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スタジオジブリへのお願い  東郷 秀憲

平成22年8月20日

 スタジオジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」を観た。正直なところ全く期待していなかったが、最近の作品では佳作ではないだろうか。特に、宮崎駿さんが監督していない作品の中では、故近藤喜文さんが監督した「耳をすませば」に次ぐ作品といっても過言ではないだろう。
 監督は、宮崎駿さんに育てられた米林宏昌さん(37歳)。鈴木プロデューサーの話では、ジブリで最も絵が上手く海外に出しても十分勝負できる才能だそうだ。これで、誰しもが納得いかなかった宮崎駿監督のご子息の出番がなくなった。
 私は、前々から良質なアニメは子供達に必要だと唱えてきた。我々が育った時代には、確かに良質なアニメがあった。アタックNo1、エースをねらえ!、あしたのジョー、巨人の星などのスポコンアニメ。まんが日本昔ばなし、サザエさん、世界名作劇場(アルプスの少女ハイジ、フランダースの犬など)などがそれだ。現在も放送されているのは、サザエさんだけである。
 中でも、最も評価できるのが世界名作劇場。私は、子供の時に、同シリーズを見て外国を知り、外国に関心を持ったものだ。母をたずねて三千里を見て、いつか一人旅で世界中を旅したいと思った。同シリーズは、視聴率の低下で放送が終了されていたもの、近年、BSフジで復活した。だが、BSでは視聴者の数が限定される。最新作は、名作赤毛のアンに繋がる作品。キャラクターデザインが佐藤好春さん(代表作は魔女の宅急便)。制作会社の日本アニメーションは、かつて宮崎駿、高畑勲両監督が在籍したジブリに繋がる会社。是非共、フジテレビ系列地上波で日曜日の19時半〜20時に放送してもらいたい。良い子のみんなに安心して見せられるシリーズの完全復活を期待したい。そこで、提案なのだが世界名作劇場をスタジオジブリが手掛ける事になったら、注目され視聴率は爆発するのではないだろうか。スポンサーもつく。もしかしたら、カルピス子供劇場という冠が復活するかもしれない。日本アニメーションも良い会社だから、決して否定している訳ではない。これまで通り、日本アニメーションがメインでスタジオジブリが参加でいい。それで、スポンサーがつき地上波で復活する。
 もちろん、現在のスタジオジブリは映画しか制作しない事は承知している。金儲けにもあまり興味はない。スタッフも足りない。私は、日本が誇るスタジオジブリがアニメーターを大量募集し、育てて日本発の良質なアニメをどんどん世界に送りだしてもらいたいと願っている。スタジオジブリを見学した外国のアニメや映画に関する業界人は、その規模の小ささに驚くという。「こんなに小さなスタジオで、少ないスタッフであれだけの芸術を作ってるの?」って驚く訳だ。スタジオジブリは、人を育てるプロでもある訳だ。また、あれだけのネームバリューがあれば世界中の優秀な人材が集まるだろう。そして、優秀な人材は発表の場を求める。どうそ、ジブリさん、テレビアニメに進出してください。

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム