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プロレスの八百長とは意味が違う―大相撲問題  沖田 東一

平成23年2月7日

<八百長問題>星の貸借、土俵で清算…メール記録で実態判明

  大相撲の八百長問題で、力士らは本場所中に勝ち星の貸し借りを土俵で清算する一方、他の力士への付け替えも横行していた実態が警視庁が押収したメール記録で浮かんだ。それ以外の時期は主にカネで清算され、星一つ20万円を相場に売買されていたとみられる。日本相撲協会の特別調査委員会は昨年3〜6月にメールを授受していた十両の千代白鵬(27)と清瀬海(26)、三段目の恵那司(31)、竹縄親方(35)=元前頭・春日錦=の4人を中心に14人を事情聴取するなど、角界にはびこる八百長の全容解明を進めている。(2月6日 毎日)

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 野球賭博に続いての不祥事である。
 当初は2人のやり取りのメールだけだったが、そこから芋づる式に十数人の力士が八百長に関与、金で勝敗をやり取りしていたという事実は、とても笑えるものではない。
他者の話を読むと、大相撲は興行芸能であり、プロレスと同じだ(だから八百長は必要だ)という意見を見ることがあるが、プロレスは純粋にショーとして活動しており、伝統芸能ながらスポーツの意味合いも含む大相撲とは別物である。また八百長にしてもプロレスは客を盛り上げるために勝敗も含め筋書きを作るが、今回のケースは力士が自己保身の為だけに八百長を行っており、客を大きく裏切る行為となっている。
 今回、協会は春場所中止を決定したが、これで一段落するわけではない。度重なる不祥事で相撲人気は下落する一方である。今の大相撲の問題(十両と幕下の所得格差)が残る限り、八百長は今後も起こる。角界は早急に、二度とこのようなことが起こらない新しいシステムを作るのか、それともスポーツという側面を捨て、神事としての相撲に立ち直るのか、いずれかの方策をとる必要がある。
 でなければ、相撲が消滅する日も、そう遠くないだろう。

文筆:沖田東一