平成22年11月16日
「海上保安官、逮捕と思った 厳罰に処すべきだ」〜仙谷官房長官周辺
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、警視庁と東京地検は15日、「映像を流出させた」と申し出た第5管区海上保安本部の神戸海上保安部に所属する海上保安官(43)を逮捕しない方針を固めた。
首相官邸はこれまで、「映像の流出には厳しく対処する」と繰り返していたため、今回の決定には肩すかしを食らった格好となっている。
仙谷官房長官の周辺は15日夜も「組織に反する行為を強制権限のある組織の人間が行ったのだから、厳罰に処すべきだ。当然、逮捕だと思っていた」と悔しさをにじませた。
一方、菅内閣の閣僚の一人は、逮捕が見送られたことで「情報管理が甘かったということで、海上保安庁の長官が責任を取ればそれでいいんだろう」と述べ、馬淵国交相の責任問題には発展しにくくなったとの認識を示した。
菅政権としては、いずれにしても国家公務員の情報漏えいに対する罰則の強化を図るなど、再発防止に全力を挙げる方針。
(11月15日 日本テレビ)
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コメント:
妥当な判断だと思う。日本が、個人の恨みで断罪されるような野蛮な国ではなく、先進的な法治国家であることが証明された。
しかし仙谷のコメントは何なのか。「中国人船長、実刑と思った。厳罰に処すべきだ」の間違いではないのか。加害者の中国人船長の釈放を妥当としながら、自国民による内部告発に有罪を望むとは、本当にコイツはどこの国の政治家なのだろうか。組織に反したから逮捕すべきという発言も、公益通報者保護法制定を推進した党の言葉とは思えない。(「法律に反した」なら意味は通じるが※)
そもそも、今回の尖閣衝突事件で一番重要な課題は、中国から我が領海および領民をいかに守るかであり、海上保安官の行為などは小さな問題だ。それを踏まえると、今回の事件で日本政府が出すべきコメントはこうであろう。
「政府が公開する前の流出は遺憾であるが、機密情報ではないので処罰は妥当ではない。それより大事なのは、我が国の領海が堂々と踏みにじられたことである。今回公開された映像では中国漁船は明らかに日本の領海を侵犯しており、また漁船の衝突は明らかに中国側の加害行為である。今後、日本政府は残りの映像も公開し、中国に責任があることを全世界に明示し、中国に責任を追及する構えである。」
もし菅首相が上の発言を行い、行動したならば、私は首相を全面的に支持する。
※あくまで意味が通じるというだけで、今回の海上保安官に起訴されるほどの罪があるとは私は思っていない。
文筆:沖田東一