平成22年1月10日
昨夜、梅田ガーデンシネマで上映されている待望の台湾映画「海角7号」を観た。この映画は、平成20年(2008)台湾で上映され社会現象にまで発展した映画で、台湾映画としては歴代No1の興行成績を記録しており、洋画を含めても「タイタニック」に次ぐ記録となっている。台湾で上映され話題になって以来、ずっと観たかった映画だ。実際、日本での上映が待てずに台湾まで観に行こうとした。
この映画は冒頭、昭和20年の終戦後に台湾から引き揚げる日本人教師が語る手紙(ナレーション)から始まり、劇中で日本語が頻繁に登場する。台湾語7割、日本語2割、中国語1割(日本人ヒロインは台湾語はできない)くらいの印象を受けた。
時代を共有した台湾と日本、台湾人と日本人の関係が興味深く描かれている。戦前、台湾からの引き揚げ船で書き綴った日本人教師が台湾人の教え子に送った恋文にある文言「捨てたんじゃない、泣く泣く手放すんだ。」というのは恋人に対しての想いであるが、大日本帝國が敗戦により連合国の圧力で台湾を放棄させられた心情に被る。戦前台湾で歌われた唱歌の大半は戦後、国民党独裁時代に禁止されたが、劇中で歌われる「野ばら」はドイツ楽曲であったので、戦前戦後を通じて台湾人、日本人共に歌える。映画の最後に両国民によって「野ばら」が歌われる。終戦後、互いに希望しないのに引き裂かれた兄弟国(台湾と日本)が一つになった瞬間に思えた。最後の5分は涙なしには観ることができなかった。
この映画のヒロインは日本人(田中千絵)で、日本人歌手(中孝介)も出演している。映画を観ていると台湾の中に自然と溶け込んでいる日本の存在を感じる。日本人に対して親近感を持っている台湾のローカルな人々。日本及び日本人への敬意も感じる。台湾は7回旅しているが高雄よりも南をまだ知らない。この映画が描く南台湾を旅したくなった。強烈に推薦したい映画である。
まずは、ホームページの予告を観て欲しい。ただし、大阪では梅田ガーデンシネマだけの上映で2週間程で上映打ち止めとなりそうなのが残念である。
http://www.kaikaku7.jp/
文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム)