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『三島由紀夫 憂悶の祖国防衛賦』感想 大連 健

平成21 年6月1日

  昭和42年に決起し、市ヶ谷で自決した三島氏と楯の会を実践部隊に育てた人の本である。


 著者が初めて氏と会った時の言葉に、
『書くことと行動することは大変な違いだと思いますが、文士でいらっしゃるあなたは、やはり書くことに専念すべきであり、書くことを通してでも、あなたの目的は達せられるのではありませんか!?
三島氏「もう書くことは捨てました。ノーベル賞なんかには、これっぱかりの興味もありませんよ」』。
 この言葉だけで、著者は三島氏の国防問題に対する本気さを知ったそうです。世界最高の栄誉であるノーベル賞を捨て去ることが出来るという三島氏の志、このくだりを読んで、この本に私の気持ちも引き寄せられてしまいました。

 新宿-六本木-山谷に至る演習での街頭訓練では心踊らされました。情報戦略、ゲリラ戦略講義、本格的スパイ訓練、これらの情景を思い浮かべながら読んでいきました。映画ではない、実際に著者が楯の会や陸軍中野学校の生徒に教えてきたこと、訓練が書かれていて興奮しました。

 三島由紀夫の事を思うと、自衛隊を尊敬し愛していたのだと、三島氏の思想にほんの少しでも共感しクーデターを起こす勇気のある隊員がいたなら、日本国憲法は変わっていたかもしれない。隊員が本当に日本を守るために自衛官になったのなら、三島氏の思いは伝わるはず、第二、第三の田母神前航空幕僚長の様な”危険人物”が現れて欲しい。

三島由紀夫自決、
あまりにも檄が強すぎました。

文筆:大連健