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ロシアの対日戦勝記念日制定の動きを牽制せよ  東郷 秀憲

平成22年7月4日

 ロシアで対日戦勝記念日を制定しようという動きがあるとのニュースが届いた。北方領土問題への牽制の意味があると思われる。ポツダム宣言を受諾した8月15日にすると、その後の樺太・千島へ侵攻した火事場泥棒がバレルので、日本が米国の戦艦ミズーリ号で降伏文書に調印した9月2日を対日戦勝記念日に定めようとの動きである。ならば、我々も日本海海戦の日である5月27日(戦前は海軍記念日)か日露が講和条約に調印した9月5日を対露戦勝記念日として定めてはいかがだろうか。因みに、栄光の日露講和会議が開催された場所は、日本郵船小樽支社で現在でも建物が健在で見学ができる。そして、対露戦勝記念日の動きを実行するならば、今のタイミングに提案するのが得策である。ロシアからクレームをつけられたら、君達が先に動いたといえるからだ。外交はしたたかにやらないといけない。
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ロシア:9月2日を対日戦勝「記念日」に 議員が法改正案

 【モスクワ大木俊治】ロシア下院のザワルジン国防委員長ら与党「統一ロシア」の議員4人が2日、ロシアが第二次世界大戦の対日戦勝利の日としている9月2日を新たに「記念日」として指定する法改正案を下院に上程した。ロシアは対独戦勝利の5月9日を「戦勝記念日」として祝日にしているが、対独戦終結後も日本と戦ったサハリン州など極東では対日戦終結の記念日指定を求める声が強かった。法案提出はこの要求に応える一方、北方領土問題で日本の要求をけん制する狙いもありそうだ。

 インタファクス通信によると、上程されたのは「軍の栄光の日とロシアの記念日に関する法」の改正案で、9月2日を「第二次世界大戦終結の日」として記念日に加えた。これに先立ち、極東ハバロフスクを訪問中のメドベージェフ大統領に同行しているラブロフ外相は、9月2日を「極東における戦勝記念日」に指定する案が下院で審議されると表明していた。

 ロシアは日本が連合国と米軍艦ミズーリ号上で降伏文書に調印した9月2日を「国際的に認められた」(ザワルジン委員長)対日戦終結の日とし、日本が終戦記念日としている8月15日は全く知られていない。旧ソ連軍は8月15日に千島列島への上陸作戦を開始し、8月28日(択捉島)〜9月3日(歯舞群島)に北方四島を占領下に置いた経緯がある。

 改正案は承認される見込みが強いが、一方で「対日戦」という表現は避け、国家の祝日である5月9日に比べれば格の低い名目的な「記念日」にとどめており、対日関係が悪化しないよう一定の配慮をした可能性もある。

毎日新聞 2010年7月3日 10時30分

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム