」とみられているが、支持者は「09年の総選挙は衆院大阪16区(堺市堺区など)で、公明幹事長だった北側一雄も落選している。選挙に絶対はない」と事務所で気を引き締めた。(敬称略)
(平成23年4月7日 毎日新聞)
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