平成22年1月4日
橋下大阪府知事が懲りずに伊丹空港廃港を訴え続けている。ご存知だろうか、伊丹空港というのは関西国際空港ができる際に縮小し、やがては廃港になる予定であったことを。また、そもそも関西国際空港は神戸沖に持っていく計画であった。そして、神戸沖に空港が来ることを騒音問題などで拒んだのは地元の神戸(兵庫県)で、それゆえ、現在の大阪中心部からは離れた泉州沖に空港を造った。ところが、関西国際空港が開港し伊丹から国際便がなくなった途端に地元経済界が地元経済に与える影響が大きいと伊丹空港をなくさないでくれ、便を減らすなと政治家・役所に陳情しはじめた。誤解を恐れずに書くと関西は財界などの金持ちの大半が大阪北部(吹田市・豊中市・箕面市)と兵庫県南東部(西宮市・芦屋市・神戸市・宝塚市)に住んでいる。すなわち、彼らからすると伊丹空港の方が明らかに便利なのである。
日本の国益、関西全体の利益よりも自分達の都合を優先しているのだ。兵庫県知事の発言は、国益を考えての伊丹空港廃港反対なのか疑わしい。地元の利益代表者に過ぎないと思う。兵庫県の利益よりも関西全体の利益、関西全体の利益よりも国益が優先されるべきであろう。まぁ知事という立場だから仕方ないかもしれない。歴代の兵庫県知事には失望させられてきた。ならば、国土交通省が動いて抑えてもらいたい。前原大臣に期待したい。
私は、以前より羽田のハブ化には大賛成である。都心部へのアクセスの近さでは、上海や仁川などライバルよりも断然便利だから羽田をハブ化すれば、アジアのハブになりえると思う。ただ、羽田のみハブというのはいかがか。日本の国土の特徴を考慮したら関西もハブ化し2空港をハブ化するのがベストだと思う。
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「八にも九にも伊丹廃港」 橋下節に経済界冷ややか
大阪府の橋下徹知事は4日、大阪市内で開かれた関西の経済団体などが主催する新年互礼会であいさつ。持論とする大阪(伊丹)空港の廃港をあらためて訴え「関空をスーパーハブ(拠点)空港にするためには、一にも二にも三にも四にも五にも六にも七にも八にも九にも伊丹廃港しかない」と断言した。
ただ、会場の反応は冷ややかで「やはり経済界は拍手が少ない。行政では兵庫県を除き(伊丹廃港で)まとまりつつある」と述べた。
その後にあいさつした関西経済連合会の下妻博会長は、橋下氏の発言を念頭に「言葉が優先しても何も起こらない」と指摘した。
終了後、橋下氏は記者団に「寒い雰囲気だった。経済界の皆さんは伊丹をよく使っているのでああいう反応になった」と話した。
2010/01/04 20:11 【共同通信】
文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム)