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橋下知事一問一答
――自民党の混乱をどう見ているか。
多くの国民は「自民党にもう政権担当能力がない」と見ているだろう。いまのままでは、自民党は(政権党として)賞味期限が切れつつあるのだと思う。
――原因は何か。
党の組織も運営も、拡大する予算をみんなでぶんどり合戦をしていた高度成長時代のやり方を今も続けているからだ。もはや一定の国家水準に達したのだから、今は未来に向けてどんな方向に進むのかという道を作る時で、政治的な指導力が必要だ。トップの考えや価値観を反映させる組織にしないといけない。そう考えると、麻生首相はかわいそうに思える。日本型の議院内閣制と自民党が作り上げたいまの仕組みでは、政治的な指導力を発揮しろと言われても無理だろう。
――政治指導力を発揮する仕組みが必要だと。
政治が役所を動かし切れていない。直轄公共事業の負担金問題でも、ほとんどの国会議員が「この制度は廃止だ」と言っているのに国土交通省は「ゼロ回答」だった。その点、民主党が言うように、内閣と与党が一体になって官僚を指導する英国型の議院内閣制の手法で政権運営するという視点は絶対に必要になる。
もっとも、民主党の場合は外交・防衛や教育政策が心配だが、対する自民党に最も必要なのは政治的な指導力を発揮できる仕組みをどうつくるかの議論だ。
――選挙の争点の一つに地方分権がある。
国と地方の税源配分を5対5にするとか道州制とか課題はあるが、最も重要なことは、地方の考えたことを国政に反映できるよう政策立案の過程に地方との協議の仕組みを作ることだ。国家全体にかかわることには地方が口を出すべきではないが、地方自治に関するものはここで協議する。この仕組みが法制化できれば、地方代表が同意権や拒否権や提案権を使って国会議員と協議しながら政治主導で決められる。「地方は国の奴隷」だと言ってきたが、「奴隷に公民権を」という訳だ。
――4人の首長と「首長連合」を結成したが。
地方からの政治力が必要だ。全国知事会が各党の政権公約を分権政策に限って点数化して優劣をつけることになった。採点前に各党と公開討論をする。首長連合は当面、これに連動するが、その後は首長パワーを集めた政治活動を行う連合体になっていく。(聞き手・編集委員 青山彰久)
(平成21年7月19日 読売)
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