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再生医療で収益を  沖田 東一

平成23年1月2日

 歯の完全再生にマウスで成功、東京理科大など

 歯のもとになる組織をマウスの歯茎に移植して歯を再生させることに世界で初めて成功したと、東京理科大、東北大、東京医科歯科大などのチームが3日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)電子版に発表した。
 東京理科大(Tokyo University of Science)の池田悦子(Etsuko Ikeda)氏率いる研究チームは、歯の形成に必要な細胞と情報を含んだ「歯の種」である遺伝子を作成し、これを成体マウスの顎骨に移植した。
 移植は、失った歯の跡に繰り返し行われたが、歯はほぼ規則正しく再生された。再生された歯は食べ物を噛める硬さだという。 
 この成果は、既存の研究を応用したもので、立体的で機能する臓器の形成を目指す。
 研究チームは、病気やけが、加齢により損傷または失われた臓器も、今回の手法を用いれば、完全に再生できるようになるのではと期待を寄せている。
(AFPBB News12月27日)
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 引用元のニュースには書かれていないが、この実験で再生した歯には神経も通っているので、移植すれば元の歯とまったく同じ感覚で使えるようになる。先日は虫歯菌をほぼ根絶させる方法が記事になっていたが、今回の再生技術と合わせると、歯周病菌を根絶させたあとに、ボロボロの古い歯を抜いて、再生した歯を移植すれば、歯に対する悩みの殆どは解消されることになる。
 嬉しいのは、成功したのがどちらも日本だということだ。虫歯治療もインプラントはもともと大市場であり、中国など周辺国でも歯科治療を行う家庭が増えている。実用化にはあと数年はかかるだろうが、この手法の特許を日本が取得できれば、将来的に国内外から大きな収益を上げることができるだろう。他国に先を越されないよう、日本政府には、こうした成長産業となりうる分野に積極的に投資してもらいたい。

文筆:沖田東一