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資源大国日本 洋上風力  東郷 秀憲

平成23年4月27日

資源大国日本 洋上風力

CO2を排出せず、環境負荷が少なく、ウランや石油のように資源を外国に頼らない「国産エネルギー」の開発が各分野で進んでいる。今まで資源のない国だと思っていたが、実は日本は「資源大国」だった!?


【洋上風力】関東沿岸域の風力資源は、東電の年間電力販売量に匹敵!

東京大学の石原孟教授は、07年に関東地方沿岸域での洋上風力の賦存量(理論的に導き出された資源の量)に関する論文を発表、業界関係者を驚かせた。

「関東沿岸から50kmの全海域を対象とした場合の総資源量は年間287テラワット(2870億キロワット)/時で、05年の東京電力の年間販売量とほぼ同じ。太平洋沿岸は風況が良く、大規模洋上風力発電施設は大きな可能性を秘めています」と石原教授は解説する。

「新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の調査によると、年平均風速7m/秒以上、海岸から30km以内、水深200mまでの海域での風力資源量は12億キロワット。このうち水深50mの海域の5%に着床式、つまり海底から直接立てる形で風力発電施設を造れば、1000万キロワットの設備容量が確保できます。さらに、浮体式、つまり海上に浮かべる方式で水深200m海域の3%に風車を造れば3600万キロワット。洋上風力発電の設備利用率 30%から換算して、100万キロワットの原発17基分(稼働率80%)の発電量に匹敵します」


■世界の風力発電は今や5兆円産業

 優れた災害対策技術もある。「欧州と異なり、日本には巨大な台風が来ます。03年には、宮古島で欧州製の風車が根元から折れてしまうということがありました。そこで我々は、台風・地震・津波などさまざまな災害に耐えるための設計指針を07、10年にまとめました。それ以来、台風で破壊された風車はなく、今回の大震災でもほとんど被害はありませんでした。日本の風車の設計技術は高く、欧米やアジア各国からの問い合わせが相次いでいます」

「洋上風力発電はコスト面からみて厳しいのではないか?」という疑問に対して、石原教授は次のように答えた。

「確かに、陸上の風力発電所に比べて、洋上風力発電所の建設コストは高いです。着床式、つまり海底から立てる方式で1.5倍、浮体式で2倍のコストがかかるとみられています。しかし、陸上では風の強いところでも年平均風速6m/秒程度であるのに対し、洋上では7.5m/秒。障害物もなく、風が安定的に得られるのです。発電量に換算すると、洋上は陸上の約2倍、発電コストはほぼ同じです。洋上風力には、景観や騒音等を気にしなくてもいいことや、道路などの制約条件がなく、大型風車の運搬や設置が容易というメリットもあります」

 日本ではまだ主要電源として認識されていない風力発電だが、世界各国はどんどん風力に力を入れ始めていると石原教授は言う。

「10年末に世界の風力発電設備容量は1億9439万キロワットに達し、過去13年間の平均成長率は28%。風力発電への投資は全発電施設の新規投資の5分の1を占め、5兆円産業となっています」

 石原教授は「日本には風力資源も技術もある。あとは、国の目標と支援策」と指摘する。

「外洋は基本的に国が管理しているので、日本も欧米のように政府が音頭をとらなくては民間が動けません。また、自然エネルギーによる発電を買い取るための『固定価格買い取り制度』を早期に導入すべきです。同制度を取り入れた国々では爆発的に自然エネルギーが普及しています。なにより、いつまでにどのくらいの風力発電設備を造るのかという国家ビジョンが必要。これらがそろってこそ、企業の参入や投資を呼びこむことができるのです。エネルギー対策はもちろんのこと、地球温暖化対策や新たな産業・雇用を生むためにも、今こそ政府は風力発電普及のため全力を尽くすべきではないでしょうか」
(引用:週刊SPA)
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東郷のコメント:
 この際、復旧ではなく復興という基本方針で今回の危機を逆手にとらなければなりません、資源についても原発中心を見直すべきです。私は、原発については決して反対派ではありませんが、自然エネルギーにもっと着目してもいいと思います。今回、紹介した洋上風力発電や以前から取り上げているメタンハイドレードに本格的に投資するべきだと思います。
 その為には、メタンハイドレードやレアメタルなどの資源が眠っている国境の離島を守る国防力も不可欠となります。

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム