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犯罪者に甘い〜大阪刑務所見学 沖田 東一

平成22年11月15日

  11月13日(土)、大阪府堺市の大阪刑務所が一般公開されていたので、好奇心も手伝い参加した。
所内の受付

 冒頭に職員から見学について説明が行われ、その後に専用の護送車に乗って刑務所内を周回。受刑者の居住の建物の他、作業部屋やグラウンドなどを見ることができた。敷地の周囲はすべて高い塀で囲まれ、上部には鋼線(たぶん高圧電流)が張り巡らされている。住宅街に設置するだけに、脱走が起こらないよう入念にしたのだろう(そこまでして住宅街に置く必要があるのか、という気もするが)。
 敷地内を一巡した後、敷地の真ん中あたりで車から降りて、浴場と作業場を見学。共同浴場は一見普通の銭湯のよう。受刑者は週2〜3回と回数が定められているそうだ。
 見学して驚いたのは、浴場も作業場もゴミが全く落ちていないことだ。今日が一般公開日なので入念に掃除をしていた可能性もあるが、本当に綺麗に掃除されてある。清掃は受刑者が行っているとのことだが、ここまで綺麗にできるなら、もう少し真面目に生きていれば、ここに入ることもなかったのでは、と思ってしまった。

 見学後は再び護送車で出口まで運ばれて終了。一番見たかった受刑者の部屋は見れなかったが、横の広報コーナーで、刑務所の紹介ビデオが流されており、そちらでおおよその居住環境を知ることができた。
 ビデオによると、囚人の部屋は3畳間に布団orベッド、小型テレビ、トイレ、洗面所、机など一通りが揃っている。朝6時に起床し、夜9時に就寝。作業時間は1日8時間(途中食事休憩、運動休憩あり)。食事は一日三度、栄養バランスのとれたものが出される。また、医療施設(無料)や入浴施設、グラウンドもあり、下手な国民より健康的な生活をしていることがわかる。しかも全て無料、国民の税金でだ。
 広報ビデオなので多少の脚色はあるのかもしれないが、それでも犯罪者にここまでの待遇が必要なのか、というのが私の率直な感想だ。

 世間が不況下で、多くの国民が生活費をきりつめている中、懲罰中の受刑者が、無償でこれだけの待遇を受けているのが、果たして正しいのだろうか。受刑者を更生させるのが刑務の目的なら、受刑者に快適な環境を与えてはいけない。北朝鮮の炭鉱送りとは言わないが、少なくとも一般国民が「劣悪」と感じるレベルまで下げるべきである。「刑務所に入れば楽な作業で快適な生活ができる」と思われてしまっては、本末転倒ではないか。

文筆:沖田東一