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日高義樹氏の講演会を拝聴 沖田 東一

平成21年1月28日

 1月28日、大阪科学技術センターにて、日高義樹氏の講演を拝聴した。
 日高義樹氏はNHK出身のジャーナリストで、今はワシントンのハドソン研究所の主席研究員となり、テレビ大阪系「日高義樹のワシントンレポート」でも活躍している情報通である。
 今回の講演は『オバマ新大統領就任でどう変わる』と題し、アメリカ大統領選挙、サブプライムローン以降のアメリカと他国の関係、オバマ新大統領の能力、などについて話された。
 講演の内容をワシントンリポート風に要約すると、以下の通り。

・冷戦が終わり、アメリカは『世界の警察』としての役割を負う必要が無くなった。もしそうでなければ、軍事知識の無いオバマは勝利できなかっただろう。
・国に借金(サブプライム)の肩代わりを求めたヒスパニック層が、オバマの支持者である。
・サブプライムでアメリカに損をさせられたヨーロッパは、もうアメリカへ資金を出さなくなる。中国も金利の低いアメリカ国債は今後買い控えるだろう。
・ヨーロッパや中国からの資金流入が減った今、アメリカは日本に金を出させようと考えている。軍事力の無い日本はそれを受け入れざるをえないだろう。
・中東へのアメリカの影響力は下がり、代わって中国が出てくるだろう。
・アメリカのアフガンへの派兵は、泥沼になる。
・北朝鮮は早々に分裂する。その時は保有核の拡散が発生するだろう。
・アメリカ人は今のサブプライムによる世界危機を、逆に金儲けのチャンスと考えている。アメリカは強い。
・代替エネルギー開発が次代のリーダーシップを握るカギである。


 
 日高氏はオバマ大統領下のアメリカについて、軍事・政治の経験がなく、平和主義のオバマ大統領では今回の課題を乗り切るのは難しい。世界への影響力も低下し、軍事的にブッシュ政権時よりもアメリカは弱くなるだろうと語った。日米のマスコミがオバマブームに騒ぐ中、非常に冷静な意見が聞けたと思う。
 日本に対する言及は少なかったが、今後のアメリカの世界への影響力の低下は、アメリカの庇護下で繁栄した日本にとって危険な状況になるだろう。中国の中東進出は石油ラインに影響を及ぼし、核の拡散も脅威となる。
 日本はこれらの事態に対応するための政治的・軍事的方策を早急に取る必要があるだろう。
 しかし、そのような時期に、我が国の国会では何と漢字テストが行われていた。かくも平和ボケした我が国の政治に、大きな不安を感じる次第である。

文筆:沖田東一