開戦の臨時ニュース

音声(kaisen.avi)16秒


臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。

大本営陸海軍部、十二月八日、午前六時発表。

帝国陸海軍は、本八日未明、西太平洋において、アメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり。


 

 

 

終戦の詔勅(玉音放送)

音声(gyoku.avi)4分42秒


全文(口語訳はこちら

朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ 
非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ 
茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク 
朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ 
其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ 
抑ゝ帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ 
皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ 
亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主権ヲ排シ 
領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス 
然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ 
朕カ陸海將兵ノ勇戰 朕カ百僚有司ノ勵精 朕カ一億衆庶ノ奉公 
各ゝ最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス 
世界ノ大勢亦我ニ利アラス 
加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ 
頻ニ無幸ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル 
而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス 
延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ 
斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ 
是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ 
朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ 
遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス 
帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及 
其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク 
且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ 
朕ノ深ク軫念スル所ナリ 
惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス 
爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル 
然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所 
堪ヘ難キヲ堪ヘ 忍ヒ難キヲ忍ヒ 
以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス 
朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民 
赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ 
若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ 
爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム 
宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ 
任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ 
道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ 
世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ 
爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ 

御名御璽
昭和二十年八月十四日

(訳)私は深く世界の大勢と日本の現状について考え、非常の手段によってこの事態を収拾しようと思い、忠義で善良な国民に
通告する。

 私は日本政府に米国、英国、中国、ソ連に対してポツダム宣言を受け入れることを通告させた。

 そもそも日本国民の安全を確保し世界の国々とともに栄えることを喜びとすることは、先祖から行ってきたことであって、
私もそのように努力してきた。先に、米国・英国に宣戦布告した理由も、日本の政治的・経済的自立と東亜の安定を願って
のものであって、他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりするようなことは、もちろん私の意志ではない。しかしなが
ら、四年間の戦争で、われわれ陸海軍将兵の勇敢な戦闘や、官僚・公務員の勤勉、一億国民の努力、それぞれ最善を尽くし
たにもかかわらず、戦争における状況は芳しくなく、世界の情勢も我々には不利に働いている。それだけではない。敵は、
新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用して、何の罪もない非戦闘員を多く殺傷し、その被害はまったく図り知れない。それ
でもなお戦争を継続すれば、最終的には日本民族の滅亡を招き、そうして人類文明も破壊されることになってしまうだろう。
このような事態になったとしたら、私はどうしてわが子とも言える多くの国民を保ち、先祖の霊に謝罪することができるだ
ろうか。これこそが政府にポツダム宣言に応じるよう命令した理由である。

 私は日本とともに終始、東亜の植民地解放に協力した友好国に対して、遺憾の意を表せざるを得ない。日本国民で戦
場で没し、職場で殉職し、悲惨な最期を遂げた者、またその遺族のことを考えると体中が引き裂かれる思いがする。さら
に戦場で負傷し、戦禍にあい、家や職場を失った者の厚生については、私が深く心配するところである。思うに、これから
日本の受けるであろう苦難は、いうまでもなく大変なものになる。国民の負けたくないという気持ちも私はよく知っている。
しかし、私はこれから耐え難いことを耐え、忍び難いことを忍んで将来のために平和を実現しようと思う。

 私は、ここに国体(天皇制)を守り通して、忠義で善良な国民の真心を信頼し、いつも国民とともにある。もし、感情的
になって争い事をしたり、国民同士がいがみあって、国家を混乱に陥らせて世界から信用を失うようになることを私は強く
懸念している。 国民よ、どうか団結して子孫ともども固く、神国日本の不滅を信じ、道は遠いが責任の重大さを自覚し、
総力を将来の建設のために傾け、道義心や志操を固くして、日本の栄光を再び輝かせるよう、世界の動きに遅れないように
努力しなければならない。あなた方国民はどうか私の気持ちを酌んで理解してほしい。