平成23年7月19日
日本女子サッカーが始まって30年。ついに日本がW杯を制覇する瞬間がきた。しかも、これまで一度も勝てなかったアメリカ相手に大舞台で初勝利という、奇跡のような展開で。パワー・体格では完全にアメリカ選手に負けていた。ボールの支配力もアメリカの方が高く、試合中何度もリードを奪われた。しかし彼女らは決して諦めずに最後まで粘り、そして僅かな機会を逃さず見事優勝した。彼女らの健闘は、地震津波に原発事故と、国全体が沈んでる日本にとって、久々に心躍らせるニュースとなっただろう。
また、なでしこジャパンは優勝と同時にフェアプレー賞も受賞した。反則回数や試合中の選手の態度等を基準に選ばれるこの賞。FIFAは受賞理由に、以下のような説明を述べている。
「素晴らしいパスサッカーと個人技で世界中のサッカーファンを魅了したなでしこジャパンは、それだけでなく、大会中、最もフェアプレーを貫いたチームでもあった。試合後に、「ありがとう」の横断幕を掲げたチームは、大会の中で、試練に耐えうるチームであったことを印象づけ、FIFAのフェアプレー賞を受賞することにもつながった」
日本が今回大会で受けたカードは6枚で一試合平均1枚以下。これは参加全チーム中でも最も少ない比率である。またチームリーダの澤選手は毎試合必ず審判全員に挨拶と握手を交わしていた。こういった礼儀正しさも評価されたのだろう。優勝も素晴らしいが、フェアプレー賞の受賞は、日本が世代を問わず礼儀を重んじる国だということ(中国や韓国とは違う)を世界に改めてイメージつけた点で、私は大きく評価したい。
今回唯一残念だったのは、NHK以外の民放がW杯表彰式を一切流さなかったことだ。優勝カップの授与の瞬間や日本チームによる日の丸ウイニングランを見たかった国民も多かっただろうに、なぜカットしたのか理解に苦しむ。スポーツ史に残る場面なのだから、放映延長してでも大々的に扱ってほしかった。
文筆:沖田東一