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『戦争論』感想 森山  美紀

平成15 年9月4日

 小林よしのりさんの、大作『戦争論』は読み終えたあと、今までの人生観が変わってしまうほど、たくさん感動する話がありました。
もちろん、戦争がテーマの本だから、残酷な場面や悲しい話もきちんと書かれてはいますが、読み終えた後思うのは人の心の気高さと、自己犠牲と家族に対する深い愛情です。

 私は『戦争論』で初めて特攻隊の人の遺書を読みました。「愛児への便り」という題の遺書は、戦争をしている憎きアメリカに対する憤怒の心情はまったくなくて、ただただ自分の子供への愛情をつづった遺書でした。
 もしも『戦争論』を読まなかったら、遺書を読む機会はなかったかもしれません。他にも『戦争論』で初めて知る事実がたくさんありました。
 学校で習う歴史とは、比べものにもならないほどの歴史が学べる本だと思いました。
それから、「戦争とはなにか?」「人が人と戦うのはなぜか?」という疑問を、正面からとらえて考えているので、戦争について深く学べる本だと思います。

 『戦争論』の第一章では次のように戦争についての哲学が語られていて、とても分かりやすい説明だと思いました。『平和の反対は戦争?違う「平和」という状態の反対は、「混乱」という状態である。では戦争の反対はなにか? 「戦争」という手段の反対は「話し合い」という手段である。戦争は外交の延長であり、話し合いで双方がどうしても折り合いがつかぬ場合にやむなく用いる手段である。
 平和とは「秩序」のことに他ならない』

 どこの国に生まれても、どんな文化で育つとしても、誰でも平和で安全で、心から安心して暮らしたいと願う事には違いはないと思います。
 しかし、そうではない現実で生きている人たちも多い現代です。軍隊に守ってもらえて、初めて平和という状態が維持できるというのも、現実としてあることだと思います。
 戦争や軍隊に対して、初めから「恐いもの」とだけ決めつけてしまわずに、きちんと考えてみることも必要だと思います。

文筆:森山美紀