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ミャンマー訪問記(ミャンマー) 白谷 一樹

平成14年5月30日

 平成14年のGW、ミャンマー(ビルマ)へ行ってきました。

 この国の印象は全てが闇で構成されているのかと思うくらい、闇経済が主流となっていて、とても健全な国とは思えませんでした。例えば、米ドルからの両替にしても、闇ルートと正規ルートでは約100倍も違っており闇で両替してビールを1本のむと約4〜50円ですが、正規レートだと、4〜5000円にもなってしまいます。そのため、両替は全て闇(BLACKMARKET)で行います。また、言論の自由もなく、現地のあらゆる人にアウンサンスーチのことを聞くと周りを気にしながら彼女のことを支持すると言っていました。彼女を支持することや軍事政権の批判をしているのが見つかると、検挙されるようです。本当に、国としてよく成り立っているなっと思ってしまいました。

 この国は、大東亜戦争(太平洋戦争)中から、とても深く係わり合いのある国で、非常に(ある意味台湾以上)親日国家です。今話題になっているアウンサン・スーチ氏の父、アウンサン将軍は、大本営直属のビルマ独立工作のための謀略機関(南機関)によって育てられました。そのときの南機関の機関長が鈴木大佐でビルマ語では、ボモージョ(雷将軍)と言われていました。鈴木大佐のことを知っている日本人は少ないですが、ミャンマー人のほとんどの人は知っています。旅行中、ときどき、鈴木大佐のことを訊ねるとある人は、当然のように「知っている」と答えるし、ある人は、「そいうえば歴史の授業で習った」と答えていました。その南機関が独立の志士として30人のビルマ人をビルマから脱出させ、海南島、台湾で独立のための訓練をしたのです。そして、独立の志士が最近までビルマの行政を主導していました。ただ、独立の志士30人が、一丸となって独立の事業をすすめているのではない事が、この国をややこしくしている原因の一つです。30人のうち、あるものは白色共産党にあってゲリラ活動を行い、あるものは国外に逃れたりもした。(なお、南機関のメンバーには、陸軍中野学校の卒業生も含まれていた。)

◆参考情報◆
○本(お薦め)但し、オリジナルも下記の文庫も絶版です。
ビルマ独立秘史―その名は南機関 徳間文庫
泉谷 達郎 (著)
文庫 - 248 p (1989/03/01) 
徳間書店 ; ISBN: 4195987245 ; サイズ(cm): 15 x 11 
価格: ¥400
ビルマ情勢は混迷しているが、かつてこの国の政府首脳や反政府勢
力リーダーたちと共に、反英独立戦争を戦った旧日本軍兵士がいたこ
とは余り知られていない。独立の父オンサン将軍は南機関によって日
本へ亡命し、ネ・ウィンもティン・ウーも、そして多くの独立志士が旧日
本軍の教育・指導下に育っていった。大東亜戦争の落とし子ともいえ
るビルマ独立戦争を克明に記す戦史ドキュメント。

 

文・写真:白谷一樹