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預金を動かせ!move your money  東郷 秀憲

平成22年4月29日

 アメリカで“move your money”という社会運動がある。要するに、金融危機の際に破たん寸前にまで追いやられた際、これまでのいい加減な経営の責任を誰も取らず自分達は高級なままで、多額の税金で救われたシティバンク、バンクオブアメリカ、チェースマンハッタン銀行などの大手銀行から、地元の健全な銀行に金を移そうという運動である。
 日本にも同じような事があった。バブル時代のいい加減な経営判断の為に不良債権が増大し、メガバンクは経営的に追い込まれていき、そのツケは国民の税金で賄われたのに、自分達の給料は高止まりのままだった。平均年収1,000万以上もらっていたのだから呆れる。にもかかわらず、我々日本人は動かなかった。三井住友銀行などメガバンクから預金を動かそうという運動は起きなかった。もし、起きていたならば銀行員の給料は大幅に下がり、銀行員の意識も変わっていただろう。年収が半分になると言われれば、いい加減な経営をしていた経営陣を突き上げ責任の所在が明確になり、新たに経営陣に加わった者は真面目に仕事をしただろう。良識ある銀行員が内部で革命的な仕事をできるチャンスを失ったといえる。
 我々も行動しよう。行動が全てを変える。今の力なき日本に一番必要なのが善良な国民の行動なのだ。自分一人が何か行動しても世の中何も変わらないという諦め感がこの国の発展を阻害している。
 アメリカ人は自ら行動する。日本人は御上(官僚、政治家、経営者など)任せ。この違いが、大東亜戦争敗戦の主因ではないかと思っている。

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム