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TPP参加を 東郷 秀憲

平成24年12月23日



 「維新八策」から後退 「国益」の具体性欠く

 環太平洋連携協定(TPP)に関しては「交渉参加、ただし国益に反する場合は反対」との表現に落ち着いた。前向きな姿勢は維持したものの「TPP参加」と言い切った「維新八策」からは後退した。
 交渉参加の前提条件とした「国益」は詳しい言及がなく、具体性を欠いたままだ。日本維新に合流した「太陽の党」出身者の中には、TPPに慎重な意見もある。関税撤廃で打撃を受ける国内農業への対策をはじめ、交渉参加に向けた環境整備が今後の課題となる。
 橋下徹代表代行はTPP推進が「経済政策のセンターピン」と発言したことがある。TPPに否定的とみられた石原慎太郎氏は日本維新の代表に就任後「原則的には賛成」と歩み寄りを見せたが、公約をまとめる過程では原案段階でTPPへの言及をいったん見送るなど、曲折をたどった。
(平成24年11月29日 産経新聞より抜粋)
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東郷コメント:
 日本維新の会が掲げていたTPPに対しては、各方面からの反対意見が根強い。主因は、日本の農家を守るためである。かつてASEANとのFTAについても中々進まなかったのも、同じ理由である。海外から安価な農産物が大量に入ってくれば、価格において競争力のない日本の農家がもたないからだ。
 かつて、経営コンサルタントの大前研一氏が、その著書『新・国富論』の中で述べたように、日本の農家を守るために大多数の国民の利益が阻害されていることは事実だ。地価が高いためオフィスのある都会に家を買えない多くのサラリーマンは、満員電車に乗って1時間以上もの時間を満員電車にゆられての通勤を強いられている。ふと、電車内から外を見ると多くの農地がある。何故、このような都会に農地が存在し続けることができるのだろうと思う。仮に、農地に宅地並みの課税をかければ都会には農地はなくなるだろう。農地のままにしておけば、宅地と比べて税金はタダのようなものだから都会でも存続できるのだ。都会に農地が必ずしも必要だとは思わない。それよりも、オフィスから30分以内に誰もが家が買える社会を実現することの方がいい。
 かつて、ウルグアイラウンドのミニマムアクセスを受諾して米の輸入が始まった際、当時の自民党政府は6兆円を超える農業予算をばらまいた。勿論、我々の血税からである。自民党議員は、選挙では農家の組織票をあてにしており、彼らを納得させるためだけに巨額の税金が使われたのだ。
 日本の国益を考慮するに、TPPをどんどん進めるべきだ。ASEANや台湾、韓国との広域FTA締結、特に中国との政治問題以外に問題が見当たらない台湾とのFTA締結も急いで欲しい。最早、一握りの農家の利益のために、国力が失われている余裕はないはずだ。
 

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文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム