平成23年4月19日
政府の「規制改革方針」、中国人へのビザ発給緩和を明記へ 与党内にも「拙速」の声
政府が8日に閣議決定する「規制・制度改革の基本方針」の中に中国の個人観光客に対し、有効期間内なら何度でも日本に入国できる数次査証(マルチビザ)を発給する緩和策が盛り込まれていることが7日、分かった。
中国人向けのビザは昨年、発給要件を緩和したばかりで、中国人の不法就労者増加などが懸念されており、与党内からも「拙速だ」との声が上がっている。
今回の緩和策は、購買力の高い中国人観光客のリピーターを増やすのが狙い。観光庁は平成25年までに外国人観光客を1500万人に拡大する目標を掲げており、特に経済発展を続ける中国人の観光客増加に力を入れている。
中国人個人観光客に対する査証の発給について政府は昨年7月、富裕層だけでなく中間所得層にも拡大。発給要件を年収25万元(約310万円)以上から年収6万元(約70万円)以上のクレジットカードのゴールドカード所有者とした。
ただ、発給されるのは期限内に一度だけ入国できる一次査証(シングルビザ)のため、さらなる緩和策について政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)の分科会で議論してきた。
個人観光客は、日本での身元保証人の申し出が不要なうえ、団体旅行客と違い日本国内で自由に行動できるため、ビザの有効期限が切れても不法滞在したり、不法就労したりする中国人が後を絶たず問題となっている。
緩和について、国民新党幹部は民主党幹部に「功罪を検証してからだ」と要請したが、8日の閣議決定方針は変わらなかったという。
国民新党幹部は「東日本大震災で、規制緩和の大部分は軒並み先送りになったのに、問題のあるビザ緩和だけが残るのは不自然だ。震災のドサクサに紛れて押し通そうという思惑が透けている」と不信感を募らせている。
産経新聞 2011.4.8 01:12
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なぜ今、わざわざ中国人のビザ緩和を行う必要があるのか。
中国観光客の魅力は購買力だが、所得の低い層にまでビザ発給を緩和してもさほど観光業に効果はないだろう。逆にビザ発給のハードルを下げすぎると、不法就労者などの問題で、国内の治安の悪化を招くのは、スウェーデンや、フランスなどの例を見ても明らかだ。大量の移民を受け入れているヨーロッパでは、英語を話せなかったり社会に同化する意志のない移民によりコミュニティが分断され、治安の悪化が深刻化している。日本でもビザ発給の緩和で中国系移民が流れてきて同様の事態になるだろう(すでに東京の一部はそうなっている)。一度失った治安を取り戻すのは、容易なことではない。
以前のニュースでも、民主政権が震災のドサクサに外国人参政権や人権擁護法案を進めようとしていたことが明らかになったが、この大災害を中国様のご機嫌取りの手段、自己の利益確保の手段としてしか考えていないような政権に国をゆだねなければならないとは、本当に情けない限りである。
文筆:沖田東一