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時効なき社会  東郷 秀憲

平成23年7月3日

半世紀ぶりアリバイ破る 米イリノイ州の女児殺害、71歳元警察官を逮捕

 米イリノイ州シカゴ近郊で1957年に女児(7)が行方不明になり遺体で見つかった事件で、州検察当局は1日、殺人などの容疑で元警察官のジャック・ダニエル・マカラー容疑者(71)を逮捕、訴追したと発表した。米メディアが報じた。

 警察は当時、目撃証言から、女児の近所に住むマカラー容疑者を最重要参考人とみていたが、アリバイがあり捜査は難航。半世紀以上たった昨年、アリバイを覆す物証が見つかった。

 女児はマリア・リドゥルフさん。報道によると、一緒に遊んでいた女児の証言から、同容疑者が浮上したが「当日は(約80キロ離れた)シカゴにいた」と主張していた。

 警察が昨年、マカラー容疑者と57年当時に交際していた女性に再聴取。同容疑者のものとみられる未使用のシカゴ行き列車の切符を女性が発見し、捜査が急展開した。(7月3日 共同通信)
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東郷のコメント:
 時効があれば、このような記事を眼にすることもなかったであろう。大変、素晴らしい。執念の捜査だ。米国では、連邦法で死刑に当たる罪は、公訴時効にかからない。州によっては殺人事件に時効がないのだ。日本もやっと平成22年4月27日に公布・施行された改正刑事訴訟法により「人を死亡させた罪であって死刑に当たる罪」については公訴時効が廃止され、その他の罪についても時効期間が改正された。
 殺人犯人は、これにより時効まで逃げればいいではなく、死ぬまで追われることになったのだ。ところが、この法律は法律が施行される以前に時効を迎えている事件については適用されない。法律というのはそういうものだが、殺人事件を起こした犯人が一切罰を受けずに、この世で自由に生きている事をどう考えるか。
 殺人事件の場合は、改正刑事訴訟法の前に時効をむかえた事件についても事件経過70年間は過去に遡って時効をなくす事にしてはどうか。70年間というのは人の寿命を考えても妥当な線だろう。
 捜査予算・人員が厳しいという反論もあろう。捜査規模は別にして、要するに諦めていないと犯人・被害者遺族にメッセージを送り続ける事が大切だと思うのだ。 
 テレビ朝日の生放送事件情報番組『奇跡の扉 TVのチカラ』を復活してもらいたい。

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム