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多数決の論理に基づいて意思決定を  東郷 秀憲

平成22年11月11日

飲食店禁煙「一律に」「無理だ」 両派、公聴会で応酬

「職場は完全禁煙にするべきだ」「一律規制は無理だ」――。職場での受動喫煙対策の法的義務付けをめぐり、厚生労働省が10日、東京都内で公聴会を開いた。並んだのは、禁煙派4人、慎重派4人の計8人。ヤジが飛び交う中、それぞれ持論を展開した。会場には300人を超える参加者が詰めかけた。
 厚労省は来年の通常国会への労働安全衛生法改正案の提出を目指している。今後公労使代表による労働政策審議会で議論を詰める。
 慎重派4人のうち、3人はホテルや旅館、飲食店といった接客を伴うサービス業の関係者だ。従業員の健康を理由に禁煙規制が強化された場合、客離れが起きて売り上げが減少するという懸念が業界には強い。
 「快適な空間とくつろげる時間を提供するのがサービス。禁煙にするかは管理者の判断が望ましい」。外食産業の業界団体日本フードサービス協会の関川和孝常務は業界の特性に理解を求めた。
 労政審の委員が「一斉に禁煙すれば売り上げは落ちないのでは」と指摘すると、会員の多くが中小・零細の飲食店という全飲連の小城哲郎専務理事は「中小の店は対応しきれない。完全禁煙には反対」と反論した。 後略 
(朝日新聞電子版平成22年11月11日10時8分)
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 ことタバコの喫煙に関しては、私は産経新聞正論欄に2度掲載された日本財団笹川陽平会長の論文が主張するところを支持する立場である。笹川は、タバコ税を引き上げて小売価格を欧米先進国のよう1,000円程度に引き上げるべきだと主張している。
 日本の財政状況は悲惨極まりなく、その事が日本国民をして将来への漠然たる不安を形成している。タバコ税を一挙に上げることで税収は増え、国家の最大支出である医療費も抑制できるのだから、一石二鳥だと思うが、そうはならない。一部の既得権益者の政治力が大きいからだ。
  一部の小売業を守る為に、大きな利益を損ねるような事があってはならない。
 この事は、事業仕訳第三弾でも議論されているスーパー堤防にも置き換えられる。河川流域の一部の住民を200年に一度起こるかどうかわからない大洪水から守る為に、巨額の費用を400年投じてスーパー堤防を整備するという。馬鹿馬鹿しく思えるが、業者と利益官僚・政治家族議員が組んだ作文から始まっている。要するに工事がしたいのだ。
 現在、議論されているFTTでは、前原外務大臣が述べた僅か1.5%の第一次産業を過保護に護る為に、89.5%の国際競争力が失われ、結果第一次産業はおろか日本人は食っていけなくなる。多数決をすれば圧倒的にFTT参加となる。ところが1.5%の農業・漁業関係者が政党を組織票でおさえている為に強力な影響力で阻止を計ることを可能にしている。
 先日、NHK特集で日本の借金がどのように積み上げられていったか放送された。当時の大蔵事務次官は皆、国債発行は麻薬だという事は十分理解していたが、止められなかったのである。そして、現在も歯止めがかかっていない。結果、借金だらけの日本。誰も責任をとらない国家。
 今こそ予算の集中と選択に特化しなければならない。少数の国民の利益の為に、日本国が滅んではどうしようもない。
 日本国は民主国家である。であるならば、多数決の論理に基づいてスピィーディに意思決定すればいいだけなのだ。
 多数決の原理に基づけば、尖閣ビデオはすぐさま公開されているし、FTTも正式参加となりルール作りから関与できる。官僚の天下り・渡りなんてのもなくなる。
 日本は、民主主義国家ではないんだなぁとやるせない気持ちになるのだ。

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム