平成23年5月30日
低コストで太陽電池 金沢工大教授が開発
金沢工大工学部の南内嗣(ただつぐ)、宮田俊弘の両教授は27日までに、銅板と亜鉛を組み合わせた新型太陽電池の基板を開発した。従来のシリコン製に比べ100分の1の費用で製造できるとしている。福島第1原発事故を経て政府が「サンライズ計画」を発表し太陽熱エネルギーが関心を集める中、両教授は「低コストの太陽電池をぜひ実用化させたい」と意気込んでいる。
新型太陽電池の基板は電熱器で焼いた銅板(多結晶亜酸化銅)に亜鉛膜を重ねて作った。太陽光が基板に当たると青と緑色の光を吸収して電気に変える仕組みで、光から電気への変換効率は3・8%。1980年代に同じ手法で米国で製作された基板の変換効率1・8%の2倍程度に高まり、実用化のめどがついたとしている。
南、宮田両教授によると、従来のシリコン製太陽電池の基板は直径15センチの円盤状で製造に約8千円かかるの対し、今回、開発した基板は数十円で作ることができる。製造コストをおよそ100分の1まで下げることで、一戸当たり約300万円かかるとされる太陽光発電施設の設置費も大幅に抑えることが可能になるという。
研究成果は23日、社団法人応用物理学会の審査を経て同学会報の電子版に掲載され、世界に発信された。
南教授は宮田教授が金沢工大生のころ指導したという間柄。師弟コンビは「新型太陽電池は希少金属(レアメタル)を一切使わず、無毒の銅や亜鉛が素材で原料が豊富という点でも有効と考える」と語った。
(5月28日 北國新聞)
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コメント:
変換効率は従来の太陽電池と比べると低いが、かなり有望な技術である。現状でも既に製作コストが10分の1にする技術が確立されているが、この記事の技術が実用化(せめて変換効率10%以上は欲しい)されれば、さらに設置費を抑えることができる。菅首相の1000万戸発電パネル設置発言にしても、孫正義の休耕田へのパネル設置計画にしても、膨大な建設費が必要だが、これなら、かなり現実的となるだろう。レアメタルを使わないというのもいい。
この記事のほかにも有望な技術を多くの研究機関が持っているが、予算がなくて実用化が進んでいない。政府はぜひこういう技術開発に予算を向けてほしい。
文筆:沖田東一