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「国債売り投機」招く財務オオカミ少年  木下 裕二

平成23年12月8日

 「国債売り投機」招く財務オオカミ少年

 12月7日付産経EXで、日本の経済危機が分かりやすく童話「狼と羊飼い」仕立てで解説されていた。

羊飼い…(財務省、財務官僚)
羊…(日本国民、日本経済)
村…(永田町、政界)
村人…(政治家)
狼…(国際投機勢力、強欲な金融資本)

羊は村の財産なのだが、羊飼いは実権を握っており、「税」という牧羊犬が大好きである。忠実で、羊飼いの仕事を楽にしてくれる。犬の数が多ければ縄張りを拡張できる。羊たちも犬に恐れを抱いて従順になる。そこで牧羊犬の数を増やしたい、より大型の犬もほしい。だが、村の承認がいる。
羊飼いは一計を案じた。放牧地の垣根を取り払う「グローバリゼーション」のせいで、狼が世界中からあっという間に集まってきて、日本国債マークの付いた日本経済という羊をめちゃくちゃにしてしまう、と村を説き伏せることにした。「ギリシャ、イタリアを見ろ、狼が来るぞ。もっと犬が必要だ」と騒ぎ立て、永田町村を慌てさせた。
村では、野田佳彦村長らが羊飼いの言うことなら何でも間違いないと信じている。
東日本大震災・福島原発事故という史上未曾有の大災害で羊の多くが傷ついたのだが構いもしない。まずは所得税、住民税という種の犬を増やし、次には消費税という種の大型犬を導入する。羊がいかに弱ろうと、財務省という羊飼いにとっては増税という羊を締めつける権限の拡張が何よりの生き甲斐なのだ。
決め手も用意周到だ。傀儡の野田首相や安住財務相に後戻りさせないよう「G20サミット」という国際会議で「増税します」と言わせ、国際公約のタガをはめたのだ。
増税は消費や投資を抑制し、デフレを加速させる。つまり羊をやせ細らせる。インフレ政策をとっている米欧や中国など新興国と対照的に日本だけが増税というデフレ促進策をとるのだから、超円高になってデフレ不況がひどくなる。
村に駐在するメディアの多くは経済を知らないし、永田町の中のいさかい事にしか関心を示さない。野田村長らはこうして増税路線を突っ走る。
増税が避けられない情勢を見て、羊たちは意気消沈し、ますます元気がなくなってきた。
疲れ果てて逃げる体力もない羊。羊飼いや村長には以前ほど反対しなくなった。
だが、それを見て、好機到来と張り切るのが狼たちだ。米欧ばかりでなく中国やロシアからも狼が押し寄せ、日本羊を襲う。羊飼いの財務官僚が主導する増税とデフレ・円高の容認政策が「狼」を招き入れるのだ。

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(木下コメント)
野田佳彦は財務相時代、財務官僚らと取引をした。いわゆる「仕分け」というパフォーマンスをさせてもらうかわりに、官僚らの天下りや殆どの特殊法人には目を瞑る。官僚は国民に負担を強いてでも自分たちの既得権益を守りたいものだ。そしてそれを思い通りに実行するには経済素人集団の民主党そして野田政権は、まさにうってつけだった訳だ。
リーマンショックに対する効果的な経済対策は何ひとつ打てず、景気後退のなか未曾有の大震災に直面、疲弊した国民に対しここぞとばかり復興と称し大増税に踏み切る。どこまで国民を痛め付け、食い物にする気なのか。
それでも、羊(日本国民)はいつか景気が良くなると信じ真面目に働き続ける。しかし、円高で日本経済が弱っているこのタイミングで増税に踏み切ると、僅かな収入も貯金に向かいさらに消費は冷え込む。そして銀行や郵便局が集めた預貯金は、景気悪化を受けた企業の設備投資にはまわらず、大半は日本国債買い付けにまわされる。(つまり日本国民は間接的に国債を買っている)
結果、当然景気が良くならなければ税収は上がらず、さらに赤字国債を発行する事になる。そしてそれを銀行が買う…まさに負のスパイラルだ。経済素人の私にも想像は付く。

まずは、早急な円高対策だろう。そして企業に体力を付けてもらい雇用を増やす政策。同時に公務員、そして国会議員定数削減、天下り禁止、不要な特殊法人廃止等。自ら血を流してやっと最後に増税ではないか。

取りあえず素人集団内閣には辞めてもらって、乱暴かもしれないがイタリアのように選挙で選ばれた国会議員が1人もいない(しがらみのない)専門家内閣をつくって国策にあたってはどうだろうか。

文筆:木下裕二