平成22年7月20日
有害鳥獣駆除をご存知だろうか?その名のとおり、(人間に対して)有害な鳥獣を駆除(捕殺)または、追い払う行為のことである。
新聞やニュース等で報じられたので、ご存知の方も多いと思うが、滋賀県の竹生島では、1990年以降、爆発的な勢いで繁殖したカワウ(昨年の滋賀県の調査では、竹生島だけで約2万5千羽が生息するとされている。)の営巣によって木の枝が折られ、排泄された糞によって、樹木の枯死が進行し、森林被害が深刻化している。また、カワウは魚食性水鳥であるため、琵琶湖の貴重な水産資源であるアユを大量に捕食する。カワウが1日あたり、300g〜500gの魚を捕食することから、その生息数から計算すると相当量のアユがカワウによって捕食されている事がわかると思う。
これ以上、漁業被害、森林(景観)被害を増加さない為にも、カワウの駆除は、必要であるとされているが、その駆除方法が議論の対象となっている。
方法 :花火や爆竹による追い払い
初期における効果は見受けられるが、カワウが爆発音に慣れ次第に効果がなくなる。
たとえ、追い払いできたとしても、他の場所へ移動し捕食するのであれば、有効な策とは言いがたい。
方法 :繁殖抑制対策
カワウは、卵を除去しても産み足す習性がある為、卵に石鹸水を塗布し、卵の呼吸を抑制し、孵化しない卵にする。この方法により、卵の孵化率を抑制できる事が認められ、一定の効果があったとされるが、樹上にある巣への散布方法や散布範囲の広さの問題、石鹸水による土壌中の微生物への影響が予測できない事などから、確実に有効な方法とまではならなかった。
方法 :銃器による駆除
散弾銃・空気銃を使用し、カワウを捕殺することで物理的に生息数を抑制する。県の猟友会が業務を代行し、数千羽単位に駆除しているが、駆除員の高齢化で継続的な駆除が行えるかが未確定。
動物を愛護する側から見れば、人間の都合で殺される動物は可愛そう。生息域をコントロールし、人間社会との共存共栄を考えるべきだとの意見も根強いが、そのためにかかる経費負担を考えると到底実現できる可能性は低いのではないか?
琵琶湖では、カワウもそうだが、ブラックバスなどの外来魚による漁業被害も深刻で、早急な対策が望まれている。
国土が限られているわが日本、その貴重な財産である資源をこのような食害から守る為の議論を市町村や猟友会に委ねるのではなく、我々ひとりひとりが問題意識を持つことから、この問題を解決に導く第一歩となるのではないだろうか?
文筆:高橋成樹