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維新の会 既成政党 対照的な幕開け

 ■「大阪都」アピールと沈黙

 統一地方選前半の都道府県議・政令市議選が1日告示され、大阪府議選、大阪市議選、堺市議選も舌戦がスタートした。東日本大震災を受けて選挙戦でも自粛ムードが漂い、地域政党「大阪維新の会」(維新)が最大の争点と位置づける「大阪都構想」をめぐる論戦がかすみがちになる中、代表の橋下徹知事はあえて震災関連の発言を封印し、「大阪から日本の統治機構を変える」とアピール。相対する既成政党の府幹部らは、同構想についてはほとんど触れず「復興支援」をアピールするなど、対照的な幕開けとなった。

 「“大阪春の陣”は、地方政治からの挑戦」。大阪都構想で大阪市の解体・再編も唱える橋下氏は、第一声の場所に大阪市役所前を選び、マイク越しに有権者へ訴えかけた。

 「こういう状況では、選挙をやるべきではない」。震災を受け、橋下氏は当初そう話していたが、告示が近づくにつれ「やるからには勝たなければ」とボルテージを上げていった。

 「統治機構に抜本的なメスを入れないと、大阪の、日本の将来に未来はない」「維新が勝利するかどうかは、日本全体を変えるかどうかの試金石になる」。第一声では、震災下の選挙を取り巻く自粛ムードを取り払うように訴えかけ、「日本の抜本改革につなげる戦いだ」と強調した。

 一方、既成政党の大阪府連幹部らが出席した候補者の出陣式では、冒頭に黙祷(もくとう)をささげ、被災地復興を呼びかけるなど、震災に触れた演説が中心。維新が掲げる大阪都構想をあえて争点としない戦略もにじんだ。

 大東市内でマイクを握った民主党大阪府連代表の樽床伸二衆院議員は「津波の影響で多くの方々が苦しい状況に置かれている。もう自民党だ、公明党だ、民主党だと言っているときではない」と、政党同士の戦いとなる選挙戦の冒頭で“党派を超えた協力”をアピール。「今こそ皆が心をひとつにして国難を乗り越えていくときだ」と訴えかけた。

 自民党大阪府連会長の谷川秀善参院議員は、高石市の出陣式で「今、東北地方は大変な状況。自粛できるところは自粛し、政策はしっかりと訴えて、選挙期間を戦いたい」とあいさつ。「橋下さんのように、大阪市を目の敵にして『都構想』と言っている場合ではない」と牽制(けんせい)しつつ「約束を守らずに裏切って、自民から維新に行った議員を許すわけにはいかない」と敵意もあらわにした。

 一方、公明党大阪府本部代表の佐藤茂樹衆院議員(51)は、大東市内の第一声で「公明党のチーム力、ネットワーク力を生かし、被災地の要望を政府に伝える」と“政党力”をアピール。報道陣の取材に対し、大阪都構想については「議論は拒まないが、今一番の府民の関心は防災だ」といなした。

 また、府北部で立候補した共産党の候補は「府民の生活を守ることで、被災地の復興を支えたい」と訴えるなど、被災地支援と大阪府の防災対策に関する主張に終始した。

(平成23年4月1日 産経)

 
 
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