平成23年8月18日
黙殺された野村総研レポート
「テレビを消せばエアコンの1・7倍節電できる」
「こまめに電灯を消そう」「エアコンの設定温度を28度に」テレビのワイドショーでは、様々な節電方法が連日紹介されている。その一方で、黙殺され続けている一番効果的な節電方法がある。
それはズバリ「テレビを消すこと」だ。
興味深いデータがある。野村総合研究所が4月15日に発表した『家庭における節電対策の推進』なるレポート。注目したいのは「主な節電対策を講じた場合の1軒あたりの期待節電量」という試算だ。
これによれば、エアコン1台を止めることで期待できる節電効果(1時間あたりの消費電力)は130h。一方、液晶テレビを1台消すと220hとなる。
単純に比較しても、テレビを消す節電効果は、エアコンの約1・7倍にもなるということだ。
この夏、エアコンを使わずに熱中症で亡くなる人が続出している。にもかかわらず「テレビを消す」という選択肢を国民に知らせないテレビ局は社会の公器といえるのか。
自分たちにとって「不都合な真実」を隠しつつ、今日もテレビはつまらない番組を垂れ流し続けている。
(『週間ポスト』8/19・26日号)
----------------------------------------
コメント:
エアコンの方が消費電力は大きくても、常時全力稼働しているテレビと違い、エアコンは部屋が設定温度まで冷えれば運転を停止するので、実際の時間単位での消費電力は変わってくる。『1.7倍の効果』という数字はいささか誇張に思えるが、各家庭の消費電力の中でテレビが全体の10%を占めるという統計も出ているので、日中のピーク時にテレビを消すだけでも、かなりの節電効果を生むだろうことは間違いない。
マスコミは家電については節電しろとは言っても、テレビを消して節電しろとは一言も言わない。テレビ局も商売だから言いにくいのも分かるが、公共の電波を利用している以上、こうした事実は国民にはっきりと伝えなくてはならない。
文筆:沖田東一