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民主党マニフェスト要旨
民主党マニフェスト(政権公約)の要旨は次の通り。
【五つの約束】
一、国の総予算207兆円を全面組み替え。税金の無駄遣いと天下りを根絶。議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減。
一、中学卒業まで1人当たり年31万2千円の「子ども手当」を支給。高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充。
一、「年金通帳」で消えない年金。年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現する。後期高齢者医療制度は廃止、医師の数を1・5倍にする。
一、「地域主権」を確立し、第一歩として地方の自主財源を大幅に増やす。農業の戸別所得補償制度を創設。高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にする。
一、中小企業の法人税率を11%に引き下げる。月額10万円の手当付き職業訓練制度により、求職者を支援。地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てる。
【5原則】
原則1 官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。
原則2 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。
原則3 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。
原則4 たて型の利権社会から、横型のきずなの社会へ。
原則5 中央集権から、地域主権へ。
【5策】
第1策 政府に大臣、副大臣、政務官などの国会議員約100人を配置、政治主導で政策を立案、調整、決定する。
第2策 「閣僚委員会」を活用、閣僚を先頭に政治家自ら困難な課題を調整。事務次官会議は廃止、意思決定は政治家が行う。
第3策 官邸機能を強化、首相直属の「国家戦略局」を設置、新時代の国家ビジョンをつくり、政治主導で予算の骨格を策定する。
第4策 政治主導の下で事務次官・局長などの新たな幹部人事制度を確立する。政府の幹部職員の行動規範を定める。
第5策 天下り、渡りのあっせんを全面的に禁止。国民的な観点から、行政全般を見直す「行政刷新会議」を設置、すべての予算や制度の精査を行い、無駄や不正を排除する。官・民、中央・地方の役割分担の見直し、整理を行う。
【工程表】
一、子ども手当は2010年度は半額、11年度から全額実施。公立高校の実質無償化は10年度から実施、高速道路無料化は10年度から段階的に実施。所要額は10年度は7兆1千億円、11年度は12兆6千億円、12年度以降は13兆2千億円。そのほかの政策も財源を確保しつつ順次実施し、13年度に3兆6千億円。主要政策、そのほかの政策を合わせた総額は13年度で16兆8千億円。
一、今の仕組みを改め、13年度に総額16兆8千億円の新しい財源を生み出す。内訳は(1)無駄遣い、不要不急な事業の根絶で9兆1千億円(2)特別会計積立金など「埋蔵金」の活用で5兆円(3)租税特別措置見直しなどで2兆7千億円。
【無駄遣い(をなくす)】
一、天下りのあっせんを全面的に禁止。特別会計、独立行政法人、公益法人の仕事を徹底的に見直す。
一、官製談合と不透明な随意契約を一掃。
一、国家公務員の総人件費を2割削減。
一、国が地方に使い道を指定する「ひも付き補助金」は廃止。
一、企業団体による献金、パーティー券購入を禁止。
一、国会議員の世襲は禁止。
一、衆院の比例代表定数を80削減。
【子育て・教育】
一、出産時に55万円の一時金を支給。
一、「子ども手当」は、子ども1人当たり年31万2千円(月額2万6千円)を中学卒業まで支給。(10年度は半額、11年度から満額支給)
一、公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生には年12万〜24万円を助成。
一、大学生、専門学校生の希望者全員が受けられる奨学金制度を創設。
一、生活保護の母子加算を復活、父子家庭にも児童扶養手当を支給。
一、空き教室などの活用で保育所を増やし、待機児童解消を目指す。
【年金・医療】
一、「消えた年金」「消された年金」問題の解決に、2年間集中的に取り組む。
一、「納めた保険料」「受け取る年金額」をいつでも確認できる「年金通帳」をすべての加入者に交付する。
一、年金保険料の流用はさせない。
一、年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現する。13年度までに法律を成立させる。
一、「社会保障費2200億円削減」は行わない。
一、後期高齢者医療制度は廃止し、国民皆保険を守る。
一、医学部学生を1・5倍に増やし、医師数を先進国並みにする。看護師などの医療従事者も増員する。
一、新型インフルエンザ、がん、肝炎の対策に集中的に取り組む。
一、ヘルパーなどの給与を月額4万円引き上げて介護に当たる人材を確保する。
【地域主権】
一、中央政府の役割は外交・安全保障などに特化し、地方でできることは地方に移譲する。
一、国の「ひも付き補助金(社会保障・義務教育関係は除く)」は廃止し、地方の自主財源に転換する。
一、国直轄公共事業に対する地方の負担金は廃止する。
一、ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率を廃止し、2兆5千億円の減税を実施する。
一、高速道路は段階的に無料化し、物流コスト・物価を引き下げ、地域と経済を活性化する。
一、「戸別所得補償制度」の創設により、農業を再生し、食料自給率を向上させる。
一、畜産・酪農業、漁業に対する所得補償と林業に対する直接支払いの導入を進める。
一、地域社会を活性化するため、郵政事業を抜本的に見直す。
【雇用・経済】
一、中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ、融資に対する個人保証を見直す。
一、不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する「中小企業いじめ防止法」を制定する。
一、職業訓練期間中に月額最大10万円の手当を支給する「求職者支援制度」を創設する。
一、常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止する。
一、中小企業を支援し、時給千円(全国平均)の最低賃金を目指す。
一、同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等にして、仕事と生活の調和を進める。
一、20年までに温室効果ガスを25%削減(1990年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討する。
一、太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成し、温暖化対策と新産業育成を進める。
【消費者・人権】
一、消費者の権利を守り、安全を確保する。
一、取り調べの可視化で冤罪を防止する。
一、人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する。
【外交】
一、主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。
一、日米地位協定改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地の在り方も見直しの方向で臨む。
一、アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立し、東アジア共同体の構築を目指す。
一、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発を止めさせ、拉致問題の解決に全力を挙げる。
一、国連平和維持活動、貿易投資の自由化、地球温暖化対策で主体的役割を果たす。
一、核兵器廃絶の先頭に立ち、テロの脅威を除去する。
【憲法】
一、足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを責任を持って提案する。
一、国民と自由闊達な憲法論議を各地で行い、多くの皆さんが改正を求め、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討する。
(平成21年7月27日 共同)
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