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環境省はニホンオオカミを調査しろ!  東郷 秀憲

平成21年3月22日

  先月、勤めている大学のキャンパスでイノシシが歩いているのが目撃された。夕方の事である。へぇ〜と意外に思っていたら、ここ最近は日々白昼堂々と現れるとそうだ。
 学生に危害を加えでもしたら大変だと思い、役所に相談したらせいぜい電磁ネットを張るくらいしか方策はないとの事。神戸や芦屋では白昼堂々と道路を彼らが群れで闊歩しているとのこと。彼らが住む森に餌が無いので人里までやってくる訳だ。天敵がおらず増え続けているという。イノシシばかりか猿や鹿もどんどん増えている。特に、鹿は木の新芽を食べてしまい森林は破壊され続けている。
 猟友会の方もご高齢で後継者もいない。かつては日本にはオオカミがいた。そのオオカミが生態系の頂点に君臨して、イノシシ、猿、鹿を捕食し数が抑制されていたのだ。そのイノシシが絶滅したとされる日から既に100年以上が経過した。
 ところが、平成8年(1996)秩父山中、平成12年(2000)大分県祖母山系でニホンオオカミの生存を裏付ける可能性のある写真撮影がなされた。
 特に、平成12年に大分県祖母山系で高校教師の西田氏が撮影に成功した写真は鮮明なカラー写真でニホンオオカミ研究の第一人者として名高い今泉氏が検証し確かにニホンオオカミだと証言している。西田さんの著書「ニホンオオカミは生きている」に詳しいので関心ある方は一読をお勧めする。
 環境省には、ニホンオオカミの生存を確認する調査をしてもらいたい。国民への情報提供を呼び掛けてもらいたい。世古孜氏の著書「ニホンオオカミを追う」によるとニホンオオカミの血をひいた犬が存在するそうだ。彼の著書には。これがニホンオオカミの血をひいた犬だというふれこみでカラー写真が掲載されている。いかにもオオカミの特徴の入った犬達。度肝をぬかれる。この本は絶版かつ希少本で探すのが困難、高額で取引されている。私も少し高かったが思い切ってアマゾンで入手した。
 同書によるとオオカミの特徴をもった犬を掛け合わせて戻り交配を繰り返すことで、ニホンオオカミを復活することも可能だそうだ。日本の山々には、ニホンオオカミの血が入った野犬が数多くいるとされている。これら野犬を確保し、戻り交配などでニホンオオカミを復活できないものかと思う。そして、紀伊山地や日光など鹿が増えすぎて困っている地域で慎重に検討した上で放つ。
 仮に、ニホンオオカミが全く存在しない、戻り交配も無理となれば、東京農大名誉教授の丸山さんが主張するようにニホンオオカミと同種との説がある内蒙古のオオカミを再導入したらいい。詳しくは、丸山さんの著書「日本の森にオオカミの群れを放て」を読んでもらいたい。
 また、明治29年(1896)絶滅したとされるエゾオオカミは絶滅していない可能性が高いことがわかってきた。近年、国後島で生存が確認されたオオカミがエゾオオカミではないかとする説が有力なのだ。ロシア政府と交渉して、国後島にいるオオカミを増やして安定数を確保した後に知床半島に再導入すればいい。そうすれば知床で増え続けて森を荒らして困っているエゾジカの駆除に役立つし、野生のオオカミを見学することを目的としたECOツーリズムも盛んになるだろう。北海道経済にも貢献する。現に、絶滅したオオカミをカナダから再導入したアメリカのイエローストーン国立公園は生態系は復活するし森林は豊かになるし、オオカミ見学ツアーも成功している。
 国後島で絶滅寸前のエゾオオカミを日本が調査確認し種を増やし、その子孫の一部をロシアから譲り受ける。これは、ロシアとの北方領土問題改善の象徴プロジェクトになりうる。鈴木宗男さんには、ぜひ知らせたい。

 

文筆:東郷秀憲(東郷秀憲の国益コラム