平成21年3月5日
平成21年2月28日、大阪市阿倍野にて開催された、日本李登輝友の会主催の『二二八記念台湾問題講演会』に出席した。
二二八事件とは、1947年の台湾で、政府役人の現地人殺害事件と、その後のデモに対する国民党政府による粛清テロのことで、2万人以上の台湾人が殺害された事件である。(台湾では白色テロと呼ばれている)
講演では西村真悟先生が登壇され、日本の防衛という観点から台湾を語られた。話の中で興味を引いたのが、台湾は通常兵力は中国に勝るものの、核保有という点で中国に劣勢であり、アメリカが保有核ミサイルの8割を削減してアジアの核の傘が無くなった今、台湾にとって中国は大きな脅威であると語ったところである。
中国の軍事力増強は留まるところを知らない。近い将来は通常兵力でも台湾を超えることは間違いない。そうなれば台湾は中国の侵略から国を守ることができなくなる。
これは日本にとって大きな問題である。台湾が中国に落ちれば、その周辺の海域も中国の制海圏内となり、その海域に輸送路を置く日本は、シーレーンを確保できなくなってしまう。経済と食料を輸出入に依存している日本にとって、中国に命綱を握られたようなものだ。西村真悟先生が、「日本が台湾を見捨てることは、イコール日本が日本自身を見捨てることに等しい」と表現したが、全くその通りであり、日本と台湾は運命共同体と言ってもいい。
西村先生の講演に続いて、父親を白色テロで殺害された阮美妹さんが、二二八事件後、中国国民党が台湾人に対して行った圧政・粛清について、涙ながらに語ったが、将来中国が台湾を侵略すれば、この悲劇が再び繰り返されることとなるだろう。それを防ぐためには、日本が台湾と協力して中国に対抗するしかないのだが、日本は中国を怖がって台湾を見捨てている。このままでは、本当に台湾は中国になってしまうだろう。
日本の政治家は、もっと台湾問題を真剣に取り組まなければならない。政府は与野党とも総選挙しか関心がなく、漢字の読み間違い如きで総理に辞任を迫っている。そんな下らないことより、国防の一大事が迫っていることを、真剣に論議して欲しい。
文筆:沖田東一