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ネット選挙「解禁」状態?法改正間に合わず
今回の参院選では、インターネット上に陣営幹部や党本部などが、候補者の街頭演説の予定や、党幹部の遊説日程などを掲載する動きが広がっている。
ネットを利用した選挙活動は、まだ公職選挙法で制限されているが、こうした状況について、総務省は「選挙活動と政治活動の線引きは明確ではなく、直ちに違法とは言えない」との立場だ。
「今日1日、参院選候補と活動します。夕刻には首相夫人も応援に入る予定」。簡易投稿サイト「ツイッター」にそう書き込んだのは、民主党の新人候補の陣営幹部を務める大西健介衆院議員(39)。大西氏は選挙期間中、自らの活動とともに、候補の予定などについても「つぶやき」を続ける。「候補以外の者までネット更新を自粛するのは不自然」と話す。
自民党の現職候補らを支援する柴山昌彦衆院議員(44)もツイッターで同様の発信をする。「投票の呼びかけなど、選挙応援と受け止められる言葉は使っていない」という。
ツイッター愛好者として知られる原口一博総務相は、公選法の所管官庁のトップという立場からか、公示日前日の先月23日、「選挙期間中は選挙運動と認められるような文書図画の掲載は禁じられています」と投稿したのを最後に自粛している。
公選法では、選挙期間中、法定はがきなどを除き、候補者や政党に関する「文書図画」の頒布を禁じている。ホームページ(HP)の更新もこれに抵触する恐れがあるとして、参院選をにらんだ与野党は5月26日、選挙期間中のHP更新の解禁を柱とする公選法改正案に合意。ツイッターについては「なりすまし」を防止するため当面は自粛するとした。しかしその後、鳩山前首相の退陣の影響で、改正案は提出されないまま、国会が閉会した。
比例選に出馬した新人候補(43)はネット上で毎晩、政策などを音声だけで訴えている。投票を呼び掛けることもあるが、この候補は「自分の声だけならば、公選法で禁じている文書図画の頒布にはあたらない」とする。
主要9党も、HPを積極的に活用する。HP上で、党幹部の遊説日程を連日、更新して掲載しており、民主党は公示後の菅首相の街頭演説を動画で配信。自民党や国民新党は、公示後に動画CMをHPで公開した。
これまでHP更新を見合わせていた公明党も、「ほかがやっている以上、何もしないわけにはいかない」と幹部の遊説日程を公開。共産党も支持者の意見を紹介する動画を配信中だ。
HPの更新について、各党は「選挙活動ではなく通常の政治活動の範囲内」とするが、複数の陣営幹部は「現行の法律は実態に合っていない。早く改正するべきだ」と漏らす。
(平成22年7月3日 読売新聞)
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