平成21年3月27日
高齢者の運転免許更新の際に行われる「認知機能検査」の内容が明らかになった。高齢者講習を受講する人のうち、75歳以上に判断力のテストを行うことになった。認知症が原因となる事故が、今年だけでも100件以上発生しているのだから、こうした対応は必要なことである。
個人的には、検査の開始年齢は75歳よりもっと引き上げた方がよいと思っている。現在、65〜70歳人口が900万人、70〜75歳が800万人であり(総務省調査)、そのうち認知症患者の比率はそれぞれ1.6%(14万人)と3.6%(28万人)。合計すると42万人、免許所持者が仮に半数だとしても21万人の認知症患者が車を運転する可能性があることになる。
76歳以上の認知症患者の200万人以上という数字に比べると21万人は少ないと感じるかもしれないが、65歳くらいの年齢だと仕事を引退したばかりのため実際に車を運転する人の比率は高齢者と比べ多い。また「自分はまだ若い」という意識も強いので、体力の老化に気付かず事故を起こす可能性もある。
65歳以上が無理でも、せめて高齢者講習と同じ70歳以上から検査適用とすべきだろう。同じ講習を受けるのだから、その方が合理的と思うのだが、如何だろうか。
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記憶で認知症チェック義務付けへ 75歳以上の運転免許更新で
6月から75歳以上のドライバーの運転免許更新時に義務づける「認知機能検査」について、警察庁は26日、実施方法案を公表した。生年月日や検査当日の年月日・時刻などを回答させて記憶力などをみる検査を受け、認知症が疑われるドライバーを抽出。うち、過去1年以内に信号無視や一時不停止など15類型の違反を犯したことがある人には、専門医の診察(臨時適性検査)を求める。
現行では、70歳以上の免許更新者は一律、「高齢者講習」を受講することになっているが、新制度では、このうち75歳以上の更新者に対し、講習直前に実施する認知機能検査の受検を義務づける。
認知機能検査は、検査当日の年月日と曜日、時刻を記入する▽あらかじめ示した動物や昆虫、植物など16種類のイラストの名称を記憶し、その後思いだして回答する▽指示した時刻を時計の文字盤に書き入れる−など。
検査結果の正誤を点数化し、総合点を基に「記憶力・判断力が低くなっている」(第1分類)、「記憶力・判断力が少し低くなっている」(第2分類)、「心配ない」(第3分類)に区分。
第1分類該当者のうち、過去1年以内か免許交付後に特定の違反を犯した人に専門医の受診を義務付け、認知症と診断された場合は免許取り消しとなる。
第2分類該当者には、講習時の実地指導で信号無視や一時不停止などが確認される都度、やり直しを求めるなどきめ細かく指導する。
警察庁によると、75歳以上の免許保有者は約283万人(平成19年末現在)。臨時適性検査の受検者は、2000〜3000人とみられるという。
文筆:沖田東一