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教育番組に芸人はいらない  沖田 東一

平成23年1月1日

 去年の大晦日に、池上彰の特番を見た。普段バラエティ番組はめったに見ないのだが、この池上氏の番組は流行語大賞に選ばれるほど有名なので、どのような番組か気になって見たのだが、あまりに低俗な作りに、思わず途中でチャンネルを変えてしまった。
 最初に断わっておくが、池上氏は悪くない。むしろ多様な質問に対し聞き手に分かりやすく解説していて、非常に好感が持てた。まずいのは番組の構成と、彼以外の参加者である芸能人達だ。適当に頷くだけで碌に話を理解していない、教育番組だというのに、関係ないくだらない事を喋ってウケを狙おうとする。ハッキリいって番組の魅力を大きく損ねていた。
 最近は芸能人を政治番組に参加させたり、政治番組モドキを担当させたりする風潮が強いが、制作会社はもう少し番組の性質を考えた構成を作ってほしい。教育番組を見ている人が求めるのは知識であり、芸人のギャグなど必要としていない。出演料を支払って芸人を出すくらいなら、朝生やNHKのように、一般人を参加させたほうが、人件費も抑えられていいのではないだろうか。視聴者としても、自分たちと同じ目線のパネリストがいることで共感が持てる。
 池上氏の解説自体はとてもわかりやすいものだったので、今年末も同じ番組を放送するのなら、ぜひとも番組の魅力を損ねない構成で行っていただきたい。

文筆:沖田東一