平成22年8月9日
平成17年に財政破綻した夕張市のその後を、記事で読んだ。
記事によると、破綻当時夕張市は600億近い借金に対し、歳入はわずか90億円。この状況で借金を19年で返済(当初は15年だったが目処がたたず延長)するために、大幅な支出削減と増税が行われた。
市民税が3,000円から3,500円に、固定資産税が1.4%から1.45%に、軽自動車税が現行税率の1.5倍に増額、入湯税150円も新設された。ごみ処理は一律有料化、施設使用料も5割増、下水道使用料も5割増と市民への負担は増大。人件費削減のため、職員の半数はリストラされ、病院や学校、公共施設も次々閉鎖、行政サービスは最低水準に下がった。
この結果、人口は激減し、平成18年6月末に1万3千人だった人口は、平成21年に1万1千人まで減少。特に若者層の流出が著しく、夕張市の歳入も80億円近くまで減少したそうだ。
借金返済計画では後半のほうが返済額が増えており、これでは借金返済より先に夕張市自体が合併などで消滅する可能性のほうが高いだろう、という結論になっている。
90億の歳入に600億円の借金でご覧の有様であるが、これより酷いのが、今の日本の財政である。
日本は90兆円の税収で900兆円近い借金をかかえている。借金は日ごとに増えており、あと10年以内に個人金融資産残高を上回るという試算が、すでにIMFから出されている。もしそうなれば、日本国内の預貯金や株式、投資信託、個人金融資産など全てが国債に回されることになり、日本経済は、融資ゼロ、株式ゼロの経済になってしまう。そして金利支払いさえ出来なくなり日本財政は破綻する。こうなると日本政府はIMFの管理下に入るか、日銀に国債を引き受けてもらうかの道を選択するしかなくなるが、いずれの選択も、日本が経済立国から転落することを意味する。つまり10年以内に経済を立て直さないと、日本は夕張市以上に悲惨な状況に転落することになるのだ。
今の日本は、ねじれ国会や議員(と国民)の危機意識の低さのせいで、改革が思うように進んでいないが、Xデーは日々刻々と迫ってきている。一刻も早く改革を進めなければ、間違いなく日本中が夕張になるだろう。夕張市の状況は決して対岸の火事ではない。
文筆:沖田東一