平成23年5月8日
世界遺産内定の小笠原「うれしい」 外来種流入には警戒
「小笠原諸島」(東京都小笠原村)が世界自然遺産に登録される見通しとなった。地元は喜びつつ「自然保護はこれからが正念場」と気を引き締めた。
森下一男・小笠原村長は「登録を切望しているので、(内定は)大変うれしい。小笠原諸島の知名度が上がる」と喜び、7日朝には父島の村役場で幹部職員への報告会を開いた。「(内定が)平泉と一緒でよかった。被災地には何と言っても明るいニュース」とも述べた。
石原慎太郎・東京都知事は「登録されれば、東京の魅力を向上させ、震災から復興しつつある日本に元気を与えることができる。登録の決定を心待ちにしている」との談話を発表した。
島は植物や貝類、昆虫など、独自の進化をとげた固有種が多い。だが生態系は、ヤギやネコ、トカゲなど、人間が持ち込む外来種に脅かされてきた。村は環境省や林野庁、自然保護NPOなどと連携し、外来種の駆除に取り組んできた。
登録の影響を懸念する声もある。観光ガイドの金子タカシさん(42)は、知床や屋久島で活動するガイド仲間から「観光客や移住者が急増し、地域が一変するぞ」と聞いた。金子さんは「世界遺産は小笠原の売りにはなるが、踊らされず、外来種の駆除など、自然保護のためやらなければいけないことに取り組みたい」と話す。(長谷文)
(5月8日 朝日)
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東郷のコメント:
「小笠原諸島」(東京都小笠原村)の世界遺産登録を歓迎したい。
そして、この機会に思い出してもらいたいのは、小笠原諸島には日本人が簡単に行けない領土の存在がある。沖ノ鳥島、硫黄島、南鳥島がそれだ。そして、それら離島は日本国の排他的経済水域を確保するために重要な拠点であるにも関わらず、他国(特に中国)により主権が脅かされている。
最も、危険なのが沖ノ鳥島。東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地(北小島)及び、2番地(東小島)が正式な住所。中国、韓国、台湾が岩だと主張し排他的経済水域は認められないと主張している。その為、東京都及び日本国政府は金をつぎ込み対策している。沖ノ鳥島の排他的経済水域は実は日本の領土よりも面積が大きい。沖ノ鳥島を失えば大損失である。
東京都知事が尖閣諸島などの領土問題に関心の高い石原慎太郎でなければ沖ノ鳥島の主権も危なかった。沖ノ鳥島の周辺海域はサンゴ礁の宝庫なので、観光地としての機能を整備し、かつ容易にアクセスできれば、世界中のダイバーがやってくるだろう。
硫黄島については、現在駐屯する自衛隊員以外は一部建設関係者など特別に認められた業者意外は上陸できない。硫黄島ツアーなるものが業者により主催されているが、同ツアーに参加しても海上から眺めるだけで上陸できないのである。クリントイーストウッド監督の傑作「硫黄島からの手紙」を観た人は、ぜひとも硫黄島に行ってみたいと願っているのだが行けない。日本人だけではなくアメリカ人観光客も見込まれるだろう。硫黄島については、第二次世界大戦の激戦地としての知名度、さらに当時がそのまま留められている点を考えれば世界遺産化も狙えるのではないかと思っている。観光資源として大いに価値があるのに残念だ。まずは、元島民で帰島を求めている元島民の帰島を認める。これら元島民にも雇用が必要であり、将来観光地となった際に、宿泊施設や飲食店、土産物屋などを営んでもらえばいい。
私は、今回の世界遺産登録に伴い、東京都及び日本国政府は、まずは観光資源として魅力がある硫黄島と領土・領海の保全を緊急に行わなければならない沖ノ鳥島を観光資源として整備することを決断するべきだと思っている。観光地として成り立つための必要な補助もあわせて予算化すべきだ。
次に、同じく離島の南鳥島についても利用価値について研究するべきだと思う。
多くの国民が小笠原諸島を訪れ、失われつつある沖ノ鳥島に関心をもってもらいたいと願っている。
文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム)