平成22年9月30日
リー・クアンユー氏、日本の尖閣対応を評価
特集 尖閣
【シンガポール=岡崎哲】29日付のシンガポールの有力紙ストレーツ・タイムズによると、リー・クアンユー顧問相(87)は28日、当地で開かれた会合で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で船長を釈放した菅政権の対応を評価する見解を示した。
リー氏は「菅首相が別の決断をしたらどうなるか。中国が海軍を派遣し、日本も海上自衛隊を派遣することになった」と指摘。さらに「(現在は)日本の艦船の方が優れているが、10年たつと、中国は日本より大規模な艦隊を持つことになる。そうしたことを考慮すべきだ」と述べた。
(2010年9月29日19時50分 読売新聞)
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東郷のコメント
かつて、日本の政治家はトウ小平に騙された。「尖閣領有権については、我々の世代は知恵がない、将来話そう」と。すなわち、当時は日本の国力は中国を圧倒していたので、トウ小平は国力をつけるまで、時間稼ぎをし、それに日本の政治家はのった。あの時に主権問題に蹴りをつけていれば今のような問題になっていなかった。
そして、シンガポールを大発展せしめたプロ政治家であるリーの見解を聞くに、10年後には中国の大艦隊が東シナ海をわがもの顔で占拠していることを想定し、日本はすぐさま尖閣の防御を固めて中国の軍拡に対抗しなければならないということになる。
ところが日本だけで対抗するには無理がある。具体的には、南沙諸島、西沙諸島の領有権問題に日本も干渉し、ベトナム、フィリピン、インドネシア、台湾と共同戦線をとることが懸命だ。
中国に進出している日本企業の工場をこれらの国を含むアセアン諸国に移すよう促す。アセアン諸国の発展に協力することが中国抑止にも繋がる。
日米同盟に国力をつけたアセアン、さらにはオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えることで中国を抑えることができる。中国はロシアと領土問題で歩調をあわせて日本をけん制しているのだから、我々も他国と歩調するべきだ。
文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム)