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東電を潰したくない政府  沖田 東一

平成23年10月3日

 東電、生かしながらやるしかない…枝野経産相

 枝野経済産業相は2日、国の「原子力損害賠償支援機構」が東京電力の賠償金支払いを支援することについて、「(担保権を持っている)銀行より優先して被害者に賠償金を払わせるには、東電を破綻処理するのではなく、生かしながらやるしかない」と述べ、国民負担の最小化には機構による支援が必要との考えを強調した。
 さいたま市で開いた自身の国政報告会で述べた。
 枝野氏は「担保権は損害賠償請求の権利よりも優先されるというのが民法の基本ルール」と説明。その上で、「銀行が担保権を行使すれば東電の財産は持って行かれる。ほとんど損害賠償の資金は残らない」とした。
 また、電力会社の発電と送電部門を切り離す発送電分離については、「私も結論を出していない。ゼロベースで議論していく」と述べた。
(10月2日 読売新聞)
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コメント:
 国民への賠償については救済法を作ればいいだけなので、東電を生かさないといけない、という枝野の発言の本音は、天下り先である東電を国が潰したくない、というだけなのだろう(国会議員や官僚が東電の株を多く保有していることも、理由の一つと思われる)。
 百歩譲って枝野の発言を肯定的に見たとしても、原発事故で多くの国民に被害を与えておきながら、当事者である東電がボーナスも貰って安泰というのは誰が考えてもおかしい。東電を破綻させないならば、まず役員報酬や給与、ボーナス、退職金、企業年金について最低でも一般企業の平均にまで下げ、過去の責任者にも遡って賠償責任を負わせるなどの賠償案を取らせるべきだろう。
 東電に対しての温情政策など、国民としては到底納得できない。

文筆:沖田東一