平成24年9月3日
あべのハルカス:300メートル到達、「高さ日本一」に
近畿日本鉄道が大阪市阿倍野区で建設している超高層ビル「あべのハルカス」の鉄骨が30日朝、完成時の高さ300メートルに到達した。横浜ランドマークタワー(横浜市、296メートル)を抜き、日本一の高層ビルとして2014年春の全面開業を予定している。
午前5時から作業を開始。長さ1メートルの鉄骨を組み上げ、同5時22分に高さ300メートルになった。ビル最上部の床と壁面に「高さ日本一」の文字を掲げ、到達を祝った。
あべのハルカスは地下5階、地上60階建て。近鉄百貨店やオフィス、ホテル、美術館などが入居し、58〜60階は展望台になる。オフィスビル内の医療施設としては日本最大級の広さ(3950平方メートル)の「メディカルフロア」も開設する。
今年6月に、りんくうゲートタワービル(大阪府泉佐野市、256メートル)、大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区、同)を抜き、西日本一の高さになっていた。日本一高い建築物は東京スカイツリー(東京都、634メートル)。
(平成24年8月30日 毎日新聞)
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コメント:
あべのハルカスの骨組みが完成し、横浜ランドマークタワーを超えて、ついに日本一の高層ビルとなった。屋上には展望台が設けられ、平成26年に全面開業したときには、日本一の売り場面積の百貨店となる。
このビルが建設される天王寺は大阪の南の玄関口、JR・地下鉄・近鉄・路面電車の主要駅。昨年はあべのキューズモールが開業して成功を収めており、更なる経済活性化が期待できるだろう。また、大阪市北の玄関口である梅田でも再開発が進み、今年〜来年と大規模オフィスビルが続々と建設・開業していく。大阪経済は低迷して久しかったが、これからの大阪は期待できる。
もともと大阪は戦前までは日本で一番人口が多く、一番勢いのあった都市だ。公営地下鉄が開業したのも大阪が最初である。しかし、戦後の数十年において、大阪は成長は止まり、その間に東京、横浜、神戸などに抜かれていった。かつて橋下市長が知事時代のときに講演で「30年前から大阪は発展していない」と発言していたが、まさにその通りである。
なぜそうなったのか。大阪の経済が停滞した理由は、戦後の東京一極集中という政治方針にある。力は分散させるより、1か所に集中させたほうが有効であるが、過分な一極集中は、地震や洪水などの自然災害や、テロなどに対する影響が非常に大きく、経済に対する危険度も高くなる。それは昨年の東日本大震災で図らずも証明された。
これからの日本は、東京への一極集中ではなく、関西や九州などいくつかの地方に多極化した国体に移行するのが理想的だろう。先進諸国で上記の国土構造をとっている国々は多いが、いずれも今の日本より豊かな成長を実現しつつ、一極集中のリスクも回避できている。日本も一極集中へのリスクを緩和し、将来にわたって活力を維持するために、地方分権型の行政・経済構造を目指すべきである。
そして大阪には、その経済構造の一極を担うだけの力がある。大阪は景気が低迷しているといっても、その経済規模は世界的に見れば有数の巨大都市である。大阪のGDPは約38兆円(約4900億ドル)。上海(約3000億ドル)や香港(約2400億ドル)、ニューヨーク(約6000億ドル)と比べても全然ひけをとっていない。梅田の再開発や今回のあべのハルカスなど、大阪は復活に向けて動き出している。大阪経済が復活して、日本全体の景気をけん引していくことが国益につながると思う。大阪の今後に期待が高まる。
あべのハルカス公式HP
http://www.abenoharukas-300.com/
文筆:沖田東一