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高齢者の所在調査を  沖田 東一

平成22年8月3日

 日本で二番目に長寿だった男性が、既に30年前に死亡していたという事件を受けて、政府は年齢110歳以上の国民の所在調査を行うこととした。110歳以上の日本人は20数名だが、既に4日の段階で半数近い人が所在不明になっていることが分かったようだ。
今後の政府の対応は不明だが、どうせなら110歳以上だけではなく、90歳以上まで範囲を広げて調査を行ってもらいたい。90歳以上の人口は全国で130万人だが、このうち数%が所在不明と思われる。冒頭の事件では、死亡した男性の年金を家族が不正に受給していたが、仮に90歳人口の2%が所在不明(※)として、その半数で不正受給が発生していた場合、年間で百数十億〜数百億円もの年金が余分に支払われていたことになる。(※実際はもっと多数の所在不明者がいると言われている)
こうした事例を防ぐためにも、役所にはこれまでの手紙による調査ではなく、実際に自宅に訪問して調査を行ってもらいたい。調査方法は医師による定期健診が良いと思う。高齢者側も健康状態を管理できるので心理的抵抗感が少ないだろう。老人の孤独死も防げるので一石二鳥だ。ミスター年金の手腕に期待する。

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「110歳以上の所在を今月中確認」長妻大臣が表明
(2010.8.3 テレビ朝日)
長妻厚生労働大臣は3日午後、高齢者と連絡が取れないケースが各地で相次いで発覚していることに関連し、「年金を受給している110歳以上の高齢者全員の所在を今月中に個別に確認する」と話しました。
 長妻厚生労働大臣:「110歳以上の方々のうち、年金受給者の方、その方お一人、お一人全員をどういう状態になっているのか、市町村を通じて確認する。その結果を今月中に発表する」
 長妻大臣はこう話し、日本年金機構を通じて、年金を受給している110歳以上の高齢者全員の所在を確認し、今月中に結果を発表するとしました。また、110歳以上の高齢者と年齢制限を設けたことについては、「110歳以上の方は100人以下と思われるので、まず、早く結果が出る統計を取って、その後の対策を検討したい」としています。

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東京の111歳男性、実は30年前に死亡していた ミイラ化で発見
(2010.7.29 産経)
 全国の長寿上位に認定されていた東京都足立区の男性(111)が、実は約30年前に死亡していたことが29日、分かった。自宅で一部白骨化した状態で見つかった。
 男性は明治32年7月22日生まれ。今月26日に足立区の職員らが111歳の誕生日を祝って記念品を贈るために自宅を訪問したところ、81歳の娘が「父は誰とも会いたくないと言っている」と話し、記念品も辞退した。
 その後、53歳の孫が千住署を訪れ、「祖父は『ミイラになりたい』『即身成仏したい』と言って30年前に自室に閉じこもったままだ」と説明。直後に同署員が自宅でミイラ化した男性の遺体を発見した。
 足立区によると、高齢者の安否を確認していた地元の民生委員が男性に会うことができなかったため心配し、今年2月に区に連絡。区の担当者が訪問したが、この時も「本人が会いたくないと言っている」と家族に拒絶されていたという。

文筆:沖田東一