平成22年10月2日
ロシアが来年にもWTO加盟へ 米との交渉が決着
2010年10月2日11時43分
【モスクワ=副島英樹】ロシアのメドベージェフ大統領とオバマ米大統領が1日、電話で協議し、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟についての二国間交渉が終了したことを確認した。ロシアはWTO加盟国との交渉を17年続けてきたが、これを受け、来年にも加盟が実現する見通しとなった。
ロシア大統領府のチマコワ報道官が明らかにした。WTO加盟には、加盟作業部会に参加したすべての国との間で二国間の合意を得る必要がある。ロシアの場合、米国との交渉が最も難航していた。
インタファクス通信によると、この日、ロシアのクドリン副首相兼財務相はウクライナのヤルタで開かれたフォーラムで、「WTO加盟をめぐる米ロ間のすべての課題は解決された」と言明。WTO全体での加盟手続きが2〜4カ月で始まり、半年〜1年で終えられるとの見通しを示していた。
ロシアのWTO加盟をめぐる米ロの交渉は6年に及んだが、金融市場や知的財産権保護、農産物供給などの問題で意見の相違が目立ち、ロシアは米国が加盟を妨害していると不満を募らせていた。オバマ政権発足後、両国は関係の「リセット」を進めており、6月にワシントンで会談した際に9月末までの交渉完了を目指すことで合意していた。
また、ロシア大統領府によると、米ロ首脳はプラハで4月に署名した新戦略兵器削減条約(新START)の同時批准についても協議した。
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東郷のコメント
もはや手遅れだと思われるが、日本は、ロシアのWTO加盟に異議を唱えるべきである。ロシアは、日本固有の領土を侵略し占領し続けている敵対国である。日本はロシアのWTO加盟に断固反対するという立場を表明するべきだ。アメリカに対しても同盟国のアメリカが、どう動くか注視する位のコメントを出してもらいたいものだ。親日・反ロシアの立場を取るアメリカの保守派議員への支援にもつながる。
かつて、日本は同じ過ちを犯している。この時の方が決定的な過ちだった。ロシアのG8(当時はG7)入りに特に目立った反対行動を展開しなかったのだ。あの時、断固反対の姿勢を他の加盟国に訴え、ロシアを加えるならば日本は脱退するなど強く出ていれば、ロシアに対する強い外交カードを持ちえたし、アメリカは同調せざるをえず北方領土の返還交渉のテーブルにつかせたと思う。残念でならない。外交の世界では良い人になるなが基本である。
文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム)